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◆仕事が大好きな私は、コミュニケーションの真髄を気にしちゃうあまり、しんどくなってる話

私利私欲

人間の原動力は私利私欲である。

あの子と仲良くなりたい、お寿司食べたい、かっこいい鞄がほしい、昇進したい、自分だけ優遇してほしい

だからしんどい仕事や単調な日々や、めんどくさい人間関係をがんばれる。それが人間。

さらに、ボランティア=無償、ではあるが「被災した人たちの復興を支援したい」これも立派な「誰かの役に立ちたい」という「私欲」だとわたしは定義している。

そういう意味では世の中の大半が「私」を主語として回っている、といっても過言ではないのだろう。だからこそ、目の前で展開される相手の言動には「私利私欲」が隠れているのではないか。

のほほんと生活してきた学生時代を終え、社会人になり約12年。わたしが行き着いたコミュニケーションの真髄。


あなたのお仕事はなんですか

「総務部に所属されていらっしゃるのですね。どういった業務をされてるのですか?」

名刺交換の際に相手の部門・役職をチェックすべし。営業職に就いて、先輩からそう教えられた。

わたしの仕事は求人広告の依頼を1つでも多くゲットすることだ。「人採用しますか?」「20万から120万くらいまでの間でいくら出せますか?」その答えがもらえればいい。そう考えていたわたしは「相手の仕事内容なんて知ったこっちゃない。遠回りが過ぎるのでは」と困惑したが、商談の場で隣に座る先輩に嫌われたくなかったので言う通りにした。

相手は自分のことだから答え易いし、まさか自分の仕事内容を聞いてすぐに広告を売り込まれるわけがないと安心しているのか、部署のことや仕事内容を饒舌に語ってくれた。

愛想よく相槌をうっていた先輩は、話がわたしのターンになり横から一言。

「でしたら、入社した人が定着すれば、導入研修を行なっている○○さんのお手柄になるわけですか」

「まぁ、お手柄とまではいかないかな。でも逆に辞められると、僕が現場責任者から責められたりするよね」
相手の目の色がすこし変わったような気がした。気のせいかもしれないが。

そこから、話は自然と採用の話に。
そして商談も終わりに差し掛かり、先輩がすこし声のボリュームをあげた。
「私たちにお任せいただけるなら、定着する可能性の高い人材を集めて採用できるように支援しますし、そうすることで○○さんの社内評価が上がったりお仕事の効率化がはかれます。一度ご検討いただけませんか」

ドラマやったら、壮大な音楽がフェードインして、「次週に続く」とテロップが出るパターンのやつだ。
目の前の相手も満更でもなさそうな顔だった。


コミュニケーションの真髄

先輩が商談に同行してわたしに教えてくれたのは、「相手のKPIを知る」

KPI(けーぴーあい)とは、
評価指標のことである。

街の不動産営業だったら新規の客獲得件数だろうし、寿司職人なら握る寿司ネタの数かもしれない。市営バスの運転手は、無事故無クレームかな。

相手のKPIを知れば、その人が普段何に固執しているのか?が分かり言葉や話題のチョイスがしやすくなったり、相手の発言の意図が理解できてこちらの心に余裕が出たりする。そして最良の交渉ができる。

一見雑談に感じる「あなたのお仕事なんですか?」はその糸口をつかむ入り口だったのだ。

うまくKPIが掴めてその実現と当社の提案を絡めて伝えると、「こいつ役に立ちそうだな」と感じるのかわたしの提案に乗ってくれることが多かった。営業がたのしくなった。


知識は使えば武器に変わる

この「KPI」普段にも使えた。
相手の欲求に1番近い答えを差し出す。そりゃ当たり前に物事がスムーズに進む。
そんなに簡単なことじゃないけど、はやく終わらせたい事柄やぶつかりたくない相手には、最適だ。

わたしの場合、ここ直近でこの法則を使ったのは役所。お相手はだいたい「多大なる業務を滞りなくこなし、1分でも1秒でも効率的に進める」これが評価につながるだろうし、湧いて出る欲求。

だから「結論を話す」。役所に訪れる目的の多くは「書類が欲しい」「申し込みしたい」であるため、その結論=何がしたいか?を伝える。相手はスムーズに事柄を進めることを優先するため、結論に向かった段取りをつけて進めてくれる。

また、相談したいというときは、こちらのスペックを先に話す。後から条件がポロポロ出てくると向こうのテンションは下がるし、ときに苛立ちが伝わってくることも。


保育士

これまで接してこなかった人々「保育士」。子育てをするまでは、保育士って子ども大好き、天真爛漫、ってイメージだった。だが、ひとたび子どもを持つと、それだけではやってられない職業だろう、むしろ「愛」だけではどうにもならないことの連続だろうな、と尊敬の念を抱く。

おちびが0歳のうちに職場復帰することになり、その日までの約2週間前に慣らし保育を開始した。すると、「保育士」とのコミニュケーションに違和感を覚えた。

話が一方通行。

保「授乳の間隔あけられるよう頑張ってみてください」
わたし「はい。できるだけ4時間にしてます」
保「お母さんも復帰するとき大変だと思うから、今から減らしていくといいですよ」
わたし「ええ、そう思ってやってます。」
保「だんだん離乳食に移行していく必要がありますからね。できるだけ4時間に〜」

‥‥あと一回言われました。

やってるって言ってるんですけど?!もしかしてわたしの声聞こえてないのかしらん!?やってること褒めてくれ、とまでいかなくとも、もし「子どもの様子見ててやってるように思えない」のであったとしても、わたしの発言受け止めてほしいぞー!


そういえば

モヤモヤしちゃって主人と共有。すると、主人も同じ違和感を覚えていた。
「何度も同じこと言ったりするのは、それがあの人たちの仕事の仕方なんじゃない」そう言われて、ハッとした。彼女たちのKPIを考えてみればいいじゃないか、と。

・家庭の保育を代行する
だと要素がありすぎるから、もう少し分解してみる。

・子どもにご飯を与え、おむつを変え、寝かしつける
・子どもを危険から守る
・子どもに寂しい思いをさせない
・子どもに小学生になるための準備をさせる

園の方針などにより「教育」の要素もあるとは思うが、書き出したものをみると、根本は「子どもの命を守る」これがKPIかなぁ。

となると、
「複数の子どもをできるだけ平等に保育するために、子どもやその親に最低限の条件はクリアさせる」
これがKPIになるかもだし、「子どもの命を守る」というKPIの達成手段になるわけかな。

そこに焦点を合わせたコミニュケーションを取っている、そう思えば覚えた違和感も理解できた。相手の都合はさておき、「ここは死守したい」その気持ちが前面に押し出されているのだ。(母親の機嫌を取るともっとスムーズにいくよ〜とわたしが園長ならば保育士にそう言ってあげたいけれどw)


トラウマふたたび

そうやって半ば「そうだから仕方ない」と納得させたわけだが、ある日こう言われた。

「○○ちゃん(おちび)なかなか寝付かなくて、トントンで寝れるようにおうちでも試していただけますか」

‥‥

ここでわたしの中のわたしが、
「いや、やろうとしたことあるんですよ。でも上手くいかなくてイライラしちゃって。イライラしてる自分が嫌だから諦めて、重くても抱っこする方法選択したんです。でも抱っこして歌歌ってお尻トントンしたら比較的寝ますよ。それでもやらなきゃだめですか。はじめに提出した書類にもすこし書いたんですが、読んでいただいたでしょうか。どうしたら上手くいくか教えてほしいんですけど〜」
と半泣きで訴えた。
わけだが、ハタと彼らのKPIを思い出し、

「あ、はい、やってみます〜」

と嘘をついた。


モヤモヤモヤモヤ

嘘を付いた帰り道、もしこのままおちびが上手く眠れないことが続いたら、、、仕事だから見てもらえるとしても、どんな気持ちで、そしてその気持ちはどれくらい態度に現れるのだろうか。。。

そんなことを考え出したら「なんでわたし0歳児で預けて復帰するんだっけ」と自問自答。ぐるぐるぐる。迷子。

途中「園に預けて働くことに後ろめたさを感じないで」という励ましのnoteやTweetをチェックするも、やはり胸の中はモヤモヤモヤモヤ。

しんど。

おちび本人といえば、慣らしを終えて数日、お散歩で初めて砂を触ったり、お歌の時間にピアノの音に合わせて体を揺らしたり、ご飯の椅子を持ってきてもらうと奇声を上げて喜んだり。それなりにやれてるみたいだ。でも言葉を発しないから、気持ちを吐露しないだけだし。はぁ。モヤモヤを抱えながらの日々は続く。

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