なぜAmazonMusicはフリーミアムプランを導入したのか

AmazonMusicが広告付きフリーミアムプランの導入を発表しました。これまでプライム会員のみ利用可能な特典として、Amazon Prime Musicを、有料のAmazon Music unlimited を展開していましたが、今回さらにプライム非会員であっても無料で使える広告付きモデルを発表しました。

サービス内容としては、いわゆるラジオ型サービスで、オンデマンド再生はできないようです。
この発表に関して、同業他社の立場として個人的見解(仮説含む)を書きます。

なぜAmazonMusicはフリーミアムプランを導入したのか、言い換えれば、なぜAmazonは音楽サブスク事業に力を入れるのか?の問いに答えるならば、音楽はデイリーのエンゲージメントが高いからだと言えます。

ECは当然「商品を探して買う」までしかアクティブにはなりません。プライム会員だとしても毎日買う人はほぼいないでしょう。また、VODサービスは週末コンテンツなので、こちらも毎日使うユーザーは少ないと予想されます。

一方で音楽は習慣的に毎日聴きます。VODとは異なりオリジナルコンテンツがほとんどない分、音楽サブスクは各社コンテンツラインナップという意味ではコモディティ化していますが、顧客化できたユーザーとのエンゲージメントは他のエンタメサービスよりも強いのです。

このようにして自社サービスに定着/リテンションさせることで、長期間に渡り関係性を築くことができ、様々なデータを活用しながらナーチャリングを行うことで、有料プランへのアップセルやプライム会員化することを目的としていると思われます。
特にAmazonはECでのフィジカル販売においては国内TOPであり、ユーザーの音楽コンテンツへの興味関心に関するデータを豊富に持ち合わせています。また、ヘッドホンなどの音響デバイスの販売データもあります。それらのデータを活用すれば、見込み顧客の発見からナーチャリングまで、非常に効果的なマーケティングが実現できると容易に想像できます。

ちなみにコロナ禍に対応してフリーミアムプランを導入したのではないか?といったコメントを見かけましたが、それはあり得ません。レーベル各社との交渉はそんなにすぐにまとまりません。何せ各レコード会社+ディストリビューターすべてと個別交渉ですから。少なくとも半年くらい前から動き出してると思います。

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