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バレンシア色に活字が染まる|素敵なBARの思い出

別にお店のレビューをしたい訳ではなくって、ただただ素敵なBARに癒されたっていう話。


会社の出張で北陸へ。
夜にひとりの時間が出来そうだった。ホテル周辺をカメラ片手にお散歩しようかと思ってたんだけど、折角だからひとりでバーにでも行ってみるか!と思い立つ。

ひとりで食事をすることには慣れているけど、よく考えたらバーは行ったことなかったかも。最近はお酒の席自体行く機会が減ったし、行ったとしても大体誰かとだったなぁって、何となく過去を思い出す。

騒がしいお店は嫌だから、こじんまりして静かそうなお店。あるかな。お、あった。ということで、ちょっとドキドキしながら入ってみたよ。

入口の黒板に書かれた言葉は、日によって違うみたい。
どこか文学を感じる。


少し重厚な扉を開ける。カランカラン。
左手にちらっとカウンター席が見える。1人です、と伝える。

薄暗いけど、オレンジ色の照明で温かみを感じる。あちらこちらに本が置いてある。ゆったりとしたJAZZが流れる。

外から見ると、蔵のような外観。中は木造。恐らく古い蔵をリノベーションされているのだろう。2階建てだけど席数は少ない。大人数だと断られると思う。

私は2階に案内された。

階段を上がりクルッと向きを変えて進んだ先、2人席があった。四角い机が壁の角にある。壁に付いていない2辺にそれぞれ、1人がけのソファと壁をくり抜いた座席がある。要は座ると正面が壁になるの。他の客の目線が気にならない作りになっていた。どちらに座ろうか悩んだが、ゆったりとした1人がけの贅沢な黒革のソファ席に、ずっしりと深く座る。

机にはシックなメニュー表が置かれていた。
カクテルのページを眺める。
明日の仕事を考え、今日は度数の高いお酒は控えよう。


シーズンで変わるメニューもあるのかもしれない。このメニュー表とは別に、マスターが黒板を持ってきてくれた。様々な料理名の中に、いちじくとカマンベールのカナッペと書かれていてなんだか秋を感じる。

カクテルには詳しくないが、前から飲んでみたかったバレンシア、甘いものが欲しくて生チョコ、絶対食べたいと思ってしまったカナッペを注文。お水も忘れずに。(一応仕事で来ていたので、疲れで悪酔いしたくなかったの。)

バレンシア。
オレンジ色のペンダントライトの下、オレンジ色のお酒。

ショートカクテルってグラスも含めて、見た目がもう素敵だよね。ビジュアルが美しいお酒は、大人を楽しんでいる気持ちになれる。バレンシアって甘かいんだ。飲みやすくて美味しいな。仕事で気疲れした身体に染みていく。

持参した旅のお供。
「春になったら苺を摘みに」 梨木香歩著

旅のお供の本を読み進めようと思いつつ、机の端に置かれている本が気になる。

灰皿に支えられた5冊の本。
気まぐれに読むのもありだよね。

なんとなく手に取ってパラパラしたり、持参した本を読んだり、気ままに楽しむ。「吉野弘 詩集」、良かったな。日頃触れないものに興味を持てることが嬉しい。


写真撮ったり本を眺めていると、食事が届いた。

生チョコはROYCE。
いちじくとカマンベールのカナッペ。
なんて幸せなんだろう。

生チョコの口溶けが忘れられない。ROYCEはズルいよ。カナッペはもう…ね。言わなくても分かると思う。心から美味しかった(やっぱちゃんと言う)。


そういえば、途中から後ろの席に若い女子が2人座って、恋愛の話をし始めたの。まだお付き合いはしてないけど、いい感じの人がいるみたい。デートの時の相手の様子とか、これどう思う?みたいな相談。

でね?
「私たち、幸せになれるかな?」だって。思わずふふってなっちゃった。聞いててなんだか可愛くって仕方なかった。大丈夫、なれるよきっと。

活字が読めるように、
ペンダントライトが照らしてくれている。
店内はこんな感じの雰囲気。


そうそう。お店の名前を伏せてる理由ね。調べれば普通に出てくるし、こじんまりとしたお店だから敢えて言う必要無いかなってのもあるんだけど。

ここはね、お客さんに静かにゆっくり過ごして欲しいっていう配慮がすごく感じられるお店だったんだ。だから本読んでても何も言われない。むしろゆっくり読んでくださいみたいなのを感じる。机に本があるのもきっとそういう意図。マスターも寡黙な方だよ。

BARも色々あるけど、ここはかなり静かなタイプだから喋りを求めるとちょっと違うのかもしれないなって。人を選ぶ可能性がある。
もし気になって、場所知りたかったらXか何かでDMくれたら教えるよ。


このお店のおかげで、たまには出張もいいなと思えた。これからも、たまには大人しよーっと。

おむ

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