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【Audible本の紹介5】起業の天才!江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男(大西康之)

5冊目に紹介する本は、2021年に出版された、リクルートの創業社長の江副浩正(えぞえ ひろまさ)さん(1936年~2013年)の伝記です。

この本は、Audibleで、割と早めのタイミングで読んだ本です。約3年前。ボリュームがある本(Audibleで14時間以上聴く必要あり)ですが、面白くて、一気に聞いた気がします。今でも、とても印象に残っています。

今回は、本の内容にも触れつつ、「江副さん個人」と「会社としてのリクルート」に関する感想を書いてみたいと思います。

江副さんについて(特に印象に残った部分)

1.才能と実績について

その才能は天賦のものなのでしょう。東大に入って、学生向け企業就職情報を広告として売ることを考えて、それで起業して、その後、カーセンサーやゼクシーなどの情報誌ビジネスを始めて、いずれも成功を収めています。

その後は、土地(不動産)ビジネスやデジタル関係の新規事業に取り組みましたが、前者はリクルート事件につながり、後者は時代を先取りしすぎて、失敗しています。(デジタル移行は、その後に実現されて、現在、リクナビなどのサービスが展開されています。)

2.人柄について

あまり社交的でなく、リーダー型でもないようですが、新しいことにチャレンジするんだという精神はとても強かったようです。
有名な「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」。
この考え方は、リクルートの初期の成功の要因の一つと捉えらえます。

一方、お金や投資への執着が強かったようです。それが悪い方向に行き、不動産投資事業やリクルート事件発生につながった部分はあるようです。

反骨精神や粘着質な感じも受けます。本の中でも出てくる、経団連や大手企業への怒りや反発などは、良い面と悪い面の両方につながっているように感じます。

3.地域振興(安比高原)について

 リクルートは、江副さんの発案による事業として、安比高原の開発(スキーリゾートやホテル経営)を行いました。自分が、自治体職員だから感じたことかもしれませんが、この分野を自治体ではなく民間企業がやると、こういう風にやれて、こんな具合に成功するという事例として、興味深いです。
 なお、晩年の江副さんは、JR東京駅で倒れて頭を打ち、それが原因で亡くなられたのですが、安比高原でスキーをした帰りの出来事だったそうです。
スキーや安比高原への愛着は晩年まで尽きなかったようです。

リクルートという会社について(特に印象に残った部分)

1.他の会社との違いについて

リクルートという会社は、「ファクトとロジックの会社」という表現が文中に出ていますが、それまでの日本の大企業と一線を画する感じがします。創業の経緯や常に革新的なビジネスを興すための仕組みとして、そうなったのかもしれませんが、あえて、既存の企業とは違う会社を理想像として目指した感じがします。
一方では、会社として「いかがわしい」感じがあることを良しとする部分もあるようです。あえて、普通の会社とは違う部分を持ちたいという感じを受けます。
このリクルートの特徴的に似た会社を探すとしたら、楽天や外資のコンサルティングファームが近いものを持っているのでは、と感じます。

2.主な社員や歴代の社長について

江副さん以外の主な社員(創業期のメンバーなど)のパーソナリティと活躍の部分も興味深いです。リーダータイプ、研究者タイプ、会社に尽くすタイプなど、さまざな人材がそろっていたことが成功の要因と感じます。そういう人材を江副さんが求めて、引き寄せていたのだと感じます。
また、2代目から現在までの後任の社長が、どんな人たちで、それぞれの時代のリクルートを形作ってきたこと(借金返済だったり、デジタル事業への取組だったり)がわかったのも面白かったです。

3.社員が起業する会社文化について

リクルートには、もともと30歳で起業する(他の会社への転職を含む)ことを、割増退職金を出し、推奨する仕組みがあるそうです。
会社としての新陳代謝を図るという意図と、日本のビジネスや社会の役に立つ人材をどんどん供給するという意図があるようです。

面白いし、シンプルでわかりやすい本です。お勧めです。

なお、別のリンクも貼っておきます。

PIVOTの企業分析シリーズ「リクルート編」



堀江さんの企業解説シリーズの一つのリクルート社編です。
①(前編)が「起業の天才」の内容とだいたい一致する時系列的な話です。
②(後編)はリクルート事件の解説とその後の(今の)リクルートに関する解説です。



この堀江さんの解説は①②とも面白いし、とても分かりやすいです。

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