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いくら健康でも、抜くときは抜くんだよ。

抜歯して90分後の自分が想像できない。そんな自分はもういない。さっき右下の親知らずを四分割に粉砕されてきました。ドリルの感覚がまだ骨に残っています。

ずっと口元へのコンプレックスを抱えてきました。矯正ってしなくていい人間もいるのに、労働と対価を手に入れた私は100人の諭吉を口元に注ぎ込むことしました。働けてよかったよ。自分のコンプレックスを推しに変貌できるのだから。

しかし、その矯正を始めるためはまず、歯茎の奥に埋まった親知らずが邪魔なんだそうです。一度も日の目を浴びてこなかった私の親不知たちは、歯である誇りを投げ出して、怠けて横になっていました。持ち主が持ち主なら歯も歯です。

と、加えて私の顎は矯正するにあたって日本の茶室並みに狭くて小さいので、今ある歯を綺麗に並べようとすると大変に「密」なんだそうです。お前もかブルータス。

そして今回の抜歯。初めて自分の骨を削られる経験をしましたが、その前に削るよりも麻酔注射にビビり倒しました。水の入ったコップが震えて掴めないほどで、担当医が子供をあやすように休息時間をとってくれました。マジで感謝しかありません……

お化け屋敷に入るときだってあんなに全身16ビートを刻みはしませんでした。

脳内でひたすら「受け入れよ……」と自分の恐怖を消化していくうちに、麻酔が効いてきて口元が痺れてきていました。あ、これならいけそう。

「おねがひひます……」

 じんわり降りてきた覚悟を胸に、治療のゴングを鳴らしました。結果は完勝。麻酔を乗り越えればいつもの歯の治療と変わらない、無機質な機械音と口元にあたるライトの世界でした。

 小さい頃から歯医者に通い詰めていたので、抜歯中は打って変わってリラックスしていました。今までの経験値が活かせました。ありがとう母よ。

私の親知らず(右下くん)は二股に分かれていたので、骨をだいぶ削ったようです。南無三……。

これからパツパツに腫れてくるそうなので楽しみです。てかボコボコにされた顔の変貌を楽しむってどうなの。


いや、いいんだよ。人生楽しんだもん勝ちだからさ。





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