脂質とは!
かなり久しぶりになってしまいました!
今回は脂質について、特にエネルギー供給源としての代謝に焦点をあてて書いていきたいと思います。
脂質の体内における役割には大きく
・エネルギー源
・脂肪組織として断熱、緩衝材
・脂肪細胞の細胞膜
・ホルモンの前駆体
などがあります。決して悪者ではないということがわかります。
脂質にもいくつか種類がありますが、エネルギー源として使われるものにトリグリセリド(TG)があります。
トリグリセリドとは!
トリグリセリドは中性脂肪と呼ばれます。由来はそのままで、中性だからだそうです。
トリグリセリドは、画像のような形をとっています。(雑)
一つのグリセロールに対して、3つの脂肪酸が付いています。この脂肪酸が分解(=酸化)されることでエネルギー源となります。
脂質は1gに9kcalのエネルギーを持っています。糖は水を含みますが、脂質は水をはじくため小さくまとまります。水を含めた時の質量当たりのエネルギー量は糖の6倍だそうです。¹コンパクトに貯蔵でき、使うときにはより多くのエネルギーが出せるということです。
トリグリセリドは脂肪組織、骨格筋中、血中などに存在しています。
どのようにトリグリセリドが分解され、エネルギーとして利用されるのか、ここから説明していきます。
β酸化
トリグリセリドは脂質分解酵素により、脂肪酸とグリセロールに分解されます。グリセロールはジヒドロキシアセトンリン酸に変換され、解糖系の回路に入ります。(糖とは!④で解糖系の図を載せましたが、あの中で一度2分化されるところです。)
もう一方の脂肪酸、こちらが脂質代謝のメインです。グリセロールに3本ついてましたね。
脂肪酸はそのままではミトコンドリア内に入れないので、細胞質ゾルで活性化され、アシルCoAとなります。これでミトコンドリア外膜を通過できます。
さらにミトコンドリアの内膜に入るには、また形を変える必要があります。なのでカルニチンと結合することによりアシルカルニチンに変換され、ミトコンドリア内膜を通過した後、アシルCOAの形に戻ります。
そのあとβ酸化と呼ばれるらせん状の代謝回路に投入され酸化分解されます。
らせん状とはどういったことかというと、
この回路では4つの酵素が登場し(飽和脂肪酸の場合)、その4つをくるくる巡って代謝されていきます。1巡目、2巡目、、と反応が進むとともに基質が短縮されます。形を変えながら反応が進んでいくということになり、それがらせん状となっています。
β酸化を経て、アセチルCoAが生成されます。これは糖や乳酸の話に少し出てきました。ピルビン酸が有酸素性代謝であるTCA回路に入った後変換されていた、あれです。
ここでできたアセチルCoAもTCA回路にてATPを作っていきます。要するに、ここから先は解糖系由来のアセチルCoAと同じです。また、ここまででできたFADH₂やNADHはATPを産生するためのエネルギーとして利用されます。
このようにして、脂肪酸1分子が代謝されることで多くのATPを産生します。脂肪酸1分子の場合で、11個のATPができるようです。
脂肪酸の代謝についてまとめると、
①中性脂肪とはトリグリセリドと呼ばれ、1つのグリセロールと3つの脂肪酸から構成される。
②グリセロールは解糖系に入り、3つの脂肪酸はβ酸化により代謝される。
③β酸化によってアセチルCoAが生じ、クエン酸回路をたどりATPを作る。
ざっくりと以上のように抑えていただければと思います。
また次回も脂質についてになります!
最後までありがとうございました。また次回!
①坂本順司, イラスト基礎からわかる生化学, 裳華房, 2012
②Asker Jeukendrup, Fat burning: how does it work? , Doi:https://www.mysportscience.com/post/2015/04/02/fat-burning-how-does-it-work
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