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「プラットフォーム革命」を読んでみた 前編〜プラットフォームビジネスの台頭、その構造や特徴、そして影響〜

こんにちは。おなつです。

今回は「プラットフォーム革命――経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか」を読みました。

こちらは家族が先に読んでおり、おすすめしてもらった本です。
要約と感想を述べたいと思います。

今回は少し長くなったため、前編・後編と分けてお話ししたいと思います。
第1章から第4章までがプラットフォームビジネスの台頭、その構造や特徴、そして影響について詳しく説明されています。
後編の第5章から第8章まではプラットフォームビジネスが直面する課題や将来の展望について探究された内容となります。

文字だけ見ると物々しい雰囲気を感じますが、一部の「プラットフォーム」がなぜ成功したのか?ビジネスモデルはどうなっているのか?を書かれた本です。

その本書で出てくるプラットフォームFacebook・Airbob・Tinder・Uber・アリババなど多岐に渡りますが、実は自分も日頃からお世話になっているアプリやサービスなども含まれており、非常に読みやすい一冊となります。


著者について

・アレックス・モザド
アプリコの創業者・CEO。モバイル技術とプラットフォーム技術の専門家。ブルームバーグ、CNBC、FCXにコメンテーターとして出演。非営利の開発者支援団体「アプリケーション・デベロッパーズ・アライアンス」の共同創設者でもある

・ニコラス・L・ジョンソン
アプリコのプラットフォーム責任者としてプラットフォーム研究を統括。クライアントのビジネスモデル設計や最先端プラットフォーム構築を支援する。

本書より引用

プロローグ:燃えるプラットフォーム

ここでは選択を間違えたが故に失敗となったサンプルを説明しています。

プロローグのタイトルである「燃えるプラットフォーム」。
これはノキアのスティーブン・エロップCEOが全社員に向けて送信したメールの一節から来ています。
当時瀕死の経営状態だったノキアを、石油プラットフォームで火災に巻き込まれた作業員に例え、「私たちも『燃えるプラットフォーム』に立っている。今後のあり方を決めなくてはならない」と伝えています。

かつて10年以上世界一の携帯電話メーカーといえばノキアと言われていましたが、2011年ごろにはiPhoneとAndroid端末にシェアを奪われている状態でした。(iPhoneの発売は2007年・Androidのリリースは2008年)
選択を間違えたノキアは結果2013年に携帯電話端末事業をマイクロソフトに売却しています。

ちなみにこの章、ノキアとブラックベリーの盛衰について語っているので当時の従業員のことを考えると胸が痛いです。

第一章:プラットフォームが世界を食い尽くす

本章ではプラットフォーム経済の台頭に焦点を当てています。プラットフォームとは、顧客と提供者を結びつけ、彼らの間で価値を交換する仲介者です。UberやAirbnb、Facebook、Amazonなどのプラットフォーム企業が急速に成長し、従来のビジネスモデルを変革していることが指摘されています。

プラットフォームの特性として、「ネットワーク効果」が取り上げられます。これにより、参加者が増えるほどプラットフォームの価値が高まり、市場シェアが拡大します。プラットフォーム企業は従来の企業とは異なり、製品やサービスの提供者ではなく、参加者同士を結びつける役割を果たします。そのため、プラットフォーム全体の成長によって経済的価値を蓄積することができます

本書におけるプラットフォームビジネスモデル

この章では、プラットフォーム経済の影響についても議論されます。プラットフォームの台頭により、産業構造が変化し、新たなビジネスモデルが生まれることで、イノベーションと競争が促進されます。また、プラットフォームは効率的なマッチングやリソースの最適利用を可能にし、経済全体の効率性を向上させるとされています。

現代のビジネス環境では、プラットフォーム経済の特性を理解し、それに適応することが成功の鍵となると書かれています。

左からプロダクトマーケットプレイス「ebay」・コンテンツプラットフォーム「GitHub」・開発プラットフォーム「iOS」)

第二章:ハイエク対コンピューター ―または20世紀についての知識すべてがまちがっている理由

本章では20世紀の経済学者フリードリッヒ・ハイエクの考えと、現代のコンピューター技術の関係について説明しています。

ハイエクは「個人の知識が分散しており、それを中央で一元管理することは困難である」だと主張していました。
経済活動は個々の人々が持つ情報と知識に基づいて行われるべきであり、それを一元的に管理しようとする試みは失敗する可能性が高いとされています。

しかし、コンピューター技術の進歩により、膨大な量の情報を収集・処理し、必要に応じて分析することが可能になりました。これにより、従来のハイエクの主張とは対照的に、中央集権的な情報管理が一層容易になる可能性が生まれました。

本章では、ハイエクの思想とコンピューター技術の進化が対立するように見える一方で、実際には両者が調和する方法も示されています。
コンピューター技術は、個々の人々が持つ情報や知識を収集し、効果的に活用する手段として利用されています。
例えば、検索エンジン(Google・Yahoo!など)やソーシャルメディアプラットフォーム(X・Instagramなど)が、個々の利用者の行動や嗜好に基づいて情報を提供することで、個々の知識を統合し、集約する役割を果たしています。

ハイエクの考えとコンピューター技術の関係が説明され、両者がどのように経済に影響を与えるかが示されています。
コンピューター技術は、個人の知識を活用し、経済を活性化させるための有力なツールとなっています。

コンテンツプラットフォーム「Wikipedia」

第三章:限界費用ゼロの会社

本章では、プラットフォーム企業が他の企業とどう違うのか、その理由が説明されます。
一つの違いは、「限界費用ゼロ」という概念です。
これは、プラットフォーム企業が追加の顧客や提供者を受け入れる際に、ほとんど追加のコストがかからないことを意味します。
普通の企業との違いは以下となります。

・普通の企業
商品を作るために原材料や製造設備(工場など)を用意する必要があり、顧客が増えれば増えるほど追加のコストが発生する。
・プラットフォーム企業
顧客と提供者をつなげるためのプラットフォームを提供するだけで十分であり、追加のコストがほとんどかからない。「限界費用ゼロ」。

例えば、Uberはアプリを作ってドライバーと乗客をつなげるだけで、追加の車両や施設を必要としません。そのため、顧客が増えるとコストが増えることがありません。

プラットフォーム企業は第一章で説明した「ネットワーク効果」という利点も持っています。
これは、プラットフォームに参加する人が増えるほど、そのプラットフォームの価値が上がるという現象です。
例えば、SNSに参加する人が増えれば増えるほど、そのSNSの楽しさや便利さが増します。プラットフォーム企業は、このネットワーク効果を活かして、自社のプラットフォームに参加する人を増やし、市場シェアを拡大しています。

プラットフォーム企業が持つ「限界費用ゼロ」・「ネットワーク効果」の特徴によって、プラットフォーム企業は効率的に成長し、競争力を高めています。

アメリカのサービスマーケットプレイス「ハンディ」

第四章:現代の独占―プラットフォーム資本主義と勝者総取り経済

本章ではプラットフォーム企業が急速に成長し、市場における独占的な地位を築いていることが取り上げられます。
プラットフォーム企業は、自社のプラットフォーム上で他の企業や個人を結びつけ、その運営によって市場を支配することができます。
例えば、AmazonやGoogleなどがその代表例です。

このようなプラットフォーム企業が市場を独占することで、競争が制限され、他の企業や新興企業が成長するのを難しくしています。また、プラットフォーム企業は、自社のプラットフォーム上で他の企業や個人に対して不公平な条件を課すこともあります。これにより、市場における公正な競争が阻害される可能性があります。

さらに、プラットフォーム企業は大量のデータを蓄積し、そのデータを活用して市場での優位性を確立します。彼らは、顧客の行動や嗜好を分析し、個別にターゲットを絞った広告やサービスを提供することができます。これにより、顧客の情報を活用した差別的な取引が行われる可能性があります。

プラットフォーム企業が市場における独占的な地位を築く方法とその影響が詳しく説明されます。彼らの台頭は、新しいビジネスモデルの台頭とともに、市場や経済に影響を与えています。

中国のプロダクトマーケットプレースプラットフォーム「タオバオ」

前編では、プラットフォームビジネスの基本的な概念や特徴について理解を深めることができました。特に、プラットフォーム企業の台頭がどのようにして起こったのかや、そのビジネスモデルが従来のものとどう異なるかについて知ることができました。

後編では、これらの問題に対する解決策や将来の展望についても探求していきたいと思います。

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