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【エヴァ考察】 初号機と第13号機

今回はやたら似ている紫のエヴァンゲリオン2体についてです.
以下シン・エヴァのネタバレを含みます.

1.初号機と三位一体

以前、エヴァにおける三位一体の考察を見かけました(2:20あたりから).

ゲンドウ「ゴルゴダオブジェクトだ.ヒトではない何者かが、アダムスと6本の槍と共に、神の世界をここに残した.私の妻、お前の母もここにいた」

この台詞から、神の世界にいたユイは神と考えられます.そこから父なる神・綾波ユイ、神の子・綾波シンジ、聖霊・綾波レイという設定が成り立つという話です.この3名が揃う初号機はもはや“神“そのものといえます.

アスカ「神に機体を似せたところで所詮は人の作り出した、第13番目の汎用人型決戦兵器」
アスカ(オリジナル)「最後のエヴァは神と同じ姿」

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13号機が初号機に似ているのは神(初号機)に似ていたからでした.ちなみに最後のエヴァンゲリオンはもう1機います.

マリ「ありがとう.8+9+10+11+12号機.ご苦労様、最後のエヴァンゲリオン」

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この機体も神の姿なのでしょう(詳しくは「マルドゥック計画/ネブカドネザルの鍵」).

脱線ですが、シンジは劇中ラストで人々を救いに救って神の子してました.レイはといえば確かに時折幽霊みたいでした(以下順に旧劇、序、Q、シン).

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......ただ、守護霊もしていたかもしれません.

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(序C-1434)レイ「あなたは死なないわ」
(序C-1435)同 「私が守るもの」

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(破C-1570)レイ「碇くんがもう......」
(破C-1572A)同「エヴァに乗らなくていいようにする」

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(Q・C-1044)カヲル「Mark.09のことかい.援護のためだよ.ヴィレの動きを警戒しているのさ」
 シンジ「そんなの僕らだけで十分だよ」
(Q・C-1045)シンジ「...綾波じゃないのに」

Qの黒波の仲間はずれ感はぴえんですが.
シン・エヴァではシンジをずっと気にかけていました.

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2.対としての13号機

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ゲンドウ「第13のエヴァ、希望の初号機と対をなす絶望の機体だ」
マリ「神が与えた希望の槍カシウスと絶望の槍ロンギヌス」

話を戻して、思えばこの2機はいろいろと対をなしていました.

初号機:希望の機体、希望の槍カシウス
コアにユイ、パイロットにシンジ、レイ(オリジナル?)
13号機:絶望の機体、絶望の槍ロンギヌス
コアにゲンドウ、パイロットにカヲル、アスカ(オリジナル)

この対にする意味について考察出ました(「13号機とシンクロの話」).

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ユイさんは旧作同、初号機のコアに融合していることがQで判明しました.そして13号機については上の画像、喉の奥に見える赤い球体がきっとコアで、ゲンドウはそこにダイレクトインしたのかなと考えています.公開前にゲンドウのコアへのダイレクトエントリーを予想していた方を結構みかけて驚きました.

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この姿勢からカヲル搭乗を予想してた方も結構いまして、皆さんさすがです.
ちなみに冬月ゲンドウのダブルエントリーは叶わず残念でした笑

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カヲル君は前田監督とメカ担当の山下さんが小ネタ明かしてくれましたね(動画ははじめの方).

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上の画像はシンジのエントリープラグが13号機から排出される際のもの.この描写から13号機にカヲルが保存されたことまでは踏んでいましたが、そのままでは操縦できないということで吹き飛んだ肉片?から身体を再構成した設定があったとは、作り込まれています.

ところで両機体に「運命を仕組まれた子どもたち」全員が揃ってますが、これは意図してのことでしょう.マリはといえば、破の画コンテ(下記C-203)や脚本段階では第4の少女の設定がありましたが、本編ではなくなってるのもこの辺りが関係していそうです.

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破コンテ(マーカーは引用者)


3.YOUは何ゆえ13号機に?

さて、初号機の3名には理由がありましたが、13号機はどうしてあの3人なのか.
なんとなく3人とも闇を抱えていそうなのは想像つきますが.

(1)渚カヲルの場合

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「僕の存在を消せるのは真空崩壊だけだ.だから僕は定められた円環の物語の中で、演じることを永遠に繰り返さなければならない」

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彼は、生命の書に人の名を書き加えることのできる特別な人物でした.しかも繰り返される世界で記憶の継続が許されるゆえの途方もない絶望感.おそらく自分だけがこの状況を認識でき、誰ともその認識を共有できない中で、延々と繰り返しの世界を見届けてきた.理解してくれる他者を求めていたことでしょう.

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加持「あなたはシンジ君を幸せにしたいんじゃない.それにより、あなたが幸せになりたかったんです」

劇中異常にも思えた、シンジに対するあの圧倒的完全無欠の無償の愛の裏には、自身のさみしさをシンジに重ねていたのかもしれません.自分を救うことは叶わないが、せめて心を通わせられる人の幸せを傍で感じることで自分をなぐさめていたのではないでしょうか.あの包容力の裏では誰よりも孤独だった.

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カヲル「僕は君だ。僕も君と同じなんだ。だから君に惹かれた。幸せにしたかったんだ」
シンジ「カヲル君は父さんと似ているんだ。だから同じエヴァに乗っていたんだね」


(2)アスカの場合

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シン・エヴァの伏線回収で最も衝撃的だったものの1つが彼女の正体でしょう.自身が複製体という事実に加えて、彼女がどうしてエヴァパイロットとしてあれほど優秀だったのか、どうしてあんなに高飛車だったのか.単にキャラとしての色づけではなく壮絶な生まれや育ちを背景にしていたことがわかりました.

「パパはわからない、ママもいない.だから誰もいらないのよアスカ.誰もいなくていいようにする.そうしないと辛いから.生きているのが苦しいから、エヴァに乗る.人に嫌われても、悪口をいわれても、エヴァに乗れれば関係ない.ほかに私の価値なんてないもの.誰も必要としない、強いからだと心を持つの.だから私をほめて、私を認めて、私に居場所を与えて.ほんとはさびしい.ほんとはただ、頭をなでてほしかっただけなの」

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引用が長くなりましたが、この負けヒロインのたくましさゆえの美しさ.
彼女もずっとさみしさに耐えてきた人でした.

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なお補完シーンのアスカについて考察しました(「式波アスカのオリジナル」)


(3)碇ゲンドウの場合

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ユイユイ.ユウ(イ)までもない.

以上、彼(女)らは共通して孤独を背負っていた.それも絶望と呼べるほど?

なんとも雑な括り方になってしまった感があります.もしかしたら初号機と同じく聖書等に準えた設定があるのかもしれません.

今回は以上になります.最後までお読みいただきありがとうございました.
ご意見、感想等頂ければ幸いです.

なお関連記事として(13号機の素体)「セカンドインパクトと13号機」.

また台詞は次の記事を大いに参考にさせていただきました.

画像:©khara/Project Eva.

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