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なぜ、あの本は売れて、この本は売れないのか?


 こんな言葉を聞いたことがありますか?

 本はAIDASS(アイダス)の法則で売れる

 今回は「本」に絞ってお話しますが、これはすべての商品やお店、サービスにも当てはまる法則です。

 まず、冒頭、次の図を見て、「なんとなく」でいいので図を頭にインプットしてください。

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 では、解説に入ります。

 まず、①の「A」ですが、これは「Attension」「Awareness」の「A」で、「注意を引く」「意識をする」ことを意味しています。

 ②の「I」は、「Interest」の「I」で、文字どおり「興味を持つ」という意味です。

 ③の「D」は、「Desire」の「D」で、「欲しい!」という感情を表しています。

 ④の「A」は、「Action」の「A」で、「実行する」という意味です。

 ⑤の「S」は、「Satisfaction」の「S」で、直訳どおり「満足」です。

 最後の⑥の「S」は、「Share」の「S」で、「他人に教えること」を指します。

 そして、すべてを合わせると「AIDASS(アイダス)」になります。

 では、ご自身が書店にぶらりと足を踏み入れたとイメージしてください。

 そして、こんな光景を目にします。

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 落合陽一さんとホリエモンの本に挟まれて、見事に『マルチナ、永遠のAI。』が埋没していますね( ;∀;)

 ・・・・・・。
 って、そうではなく(笑)、これだけ露出していれば、当然、『マルチナ、永遠のAI。』は目に入ります。
 そして、これが①の「A」、「注意を引く」「意識をする」ということになります。

 当たり前ですが、人間は知らない本は買えません。
 すなわち、「本の存在を知ってもらうこと」からスタートするのは論を待たないでしょう。

 そして、「なんだ、このズラリと6面も並んだ、落合さんとホリエモンの本の挟撃に息も絶え絶えの死に損ないの本は?」と思った瞬間に、②の「I」、「興味」が生まれます。

「興味」が湧けば、本の帯であらすじを確認したり、実際に立ち読みをするでしょう。
 言い換えれば、ここが大きな分岐点で、「欲しい」と思えば、③の「D」、「欲求」が生まれます。
 逆に言えば、「欲求」が生まれなければ、それでおしまいです。

 ただし、「欲しい!」と思っても、定価3,000円では買ってもらえませんが、本の定価など似たり寄ったりなので、「欲しい!」はイコール「買う」で、④の「A」、「購入」そして「読む」というアクションに移行します。

 さて、実際に読んで、もしこの方のように「満足」すれば、⑤の「S」が生まれます。
 この記事を理解するためにも、 こちら を1分でいいのでお聴きください。
 もしくは、下 ↓ をクリックしてください。



 最後に、今お聴きいただいたように、満足した人は、その本を「人に教えます」。それが、⑥の「S」です。

 ここで、上にスクロールして冒頭の図をもう一度ご覧いただきたいのですが、「人に教える」ということは、当たり前ですが、「その本のことを知る新たな存在」が生まれることを意味します。

 すなわち、本は①に始まって、⑥までいって、また①が生まれる「AIDASS」、「アイダスの法則」で売れていきます。
 言い換えれば、アイダスの法則が生まれなければ、その本がベストセラーになることは一般的にはありません。

 ちなみに、最後の⑥の「Share」は、ありていに言えば「口コミ」ですが、僕が こちら の記事で書いたように、人は5人を介せば全員がつながっていますので、その「六次の隔たり」理論を下地にしたSNSこそが、現在は⑥の「Share」の役割を担っています。

 また、「この人が推薦するなら」と、①の「気付き」を吹っ飛ばしていきなり②の「興味」を持つ人(図では青の線)、③の「欲求」を持つ人(図では黄色の線)、さらには、「石原さとみのおススメなら買っちゃうよー」と(僕のことではありません(笑)、脊髄反射で④の「購入」に至ってしまう人もいます。

 さて、長くなりましたので、今回はそろそろ締めさせていただきますが、誰もが「良い本」を書こうと必死に努力しています。
 そもそもが、そうした方が集まっているのがnoteです。

 しかし、「アイダスの法則」をよく見てください。

 本の良し悪しが影響を与えることができるのは、実は⑤の「S」、すなわち、「満足」しかないことがわかります。

 もちろん、この⑤の「S」がなければ⑥の「S」も生まれずに、二度目の①の「A」も生まれづらくなりますので、「本の完成度」は極めて重要です。

 しかし、一番大切な①や、その次に大切な②に関与しているのは作家ではなくて出版社です。

 僕が、「編集者の仕事は、良い本を作ること。しかし、その100倍大切な仕事は、売れる本を作ること」と言うのは、「アイダスの法則」を理解していれば当たり前の主張なのです。

 また、この記事のタイトル、『なぜ、あの本は売れて、この本は売れないのか?』も、ご理解いただけたことと思います。

 ちなみに、『マルチナ、永遠のAI。』が売れているというわけではありません。
 むしろ、売れていません( ;∀;)

 しかし、必要最低限のことはしていただいていますので、目も当てられないという状況ではありません。
 ただ、『マルチナ、永遠のAI。』は小説なのですが、写真でおわかりのとおり、ビジネス書コーナーに並んでいます。
 しかも、AI書籍は雨後の筍状態で、血で血を洗うレッドオーシャン・マーケットです。

 ただし、旬な話題ですので、僕は勝負は、小説に舵を切る来年だと思っています。

 と、それはさておき、一番大切な①や、その次に大切な②に関して、出版社や編集者がどれくらいの熱量を持っているかを見極める方法は当然あります。

 もっとも、これはさすがに記事には書けませんが、もし、現在、出版社からオファーをいただいて、どうしようか悩んでいるという方がいらっしゃったら、僕なりのアドバイスを差し上げることは可能です。

 いずれにしても、「本が売れない苦しみ」は、「本が出せない苦しみ」の比ではありません。
 100倍苦しいです。

 考えてみてください。
「AKBに入りたいな~」と悩んでいる「Aさん」と、AKBには入れたけど、総選挙で順位が悪く、レコーディングにも参加できない、テレビにも出演できない、握手会では3人しか並ばない「Bさん」。

 さて、AさんとBさんはどちらのほうが苦しいのか。
 言うまでもなくBさんですよね。

 ですから、「本の出版」をゴールにすることはおススメできません。
 おそらく、今挙げたBさんと同じ運命をたどることになると思います。

 ゴールにすべきは、やはり、「ベストセラー」だと思いますし、そのためには「アイダスの法則」を常に意識して、そこから逆算して小説を書くべき、というのが僕の持論です。

 もっとも、ここは人それぞれ考えが違いますので、どちらが正解というものでもないのですが。

 では、どのような本なら出版社が本気で売ろうとするのか。

 これは、機会があったら記事にします。

 一部の方から、こんな小出しではなく、有料でもいいのでマガジンにまとめて欲しい、とご要望をいただいていますが、僕も偉そうなことを言える立場ではありませんし、僕自身が今、色々と考えているところですので、現在はこのような記事の提供でご容赦ください。

 いずれにしても、今回の記事で「アイダスの法則」を意識する方が一人でも多く生まれてくだされば幸いです。

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構想、執筆に22年。
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