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スベった合コン(サブカル女編)

21歳、女、彼氏以内歴=年齢、漫画家志望。
お酒大好き、ジャンクフード大好き、髪の色はだいたい金髪。
そのスペックでお察し頂きたい。

男受けするようなタイプではないのである。
人見知りの癖に寂しがり。
処女なのに性欲が強い。
男の人と上手く話せないのにモテたい。

そんな私が友人に誘われて合コンへ行った。
時は2000年頃、場所は名古屋地方。
いわゆる「名古屋嬢」が全盛期の頃である。
この当時の名古屋地方の女性と言えば、巻き髪+ヴィトンのバックが標準装備でそれ以外は女性として見なされない傾向すらあった。

金髪、コミュ障、原宿系の私が合コンへ行けば、当時はまず
「うわぁ、変なのきた」「女じゃない」とばかりに目も合わせてもらえなかった。
明らかに外れ扱いをされていたのである。

そんな苦しい戦いを経て、私はモテはしないものの辛うじて男性と喋れる程度までには成長していた。

その合コンでは、そこそこ会話に入れて、談笑することが出来た。
いい人がいるとか、いないとか以前に話せなければ恋愛は始まらない。
女として扱われる前に、人として交流できなければ人間関係は何も始まらない。
そんなわけで、談笑出来た私は、それだけでほぼ満足であった。

そんな合コンの2次会でカラオケに行くことになった。
始めは無難な曲を歌って、それなりに場の空気に溶け込んでいた。
この時代だから、恐らく椎名林檎あたり歌ったんじゃないんだろうか。

そうしてカラオケも残り10分くらいになった頃。
私はある欲望を抑えることが出来なくなっていた。

「フリッパーズギターのグルーヴチューブが歌いたい!!!!」

この場にフリッパーズギターを知っている人は誰もいない。
だからきっとスベるだろう。
だけどまさかよもや、パーフリちゃんのグルーブのチューブがあるなんて!
心の中で繰り広げられる、狂信的ファンと童貞女の争い!
だけど、でも、ううん、なんとか、ギリギリ、いけるかもしれない。
お願い、ごめんね、今日だけ。

そんな気持ちで私はグルーヴチューヴの曲をリクエスト送信した。

曲が始まると、周りの空気が少しシン……とする。
皆に背を向けて、画面を見て歌う。
酔いもあって、音楽に悦びを感じる。
けれど次の瞬間、男性陣がヒソヒソと耳打ちをして失笑していることに気が付く。

あーーーやっちまったーー。

そう気付いた。だけど曲は終わらない。

結局最後まで歌いきった。

その後は、私とまともに会話をする男性はおらず、連絡先なんか当然交換することもなく解散しました。

グルーヴチューブを聞くと、3割の確率でこの時のことを思い出して、今も胸がずきんと痛む。

 

だけど今思えば、いいリトマス試験紙だったのかもしれない。

 

グルーヴチューブで退くような男に用はないよっ!

 

 

<おしまい>


性感帯ボタンです。