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個人事業の人でもできるふるさと納税講座(株式会社トラストバンク 森杉育生さん)

2023年7月14日に静岡県沼津市で開催された「ONE STEP×シンマチ  起業スナックマネーの子豚ちゃん #1」。

本イベントでは、「挑戦したい事がある方にエールを送り、一歩を踏み出す応援をする」というコンセプトのもと、イベントに登壇した3名の相談者がオーディエンスの前で「取り組みたい事」について5分間熱く想いを語りました。それに対してエキスパートや参加者からアドバイス、エール、コメントなどを受け、特に一番声援を集めた登壇者はONE STEP×シンマチがその事業に並走していくという形で応援を受けることができる企画が実施されました。

また、「マネーの子豚ちゃん」メインスポンサーであり、日本最大のふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」の運営をされている株式会社トラストバンク 森杉育生さんが、ふるさと納税の活用方法についてイベントの中で紹介してくださいました。事業者がその活用方法を知ることで、事業の成長や認知拡大に繋げることができるということで、「個人でもできるふるさと納税の事業活用講座」という形で相談者にエールを送っていただきました。

本記事では、そんな特別な講座の内容をご紹介いたします。「これから事業を考えている」、「既に事業を進めているがふるさと納税の活用方法を知らない」そんな方は是非チェックしてみてください。

個人事業の人でもできるふるさと納税講座
株式会社トラストバンク 森杉育生さん

ふるさと納税とは?

地域間格差や過疎などにより、税収の減少や、増加に悩む自治体に対して格差是正を推進する制度です。

これは、エンドユーザー(寄付者)が、自分の生まれ故郷や旅行先、名産地など自分が応援したい自治体・地域を選んで寄付ができるということです。(ふるさと納税における「寄付」では、住民税の一部を今払っている自治体から支払い先を別の自治体に移転することができます。現在住んでいる自治体へ収めている住民税の全額を希望の自治体へ移転してしまうと、住民のための公共サービスの意義がなくなってしまうので一部のみが移転できるように制限されています。)寄付金として税を移転する代わりに、エンドユーザーは、自治体からお礼の品がいただけたり、「自治体にはこういう活動に税金を使ってほしい」と寄付金の使い道を選択できたり、更に税金の控除を受けられるというメリットがあります。住民税を移動したときに一回お金を決済していただくのですが、その金額が実質2,000円を除いて基本的には返ってくるというシステムです。税金の使い道が選べて、控除が得られて、さらにお礼の品ももらえるというエンドユーザーが使いやすい制度ですね。

ふるさと納税のメリット

ふるさと納税のしくみ

①ユーザー(寄付者)は応援したい自治体を選び、寄付とその使い道を選定する

②自治体は、寄付への感謝として地元が誇る地場産品や体験をお礼の品という形でユーザーに贈呈

③自治体は寄付金を財源に地域活性化のための新たな取り組みが可能になる

ふるさと納税のしくみ(お礼の品)

④ユーザー(寄付者)はふるさと納税を行った年の確定申告を行うことで、寄付額から実質自己負担額2,000円を引いた額が翌年の住民税・所得税から控除・還付されます。
※控除・還付を受けられる額には上限があり、寄付者の年収に応じて決定されます。

ふるさと納税のしくみ(控除・還付)

ふるさと納税は、1月-12月の1年で区切りがあり、翌年の1月以降に確定申告をしていただくか、ワンストップ特例申請(1年間で5自治体までの寄付であれば確定申告しなくてもいい仕組み)を利用いただければ、上記のようなメリットが受けられます。

「マネーの子豚ちゃん」イベント開催地の静岡県沼津市では?

駿河湾があったり、狩野川があったり、他にも食に関しては、例えばうなぎや金目鯛、干物が有名であったり、沼津市の沢山の魅力をお礼の品に詰め込んでいて、トラストバンクが運営するふるさとチョイスでは900以上のお礼の品が提供されています。ただし、沼津市に住民票がある方が沼津市へのふるさと納税で寄付すると3つ目のメリットである「控除」がされませんのでご注意ください。

静岡県沼津市お礼の品例:
干物、うなぎ、牛タン、チーズケーキ、サーモン、金目鯛、真鯛、豚肉、青島みかん、富士の恵み、『ラブライブ!』関連など沼津の魅力が詰まった900以上のお礼の品を提供

沼津市×ラブライブ

沼津といったら『ラブライブ!』が有名だと思うのですが、BS日テレ×トラストバンクで運営しているアニメ・漫画に特化したふるさと納税サイト「アニふる」では、沼津市100周年を記念したオリジナルのラブライブコラボのお礼の品を提供しました。これが最近TVCMが流れたり、人気になったことで大きな話題となりました。

沼津市×ラブライブコラボ

ふるさと納税は三方良し

ユーザー(寄付者)は応援したい地域に貢献をしながらお礼の品も貰え、自治体は街がよりよくできたり街のPRをすることができ、生産者や事業者(お礼の品提供者)は全国の方に自分たちの製品や特産物を知ってもらうことができるという、三方それぞれにとって価値をもたらす制度がふるさと納税です。

ふるさと納税は三方良し

総務省から発表されているふるさと納税の理念でも、以下のように記載されています。

第一に、納税者が寄附先を選択する制度であり、選択するからこそ、その使われ方を考えるきっかけとなる制度であること。
それは、税に対する意識が高まり、納税の大切さを自分ごととしてとらえる貴重な機会になります。

第二に、生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域へも力になれる制度であること。
それは、人を育て、自然を守る、地方の環境を育む支援になります。

第三に、自治体が国民に取組をアピールすることでふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むこと。
それは、選んでもらうに相応しい、地域のあり方をあらためて考えるきっかけへとつながります。

総務省 ふるさと納税ポータルサイトより引用https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/policy/

ふるさと納税の歩み

現在、ふるさと納税の申し込みは、全体で約2.4兆円の税金の移転ができる市場規模があると言われています。制度がはじまった初期の2008年度は81億円の税金が移動したのですが、2012年に「ふるさとチョイス」を開設し、その後他にもポータルサイトが立ち上がっていったことで年々利用が拡大しており、2022年度(令和3年度)では8302億円分のふるさと納税の寄付がありました。利用人口は、納税者5000万人のうち、15%である741万人がふるさと納税で控除を受けており、2023年はもっと伸びるのではと言われています。

ふるさと納税の使い道

地域によりそれぞれ特色があるものの、「ふるさとチョイス」の利用においては、4人に1人(23.2%)が子供・青少年分野への取り組みにふるさと納税のお金を使ってほしいという意志を示しています。

ふるさと納税の使い道

静岡県沼津市での寄付金の使い道では、以下のような選択肢があります。

(1)自分らしいライフスタイルを実現できるまちづくり
(2)都市環境の整備と安全・安心のまちづくり
(3)まちのにぎわい創出と産業振興
(4)子どもの支援、子育て支援、教育の充実
(5)環境と共生する持続可能なまちづくり
(6)フェンシング等のスポーツを活かしたまちづくり、歴史・文化・技術の振興
(7)市長におまかせ

株式会社トラストバンクの理念とビジョン

トラストバンク

トラストバンクは「自立した持続可能な地域を作る」というビジョンを掲げ、以下の事業に取り組み、推進している企業です。現在以下4つの事業を展開しています。

①地域内で使える財源を確保する「ふるさと納税事業(ふるさとチョイス)」

②地域内で経済循環させるためにその地域でのみ利用できる通貨の「地域通貨事業(chiica)」

③DXの導入などにより自治体の活動を効率化する「パブリテック事業(LoGoチャットLoGoフォーム)」

④再生可能エネルギーを地域内で発電し、地域内で循環させる「エネルギー事業

トラストバンクの4つの事業

ふるさとチョイスの3つのサービス


ふるさと納税ポータルサイトであるふるさとチョイスでは大きく3つのサービスを展開しています。

地場産業発展のための「ふるさとチョイス

ふるさとチョイス

ユーザーがお礼の品を選ぶことができる、全国初のふるさと納税総合サイトで、1600以上の自治体と業務提携している日本最大の規模のポータルサイトです。90%以上の自治体、50万点以上のお礼の品を掲載。月間2億PVを超えるメディア力も持ち、累計1兆円以上の寄付を還流しています。

課題解決への資金調達のための「ふるさとチョイス GCF(ガバメントクラウドファンディング)

ふるさとチョイス GCF

トラストバンクが考案し、開発したサービスで、近年浸透してきているクラウドファンディングサイトのように「寄付金の使い道から寄付先の自治体=応援したいプロジェクト」を選ぶための課題解決型のふるさと納税サイトです。お礼の品ではなく、プロジェクトに共感してふるさと納税で支援するという形式をとっていて、例えば首里城再建コロナ禍で赤字となっていたジブリ美術館の支援などでも活用されました。1,000プロジェクト超、370自治体超、累計140億円の支援を集め、「2019年度グッドデザイン賞」を受賞しました。2018年からは、広域連携のガバメントクラウドファンディングを開始。

今回「マネーの子豚ちゃん」のイベントが開催された静岡県沼津市でも活用事例があり、GCFにより孤独な子供たちに対して沼津市愛鷹(あしたか)地区と函南町丹奈(かんなみちょうたんな)、粕谷(かしや)に居場所を1か所ずつ新たに設け、それぞれに3人のスタッフが常駐するという新しい体制を整備しました。

災害時の資金調達のための「ふるさとチョイス 災害支援

ふるさとチョイス 災害支援

被災自治体に直接寄付金を届ける仕組みで、有事の際は即座に開設が可能、自治体には無償提供されるサービスです。有事の際は納税証明書の発行などの事務作業が難しい場合があります。そこで「ふるさとチョイス 災害支援」では、別の自治体が代理でこれらを担う形で、自治体同士が支援し合う「代理寄付」のしくみをとっています。最近でも豪雨や地震の被災地で活用されています。

トラストバンクでは、こうしたふるさと納税に関する直接的な事業以外にも、自治体、生産者/事業者様とともに、地域でのふるさと納税の活用促進を目的としたセミナー、イベント、ファンミーティングなどを開催しています。毎年11月頃にパシフィコ横浜で開催している「ふるさとチョイス大感謝祭」では1万人以上が集まり、エンドユーザー(寄付者)、自治体/事業者の三者が集まり交流をするという機会も設けています。

ふるさと納税でのお礼の品の事例と提供方式

お礼の品として出せるかどうかは、総務省のルールや自治体の判断に基づいて決定されます。ふるさとチョイスに掲載されているお礼の品の事例をご紹介しますので、これから出品を検討されている事業者様は、是非参考にしていただければと思います。

お礼の品の提供パターン

ふるさと納税で思い浮かべるものは、お肉やお魚、カニ、お酒といった「食材」のイメージがあるかと思いますが、実はアウトドアギア、ゴルフ関連商品、美容関連、衣類、家具、盆栽といった食材以外の「有形」のものや、旅行・イベント・体験・NFTなど「無形」のものも含め、幅広いお礼の品を提供することができます。

旅・体験系ふるさと納税「きふたび

最近は旅行や体験型のお礼の品にも人気があつまっていて、旅行・体験をテーマに地域の魅力を伝えるトラストバンクのwebサイト「きふたび」では宿泊、花火大会、フェス、農家体験、サーフィンツアー、マラソン大会、グランピング、釣りなど様々なアクティビティをふるさと納税のお礼の品として提供しています。ここでは贅沢な旅行から、地元気分が味わえるような、地域と繋がる交流体験も選ぶことができます。

きふたび

岩手県遠野市のNFTお礼の品事例

リンゴ農家の佐々木さん×遠野鋳造×Green Neighbors Hard Cider× Tales & Tokensが手を組み、生食用ではあいシードル専用のリンゴ生産からシードル製造まで一連の過程をコミュニティに参加しながら応援できるNFTを提供。支援者は、リンゴづくりに参加したり、教わったりできる権利や、商品ブランド決定時の投票権、そしてオリジナルグッズ、イラストなどを得ることができ、応援するだけではなく自分たちもプロジェクトに参加し寄り添うことが叶う「機会」がお礼の品として提供されました。

岩手県遠野市のNFTお礼の品事例

三重県多気町のNFTお礼の品事例

環境対策設備のデジタルオーナーになることで、地域環境への取り組みを応援でき、環境問題を自分事に変えることができるプロジェクトを実施しました。取り組みに「エール」を送ることができ、数値を確認すると「HOSHI」(ポイントのようなもの)が育っていきます。環境貢献の度合いに合わせて独自のポイントが貯まり、webアプリ内でのアイテム購入に使えます。地域の環境貢献に対する取り組みを可視化した全国初のNFTとなります。

三重県多気町のNFTお礼の品事例

ふるさと納税でお礼の品を扱うための主な要件

なんでもお礼の品として提供できるわけではなく、以下の満たすべき主な要件があります。

①地場産品基準(総務省告示第179号5条)に適合すること

②自治体のお礼の品の調達価格が寄付額の3割以下であること(寄付額に対してお礼の品の調達価格が高すぎると税収が確保できないため)

③転売への配慮をしていること

ふるさと納税におけるお礼の品掲載の流れ

ふるさと納税のお礼の品として、ポータルサイトに掲載を行うまでには、いくつかのステップが存在します。主には、総務省が定める地場産品基準を元に、自治体個別のお礼の品登録要件を満たす必要があります。自治体の個別の要件に沿って登録申請をしていただき、これが承認されれば、商品の情報が「ふるさとチョイス」等のポータルサイトに掲載され、寄付者が閲覧できるようになります。寄付の申し込みがあった際は、自治体から事業者様へ発注があり、事業者様の方からお礼の品の発送・役務提供を行っていただきます。

ふるさと納税で知った商品のその後は「めいぶつチョイス」で

寄付の申し込みがあり、寄付者の元にお礼の品が渡ったらそれで終わりというわけではなく、中にはふるさと納税の「お礼の品」として知った商品を、自分や誰かへのプレゼントのために、商品そのものとして“欲しい”というニーズが存在しています。

私たちもそういった事例を実際に何度も見聞きしているので、なんとかならないかと考え、本年「めいぶつチョイス」をリリースすることになりました。これは、地域のこだわりの商品を販売できるECサイトで、生産者、事業者の思いが込められた商品をこだわりやストーリーも踏まえてお届けするサービスです。「めいぶつチョイス」への掲載は、自治体の承認等は必要ないのですが、ふるさと納税のお礼の品として「ふるさとチョイス」に掲載されていると、より大きな相乗効果が生まれることが期待されます。めいぶつチョイスの概要や出店申請はこちらのサイトからできますので、ぜひ一度見てみてください。

めいぶつチョイス
めいぶつチョイスが支援する2つの領域

おわりに


こちらでご紹介した事例はほんの一例ですが、ふるさと納税はユーザーとして思い入れのある地域を応援するだけではなく、事業者様としてお礼の品を提供することで、地域の魅力を知ってもらえたり、資金調達・テストマーケティングにも活用いただけます。ふるさと納税というものが、事業への様々な活用・関わり方ができるものであるということを知っていただけたら幸いです。

関連リンク

■「ふるさとチョイス」
https://www.furusato-tax.jp/

■「ふるさとチョイス GCF(ガバメントクラウドファンディング)」
https://www.furusato-tax.jp/gcf/

■「ふるさとチョイス 災害支援」
https://www.furusato-tax.jp/saigai/

■「きふたび」
https://www.furusato-tax.jp/kifutabi/

■「めいぶつチョイス」
https://entry.meibutsu-choice.jp/

■株式会社トラストバンク
https://www.trustbank.co.jp/


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