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間借りカフェ「One Table」から、次のステップへ。都内でも大人気の「LIVING Coffee and Bagels」が、松戸・みのり台でお店をオープンする理由

いつか自分のお店を持ってみたい。だけど、今はフルタイムで別の仕事をしているし、そもそもどうやって自分のお店が持てるようになるのかわからない……。そんな方は、もしかしたら、まもなくお店をオープンされるLIVING Coffee and Bagelsさんからヒントをもらえるかもしれません。

LIVING Coffee and Bagelsを運営しているなおゆきさんとあゆみさんも、はじめは他の仕事をしながら、都内の間借りカフェや「One Table」で出店をしていたと言います。どんな経緯で間借りカフェの運営をはじめ、お店を持つことになったのか、おふたりにお話をうかがいました。

【プロフィール】
LIVING Coffee and Bagels

スペシャルティコーヒーともっちりベーグルのお店。店名には“「家のリビングのような心地良い空間」を、お店に来てくださるお客さんみんなに味わっていただきたい” という想いを込めています。

左からなおゆきさん、あゆみさん

『ワーキングホリデーに行ったら1日1,000枚以上のピザを焼くことに』『実はベーグルがきらいだった』――。LIVING Coffee and Bagelsができるまでの、意外なエピソード

――LIVING Coffee and Bagels(以下:LIVING)さんは、なおゆきさんとあゆみさんお二人でやられているんですよね。今のご活動は、どのようにはじまったのでしょうか。

なおゆきさん:僕は、いつか自分のお店を持ちたいなと思っていました。オーストラリアのピッツェリアで経験を積んでいたので、日本に帰ってきたあともピザのお店をやろうとピザ屋でバイトをしていたんですが、レストランのような飲食店よりも、かなり職人気質が強いお店で……。友だちが家に来てくつろいでくれるような雰囲気のお店にしたかったこともあり、「それならコーヒーの方がいいかもしれない」と思い、バリスタへ転身しました。

――オーストラリアへはピザの修行をしに……?

なおゆきさん:いえいえ!(笑) 英語を学ぶためのワーキングホリデーで行ったんです。ただ仕事もしないといけないなと気づき、職探しをしてみたら、オーストラリアへ行く前にピッツェリアで働いていた経験を買ってもらえて、そこで働くことになりました。人気店だったので、1日1,000枚以上は焼いてたんじゃないかな。一緒に働く人はイタリア人ばかりだったので、英語を学びに行ったのに、イタリア語ばっかり覚えちゃいました(笑)。

――LIVINGさんでベーグルを販売するようになったのはあゆみさんがご自身で作っていたからなんですよね。あゆみさんはどのようにしてベーグル作りを始めたのでしょうか。

あゆみさん:わたしはもともと、ベーグルが苦手だったんです。母が好きで、わたしが子どもの頃からよく買っていて。それを、得意じゃないのに食べさせられていた苦い経験がありました(笑)。大人になってからも苦手意識はあったんですが、コロナ禍で外出しづらくなった時期に、母から「ベーグル作ってみてよ!」と言われたんです。

あゆみさん:実際に作ってみたら、もちもちしていて。弾力のあるニューヨークベーグルというよりは、もっちり系のベーグルができて「こんなベーグルがあるんだ」と感動したんです。そこから「自分で作った方が好きかも」と思い、いろんなお店をめぐって勉強するようになりました。

――たしかに、ベーグルの中にもいろんな食感ものがありますよね。そこからどのようにして、お店で出店するようになったのでしょうか。

なおゆきさん:「当時働いていたブルーボトルコーヒーの元同僚から、「蜃気楼珈琲(以下:蜃気楼)」という都内のお店でのポップアップに誘われていたんですよね。僕が仕事の傍ら、自家焙煎の豆だけ販売していたので「やってみない?」と。でも、コーヒーだけだと物足りないなと思ったときに、彼女が趣味でベーグルを作っていたので「一緒にやろうよ」と声をかけました。

「自分たちのことを、これだけ待ってくれている人がいる」。あゆみさんが、お店を持つことを意識した出来事

――蜃気楼さんだけでなく、後に八柱の「One Table」でも出店してくださるようになりましたよね。今では東京と松戸を行脚する人もいるほど、熱狂的なファンの方がいらっしゃるそうですが、店舗を持とうと意識したのはいつごろからですか?

なおゆきさん:僕は、仕事をフルタイムからパートに切り替えたときですね。お店を持ちたいという気持ちを以前から抱いていたこともあって、割と早かったと思います。

1月のomusubiオープンデーで出店してくださったときの様子。冷え込む中、この日も開店前からたくさんの方が並ばれていました。

あゆみさん:実は、そこにはちょっと二人の間で温度差がありました。というのも、最初は彼がひとりでお店に立ってくれていて、わたしはまだ正社員で働いていたんですね。だからまだ自分たちのお店を持つイメージはわかなくて……。でも、去年の6月に月島で間借りしているカフェに出店した際、オープン前に行列ができたことがあったんです。その様子を見て、「こんなに待ってくださっている方がいるんだ」と。その出来事が、私の中ではすごく大きかったなと思います。

――先月出店してくださったomusubiオープンデーでも大盛況でしたよね! コーヒーやベーグルのおいしさを求めて来ている方もいると思うのですが、なおゆきさん、あゆみさんとお客さまがたのしそうにお話されている様子が何よりも印象的でした。

こちらもomusubiオープンデーにて。山盛りのベーグルは、この日もあっという間に完売しました。

あゆみさん:お店に来てくださった方とは、接客以外のところで何か一言おしゃべりできるように意識していますね。

なおゆきさん:そうだね。テイクアウトの方にもお会計のときに何か一言お声がけしたり、Instagramのメッセージで予約をいただく際のコミュニケーションを丁寧にするよう心がけたり。そういったことの積み重ねで、リピーターになってくださる方が増えたのかなと思います。

物件探しで譲れなかったポイントは? こっそり教えてもらいました

――物件を探すのに、いろいろと悩まれたんじゃないかと思います。物件を決める上で、「これだけは譲れない」という条件はありましたか?

なおゆきさん:うーん、そうですね……。去年の春くらいからゆるく探し始めていたんですが、最初は理想が高すぎて、条件に合う物件を選ぼうとすると、費用がかさんでしまう問題にぶつかってしまいました。「しるばあ」も紹介してもらっていたものの、当時は隣にコーヒー屋さんが入ると聞いていたので、ちょっと難しいかもなと。

あゆみさん:でも、あるときomusubiさんに別の物件の内見をお願いしようとしたら、まだ「しるばあ」が空いてると教えてもらったんです。しかも「隣はコーヒー屋さんではなく、古着屋さんが入ることになったんです」と。One Tableから近いので、以前のお客さまにも来ていただきやすいだろうし、omusubiさんの事務所からも歩いてすぐの場所で。立地的にも、初期費用を抑えられるという点でも、ここが良さそうだよね、と二人で意見が合致しました。

――One Tableから近いのは、常連のお客さまにとっても、きっとうれしいことだと思います。「しるばあ」という場所が決め手になったポイントはありますか?

しるばあにて工事中の様子

あゆみさん:「しるばあ」は比較的コンパクトな広さなんですが、むしろそれがいいなと思いました。「カウンターに立っていても、お客さんと直接しゃべれる距離感のお店にしたいね」と二人で話していたので。

なおゆきさん:理想は、僕らとカウンターに座っているお客さんが話していたら、横に座っているお客さんも入ってきて、会話が生まれるような空間ですね。それを実現するのに、「しるばあ」の広さはぴったりだなと感じました。

松戸にお店を構えようと思ったのは、みのり台に可能性を感じたから

――都内にも間借りカフェで出店されていたなか、松戸を選ばれたのはどうしてでしょうか。

なおゆきさん:都内も一度は考えましたし、お客さまからのお声もありました。ただ、二人とも千葉で育ったし、馴染みのある地域でやりたいと思ったんですよね。僕個人としては、東京以外でおいしいコーヒーが飲めるお店って実はとても少ないので、千葉でコーヒーのおいしさを広めたい、という気持ちもありました。

なおゆきさん:また、都内での出店では事前に予約して来てくださる方がとても多い一方、松戸のOne Tableでは、地元の方がふらっと来てくださっているなと感じていて。いろんな地域からたくさん人が来てくださるような人気店もあると思うのですが、まずはそこに住む人たちへ届けられるお店にしたいと考えているので、そういった意味でも都内より松戸の方が合っているなと。僕らのコミュニティとomusubiさんのコミュニティを生かして、みのり台にいろんな人が集まれる場がつくれたら、地域の活性化にもつながる。みのり台なら、まさに僕らが実現したい場が作れそうだな、と思ったんです。

――omusubiスタッフもみんな、LIVINGさんがみのり台で出店してくださることに歓喜しています(笑)。お店をオープンすることについて、お客さまからはどんな反応がありましたか?

あゆみさん:間借りのときは週2、多くても週3の営業で、かつ平日のみだったので「土日も行けるのはうれしい!」「すごくたのしみにしています!」とたのしみに待ってくださっているお声をいただいていますね。

クラウドファンディングのリターンにもなっていた、オリジナルスウェット

――わあ、それはうれしいですね! オープンはいつごろになりますか?

なおゆきさん:少し追加の工事が入ってしまったため、2月26日(日)を予定しています。Instagramで随時情報を更新しているので、ぜひチェックいただけるとうれしいです!


店舗情報
住所:千葉県松戸市稔台1-14-17ワダソウ102
営業時間:11:00~18:00 の予定
定休日:水・木
Instagram:https://www.instagram.com/living_coffeeandbagels/


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LIVINGさんが出店されていた、曜日がわりで店主が営業する「One Table」は現在月・金で新店主を募集しています。詳しくはこちらをご覧ください。

https://www.omusubi-estate.com/?post_type=fudo&p=47252

また、東京で出店されたい方には、同様に曜日がわりで営業する「ナワシロスタンド」も現在店主を募集中です。

https://www.omusubi-estate.com/?post_type=fudo&p=32725


取材・撮影=ひらいめぐみ

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