デザイナーとエンジニアのタンゴ💃
株式会社ゆめみに入社して約9ヶ月が経ちました。いつの間にかもう年の瀬ですが、歳月の早さを感じると同時にまだ社会人になって1年も経っていないことに驚きます。新しく体験する出来事の数がこれまでの僕の人生の平均値と比べてどう考えても9ヶ月のそれではない。体感では2年ほどの月日を過ごした覚えがあり、おでこも通常の二倍のスピードで後退したきがします。もはやiPhone15 pro Maxくらいある。特にオンライン会議で自分の映る画面を見ると僕だけ他の人より肌色がやたらと多い気がする。正面から見たらほとんど坊主と変わらない。
で、今回はたくさんの経験の中でも印象的なデザイナーとエンジニアとの協業というテーマで記事を書こうと思います!
4月に入社してすぐ、僕は社内求人サイトを作るアジャイル研修に参加することになりました。先輩社員に誘われ、何が行われるのかよく分からないまま参加することになったのですが、いざ始まってみると思っている以上によく分かりませんでした。アジャイルというものがなんなのか、エンジニアとどうコミュニケーションをとっていいのか、たくさんの不安を抱えておりました。しかし、やること自体に意味があるという先輩の言葉を信じ、とりあえず深く考えずにやってみよう、の精神で手探り状態で始まりました。
何をやったかざっくり説明すると、job boardと呼ばれる社内求人サイトのリニューアルを新人だけで作成するという研修です。最初はjob board に関する理解を深めるwsから始まり、ワイヤーフレーム、画面遷移、要求定義などなど、実践的な開発を2週間のスプリントのサイクルに則ってアジャイル開発を体験するというものです。僕はデザイナーとしてwsの企画、ワイヤーフレームの作成、そして途中からはフロントエンドエンジニアと協業しながらデザインの決定していきました。当時は分からないながらも頑張ってるなと思っていましたが、今振り返ると自分は何も分かっていなかったなあと赤面です。
というのも、その研修が終わってからエンジニアにとって良いデザイナーとは、またその逆も然り、お互い忖度せずに同じ目線で協業するには何を知っていればいいのか、お互いがお互いの仕事の内容を一度経験して、仕事を全部理解している必要があるのか、その辺を考える勉強会を開催しうまい協業の仕方を知りました。
そういうことで、デザイナー2人+フロントエンドエンジニア1人の三人で「うまい協業を企てる勉強会」が始まりました。最初はエンジニアってデザインデータを受け取った後どうやってコードを書いているのか、そのときどんなこと考えているのか、業務の中で発生するデザイナーとのコミュニケーションのときの本音はなんなのか、などのテーマで研修を振り返っていました。その中でどうやらエンジニアはオブジェクトという情報の単位を意識して、コードを書いていて、UIを見るときもそのオブジェクトを意識してあれこれ言っているらしい。当時オブジェクト指向という言葉自体なんとなく知ってはいたものの、エンジニアとのコミュニケーションに役立つものという理解は全くありませんでした。
そこで、エンジニアのいうオブジェクト指向とはなんなのか、それを理解するには実際にコードを触ってみるのがいいのではないかということで、React, TypeScriptを使ってプロフィールカードを作ってみようの勉強会になりました。 結果から言うと、オブジェクト指向を通してエンジニアとのコミュニケーションが一段とスムーズになることを体感することができました。しかし同時にエンジニアとデザイナーが真の意味で分かり合えることなんて不可能なんじゃないかという、もう一つの結論に至りました。暴論ですが、少なくとも僕のように学生時代デザインを学んできたデザイナーと、同じくエンジニアリングを学んできたエンジニアでは、脳のシナプスの結びつきから異なり、その思考はお互い理解するところではないと考えています。もちろん両者を経験するデザインエンジニアといった方がいることは知っていますし、そういった方が両者を理解していないと言いたいのではありません。
<余談>イヌイットは雪に対し、その状態に応じて諸説ありますが4から6の語を使い分けていると言われています。(派生語幹まで含めると16から20語とも言われています。)詰まり、イヌイットは我々と異なる解像度で雪を見ていると言うことであり、それと同じように、デザイナーは一言に「重厚感」と言っても異なる解像度で捉えているんだと思います。さらにイヌイットは自分たちで新しい雪の状態をクリエイションすることはありませんが、デザイナーはまだ世にない新しい「重厚感」を求めてクリエイションし、またそれを異なる「重厚感」として識別するということを行う必要があります。イヌイットの解像度で雪を捉えられるようになるのには、実際にその状態を体験し、大袈裟に言えばその状態に紐づけられた独立したシナプスが脳内に生成される必要があるので、一朝一夕には難しく、仕方ないですが、泥臭くひたすら実感を積むしかないのかなあと思っています。また逆にエンジニアの立場から見ても然りでしょう。
なのでこの例にとって言うと、やっぱり両者を体験するデザインエンジニア的人材は、異なる二つの結びつきを持つシナプスを持ち得ており、真に理解していると言えるかもしれません。なので先ほどの持論は撤回し、生意気な暴論であったことを謝罪します。
つらつらと脱線しましたが、勉強会でどんなことを学んだのか、オブジェクト指向とは一体なんなのかをここでまとめようと思ったのですが、同じ勉強会に参加していた同僚が同じテーマで記事を書いたので、そちらを参照してください。本当は僕が先にこのテーマで記事を書くといっていたのですが、一向に描き始めなかったため、いつのまにか同じテーマで記事を書かれており、書くことなくなっちゃったというのが本音です。でも優秀な同僚なので、僕が書くよりよっぽど分かりやすく、ためになる記事を書いてくれました。同じ内容を書いてもアウトプットとしては意味あるかもしれないけど、比較されても嫌だし、アドベントカレンダーとして違う方がいいかなとも思い、また記事の内容はなんでもいいと言われたので、ここではオブジェクト指向が助けるエンジニアとデザイナーの協業にみるタンゴについて書きたいと思います。
実は僕高校時代タンゴ部に所属しており、部長を務めておりました。そのタンゴ部部長の経験から、エンジニアとデザイナーの協業を助けるオブジェクト指向の存在が、タンゴにおける音楽の存在に似ている気がしまいました。
そもそもタンゴとは、アルゼンチンおよびウルグアイ発祥の音ダンススタイルで、音楽ジャンルの一つを指すこともあります。音楽は通常、バンドネオン、ギター、ヴァイオリン、コントラバスなどの楽器を使用して演奏され、歌詞はしばしば愛、郷愁、苦悩などの情熱的なテーマを扱い、感情豊かでメロディアスな旋律が特徴です。そしてそのダンスは、2人のパートナーが非常に密接に結びつき、独特のステップと動きをすることで知られています。ダンサーはしばしば感情豊かで情熱的な表現を持ち、タンゴの音楽と調和して踊ります。 タンゴでは一般的に男性がリードダンサー、女性がフォローダンサーとして胸部や腹部を密接に接触させ、腕はしっかり組みます。この非常に密接に接触するスタイルが、情熱的な感情を表現します。踊りにはステップとウェイトシフト(体重移動)が含まれ、一瞬の停止やスライドなど特定のパターンを踏むこともあり、これによってリードとフォローのコミュニケーションが成り立ちます。しかし基本的なステップパターンやフィギュアがある一方、ダンサーは自由なインプロビゼーション(アドリブ)が求められます。リードが音楽に合わせて動きを支持し、フォローがそれに従います。このインプロビゼーションの要素がタンゴを想像的で魅力的なものにさせます。
タンゴにおけるコミュニケーションには様々なものがあり、実際に踊るときは、組んでいる腕から感じる相手の体重移動、見つめ合う視線から感じる相手の動き、頭の動きから予測する次の振りなど、様々です。しかし言葉を発して指示したり、コミュニケーションをとることが基本的に避けるべきとされ、あくまで音楽と身体のコミュニケーションが主体となります。 しかし慣れないうちはこの音楽と身体のコミュニケーションは非常に難しく、決まったダンスしか踊れないものです。そのためダンスコミュニティでは時折ロールリバーサルと呼ばれるイベントやセッションが開催されます。このイベントでは男性がフォローダンサー、女性がリードダンサーとして踊ることが許容され、ダンサーたちは相手の役割を体験する機会を持ち、新たな視点を獲得できるのです。そこでお互いの気持ちに気づくのはもちろんですが、完璧には気持ちを理解できない中、やはりダンサーは音楽を通して、コミュニケーションをとっていることに再認識します。
この部分がエンジニアとデザイナーの協業なのです。つまり似たコミュニティに所属している人同士であっても、真にお互いをわかりあうことなんて、そう簡単にできるものではないのです。そんな中不変の軸となるものに依存し合うことで、お互いの気持ちが分からなくても、ある程度想像することが可能になるのです。OOUIがあればお互いが同じ気持ちでタンゴを踊ることができるのさ。おしまい。
最後に僕の高校にはタンゴ部なんてものはなく、実際はただの公式テニス部のヒラ部員です。タンゴ部部長は全くのフィクションで、事実とは一切関係ありません。
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