見出し画像

最大10.3型ディスプレイ ・手書きでメモを書き込める電子書籍リーダー「Kobo Elipsa」は売れるか?


こんにちは、思考力特訓中の恩田です。

本日は電子書籍リーダー「Kobo Elipsa」を取り上げます。


この製品の特徴は、

・Koboの電子書籍リーダーで最大となる10.3型の電子ペーパーディスプレイを搭載。
・カスタマイズ可能なボタンが付いた専用スタイラスペンも付属し、電子書籍に手書きでメモを書き込める。
・価格は46,990円


今回、本製品を取り上げたのは、私自身が興味を惹かれたため。

私、未だ紙本。

紙のデミリットはとにかく本が増え続け、整理に困ること。

また、読みたい時にその本が見当たらず、本探しに結構な時間を費やしたり。

この点、電子書籍であれば、端末一つが本棚となり、なおかつ検索機能で読みたい時に読みたい本にすぐアクセスできる。

メリットだらけなのですが、一つだけ私にとって、紙に劣る最大のデメリットがあるのです。

それが、

「本への書き込みができない」

紙だと線を引いたり、書き込みも自由自在。

これ、紙本の最大のメリット。

私は頻繁に書き込むので。

だから私の場合、電子と紙を比較したとき、

「整理・検索(電子)」< 「本への書き込み(紙)」

と、紙に軍配が上がるのです。


そこへ、書き込みOKの電子書籍リーダーが登場。

う~ん、気になる。

というわけで、

本日は私の物欲も兼ねて、

「kobo Elipsa」は

売れるか(買いか)?

売れないか(ステイか)?

を検証していきたいと思います。


1.書籍市場はどうなっている?

まずはさっくり、書籍市場を見てみましょう。

画像1

出版市場全体では18年→19年→20年と微増してますが、伸びているのは電子媒体で紙は減少しています。

次に電子のみを単独で見ると、

画像2

右肩上がりで今後も成長が見込まれています。

電子書籍ジャンル別では?

画像3

「文字もの等」と「コミック」だとコミックの比率が圧倒的に高く、伸び続けているのがわかります。

2011年比でコミックは6倍、文字モノは4倍となっています。

では最後に、電子書籍サービスの人気順位は?

画像4

1位kindle、2位LINEマンガのシェアが高いですね。

ちなみに今回のテーマで取り上げている楽天koboは5位13.6%となっています。

【参考】


2.コンテンツはどうか?

それでは、ここから「Kobo Elipsa」にフォーカスしていきます。

まず、本製品、最大の特徴は

電子書籍に手書きでメモを書き込める
※書籍へのメモだけではなく普通の電子メモとしても使える

では、手書きでメモを書き込むのはどんなジャンルの本?

先の分類にあった、

「コミック」と「文字もの」であれば、

コミックへの書き込みニーズはほぼ皆無でしょう。

そうすると「文字もの」。

文字ものでもフィクション小説などの趣味・娯楽系ではなく、ビジネス系や教育・参考書などの学び系でしょう。

そうすると、書き込みたいジャンルの本を楽天Koboで取り扱っているかが一つのポイントになります。

つまり、想定顧客のニーズに見合ったコンテンツが揃っているか?

※Kobo Elipsaは楽天koboで購入した書籍しか読めませんので

電子書籍サービス1位のkindleと楽天koboのジャンル別冊数比較、以下サイトによると、

ビジネス・経済:50,000冊(kindle)、30,000冊(楽天)
人文・思想・社会・歴史:100,000冊(kindle)、60,000冊(楽天)
科学・医学:40,000冊(kindle)、10,000冊(楽天)
趣味・アート・スポーツ:40,000冊(kindle)、20,000冊(楽天)
教育・語学:15,000冊(kindle)、15,000冊(楽天)

と調査結果が記載されています。

※本データ、出典は記載されていませんが、記事の内容から分析材料になり得ると判断し活用させていただきました。

kindleの方が充実しています。

楽天がkindleに勝るジャンルは、文学・小説、ノンフィクション、コミック、写真集、アダルトでどれもあまりメモ書きが重宝されるとは言えなそうです。

まずこの点において、想定顧客であるビジネスパーソン、学生さんから支持を得ることは難しい予感がします。


3.電子書籍リーダーの既存顧客と新規顧客の視点から

次に、顧客視点で考えます。

①これまで電子書籍サービスを活用し電子書籍リーダーを使っていた
②これまで電子書籍サービスを活用ししていたが、電子書籍リーダー以外の端末で購読していた(スマホ無料アプリなど)
③これまで電子書籍リーダー・電子書籍サービスを活用していない

3パターンに分けて、各パターンの顧客別に「kobo Elipsa」の購入の可能性を見ていきます。


①これまで電子書籍サービスを活用し電子書籍リーダーを使っていた

従来のkindleリーダー、koboリーダー等を活用していた層です。

まず、kindleのヘビーユーザーはKoboElipsaの購入対象から外れるでしょう。

前述したように、kindleで購入した書籍はkoboリーダーでは基本読めませんので。

あと、kindleリーダーユーザーからしたら、koboがメモ書き端末を出したということは、いずれkindleも発売するであろうから、その時を待つでしょうし。

そうすると、koboリーダー利用者はどうか?

これはElipsaへのアップグレード(買い換え)は考えられるでしょう。

これまでkoboで購入した書籍はそのまま読めますし。

ただ、本製品は従来のkobo製品と比較して高額です。

従来型が1万円~3万5千円の幅だったのに対して、4万6千円。

もう少し出せばipadが買えてしまう金額です。

ここは躊躇があるのでは?

koboユーザーにとっても価格のハードルは高いように感じます。


②これまで電子書籍サービスを活用ししていたが、電子書籍リーダー以外の端末で購読していた(スマホ無料アプリなど)

この層はなおさら購入確率は低い気がしますね。

何せ、無料アプリで読んでいるのですから。

kindle、koboそれぞれのアプリをスマホに入れれば、それで両方読めてしまう。

これ、一番合理的な気がします。

そのうち、iphoneあたりでもメモ書き機能を出してくるかもしれませんからね。


③これまで電子書籍リーダー・電子書籍サービスを活用していない

Kobo Elipsaの登場によって、電子書籍デビューする人のことです。

これは電子書籍リーダーの新規顧客に該当しますね。

(私も購入したらここ)

これは私事で考えますが、コンテンツ次第でしょう。

要は「メモ書きしたい本」が多数取り扱われているか?

残念ながらkindleの軍門に下ります。

まあ、主要な書籍はほとんど扱っているでしょうけど、いざ買いたい本が扱い無しだと消沈しますから。

であれば、これまで慣れ親しんできた慣習を改めようとはなりません。

このあたりは、かたくなにガラケーのまま(スマホに買えない)、我が母親と同じような感覚なのかもしれません。


4.結論

以上、「コンテンツ」と「顧客」、「価格」の観点から、

私の結論は、

「売れ行きは厳しいのでは」

です。


逆から言えば、

「コンテンツが揃い」

「価格がもう少し安ければ」

新規顧客(これまで紙本に慣れ親しんでいた層)を取り込める気がします。


この商品、現在予約受付中で6月25日発売。

行方はいかに???

見守りたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?