ローリングストック食について③

ローリングストック食開発の裏話です。レシピとしては完成しているけど、諸事情によって出せない商品のことをここにかいておきたいと思います。

「セネガル風鯵納豆ご飯」です。

まず、アフリカ? そして、どうしてセネガル? よりにもよってなぜ納豆なのか? という疑問が浮かんだかもしれません。

順を追って説明しますと、レシピを思い付いたきっかけは、この本のなかにあります。

とても楽しく、興味深く読める本なので、是非皆さんにも読んでいただきたいのですが、要するに

「セネガルは食材に恵まれており、かつてフランスの植民地下にあったこともあってか、アフリカのなかでも美食の国として知られている」

「同じくフランス植民地下にあったベトナムから米を輸入していたために、米食文化がある」

「アフリカにも納豆があり、セネガルでも良く料理の出汁として利用されている」

「セネガルには{セ・ボン(フランス語で、直訳するとおいしいの意味)}という料理があり、それは焼いた鯵と乾燥納豆を使った炊き込みご飯である」

ということです。美食の国(らしい)セネガルで、料理名が「おいしい」ときたら気にならないはずがないですよね。

本のなかで紹介されているレシピをみる限りでは、メスティンで作ることも可能そうだし、使われている具材も入手がさほど困難ではなさそう。レシピと具材を読んだ感じでは、そんなにとんがった味にはならなさそうだし、本のなかでも「なぜか懐かしく優しい味(意訳)」といった感想がのべられていたので、備蓄食としての条件も備えていそう。

実際に試作してみたところ、確かにおいしかったのです。「納豆嫌いの人は一定数いるからどうかな?」という懸念もありましたが、乾燥納豆を粉にしてチリやフライドオニオンなどと混ぜる作り方もあってか、納豆独特の風味はさほど強くでてこない。

万人向けで、作りやすく、なおかつ面白い、というローリングストック食を作る際に決めている基準を全てクリアしているので、これはラインナップ入り確実だ、と思ったのですが、大きな落とし穴がひとつありました。

僕は冬の間、日本酒の酒蔵で働いています。ご存じのかたも多いかもしれませんが、日本酒の酒蔵においては納豆菌は絶対持ち込んではいけない菌なのです。麹を作る部屋(麹室)が納豆菌に汚染されると、場合によっては部屋を新築しなければならないほどで、蔵見学に来たかたに対しても朝に納豆食べてきた人は入場禁止にするほど徹底しています。

乾燥させた納豆でも菌は生きていますから、少なくとも冬場酒蔵で働いている間、僕にはこの商品を製造することはできません。

酒蔵の仕事が終わったあとの、来年5月号くらいでこの商品を送りたいな、と思っています。

「セネガル風鯵納豆ご飯」味はなかなか想像できないと思いますが、間違いなくおいしい料理だと思いますので、楽しみにしていただけると幸いです。

どうしても気になって待ちきれない、という方は前述の本をお読みいただき、作ってみてください。他にも面白い料理や、目から鱗が落ちる用な情報が山盛りなので、読んでみて損はないと思います。

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