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糖とは!④

こんにちは。

今回は骨格筋におけるグルコースの活躍をみていきます。

前回まとめた通り、グリコーゲンが貯蔵されている場所は骨格筋と肝臓。常に存在しているのは血中でしたね。

人間が運動をする際、骨格筋を収縮させるためのエネルギーを生み出すのに、ATPを使う。ATPを作るにはグリコーゲンが必要になります。

その過程を見ていきましょう。

解糖系

を分してエネルギーを作る、解糖系という仕組みです。

骨格筋の細胞質ゾルというところで起きています。

簡単に言うと、グルコースから様々な酵素に代謝され、グルコース自身はピルビン酸となる。その間に2つのATPができる反応です。

その過程が、こちら。

ピンクの吹き出しは酵素です。

最初のグルコースだけちゃんと6つの炭素を書いていますが、面倒になり簡略化しました。(笑)赤字と✵を追ってみてください!

画像1

つづき👇

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細かくなっていますが要は以下の3つ。

①グルコースが酸化的分解を受け、ピルビン酸になる

②2つのATPとH₂Oができる

赤字を追っていただければと思います。反応の最初の段階でATPがADPになっている場面が2回登場します。のちにADPからATPになるところがまた2回。

え、±0?

ってなると思うのですが、、、

1枚目の右下、アルドラーゼによって分子が2分割されています。

この二つ、ここで一瞬別々の性質を持つのですがジヒドロキシアセトンリン酸はすぐに酵素によって異性化され、結局2つとも同じ反応をしていきます。

なので、同じ反応を行う分子が2つある。できるATPも2倍になります。

よって最初に2つATPが消費されたのに対し、できたATPは4つ。2つ多くなるため、2つのATPが作られたことになります。

(図も2つ書けばよかったですね、、、(;O;))

③NADが還元されNADH+Hに

※NAD;ナイアシンから生合成されるヌクレオチド。電子の授受を行う補酵素。

NADはのちの反応でとても大事になります。


〇グルコース以外の単糖はどうなる?

グルコース以外の糖質、ガラクトースやフルクトースも解糖系にいれられます。

ただ、前回も出てきたように多糖類、少糖類の形からそれぞれに応じた酵素による加水分解を受けてから解糖系に入るので、グルコースよりも少し時間がかかります。

〇グルコースは足りるの?

運動中、貯蔵されているグリコーゲンを分解して使っていくのですが、貯蔵されている分には限りがあるもので。

長時間運動になってくると筋グリコーゲンが枯渇し、ATPが不足、筋収縮のためのエネルギーが作れないという困った状況になってしまいます。

ない時は、あるところからもらいましょう。

血中にはグルコースが存在していました。そこから助けてもらいます。

以下がグルコースを血中からもらう手順です。


①ATPの減少、カルシウムイオン増加などの合図によりAMPKが活性化

※AMPKは細胞内の代謝調節を行うキナーゼ

②筋小胞体にいたGLUT4が、AMPK活性化によりグルコースの不足を察知

③GLUT4は筋繊維表面まで移動、グルコース(Glc)を取り込む。

画像3

このような形です。

このようにして骨格筋において不足したグルコースを賄っています。


しかし、血中のグルコース量も有限です。

血中グルコースは脳やミトコンドリアなどに供給されるため、骨格筋に使いまくって無くすわけにはいきません。

そこで助けてくれるのが肝臓。

運動によりアドレナリン・グルカゴンが分泌され、肝臓のグリコーゲンが分解され、血中に放出し血中のグルコース量を保ってくれます。

ただ肝臓のグリコーゲン貯蔵量は400kcalと多くありません。¹


だからこそ、マラソンの給水に糖質を含むドリンクを用意したり、グリコーゲンローディングによってグリコーゲンの貯蔵量を増やしておこう、という対策が立てられるのです。

また、GLUT4によるグルコース取り込み能などは持久的パフォーマンスを向上させうるポイントとなり得ます。それについてものちのち少し言及できればと思います。

ここまで、解糖系とそれに付随するグルコースの活躍のお話でした。

次回は糖新生の予定です!



参考文献

①下光輝一,八田光雄 運動と疲労の科学―疲労を理解する新たな視点―, 大修館書店, 2018

②坂本順司, イラスト基礎からわかる生化学,  裳華房, 2012


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