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初めて買ったエフェクター

皆さんは、「エフェクター」を知っているだろうか?
ギタリスト、ベーシストにとってはおなじみの道具であるが、一言で言えばギターの音色を変える道具である。

ギタリスト、ベーシストの皆さんは、初めて買ったエフェクターを何だろう?おそらく、歪み系エフェクターの何かではないだろうか?

エフェクターには大きく分けて2種類あり、いわゆる「ジャカジャーン」といったエレキっぽい割れたような音がするものを「歪み系エフェクター」と言い、リバーブやコーラスなど、音に奥行きをもたせるエフェクターを「空間系エフェクター」という。ギタリストが最初にエフェクターを購入する場合、大体前者であることが多いのだ。

私がエフェクターを購入したのは、大学1年の夏。
ライブハウスでの初ライブを1週間後に控えた土曜日の夜、私はバンドの練習を終え蒸し暑い部室にいた。
ギターを片付けながら、「いよいよ、1週間後だね」なんて話を他のメンバーとしていた。だいぶ曲もものになってきて、自信を持ってプレイできるようになってきていた。
そこで、バンドのギターから
「そういえば、たばたってエフェクター買ったの?」
と尋ねられた。私は、アベフトシや50回転ズのダニーに憧れて、カールコードを直接アンプにさすスタイルで演奏していたため、エフェクターを使ってこなかった。
しかし、ライブハウスにあるのは、RolandのJC120という、アンプ単体ではあまり歪まないアンプだったのだ。

私は、急いでバスに飛び乗り仙台駅を目指した。
仙台駅を降りると、閑散としているイービーンズの中をずんずんと進んでいった。
楽器店にたどり着くと、一目散にエフェクターゾーンへと向かった。
財布に入っているのは、ボランティアの日当の残りの6000円…。買えるだろうか…。
そばにいらした店員さんに、「すみません!6000円で買える歪みのエフェクターありますか?」と尋ねた。
閉店間際だというのに、店員さんは丁寧に
「そうですね〜。どんな音楽がお好きなんですか?」と対応してくださった。
そこで私は、ブルーハーツやニルヴァーナが好きであること、1週間後にライブで使うことなどを伝えた。

すると、
「では、BOSSのDS-1なんていかがですか?」と、オレンジ色のエフェクターを勧めてくださった。

初めて購入した、BOSSのDS-1 歪みはいつも8時で使用している。

値札を見ると4500円と書かれていて、それだけで心躍った。カート・コバーンが使っていたことは知っていたが、まさかこれほど安く買えるとは思ってもみなかった。
「とりあえず、音聞いてみます?」
私が即決しようとしているのを察したのか、店員さんが声をかけてくださった。
アンプに繋いで弾いてみると、ザラザラとしたロックな音が弾き出された。ずいぶん自分がうまくなったような気がする。

店員さんにお礼を言い、DS-1と一緒に帰宅した。それからというもの、様々なライブでこのエフェクターを使ってきた。
他にも様々なエフェクターを学生時代に購入したが、結局このエフェクターを手放すことはしなかった。色んな歪みを試しても結局この音が恋しくなる。不思議な魅力がある。今でもエレキを弾くときは必ずと言っていいほどDS-1がボードに入っている。「腐れ縁」とでも言うのだろうか。

あのとき、閉店間際だというのに、私のためにエフェクターを探してくださり、そしてDS-1と出会わせてくださった店員さんには感謝してもしきれない。

その店員さんにも、10年たった今でもお世話になっている。

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