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スポーツビジネスで、地域振興の未来を描く-株式会社Skyer 代表取締役 宇佐美孝太-

自身の出身県ではない鳥取県で、ドローンの活用やスポーツビジネスを通した地方創生に邁進されている宇佐美さん。

1991年生まれというミレニアル世代である宇佐美さんは、地域おこし協力隊として実際に鳥取県で働いた経験から、自分独自のビジネスの形を見つけたといいます。

今回はそんな宇佐美さんに、出身地ではない鳥取県に興味をもったきっかけや、地方創生にドローンを活用しようと思った理由、そして2019年に県内初の3人制プロバスケットボールチームを立ち上げた経緯などについて伺いました。

偶然目にしたドローンのニュースが事業の始まり

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2016年にドローンを活用した事業を鳥取県で立ち上げた宇佐美さん。そもそもドローンに興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか。

宇佐美:「私は佐賀県出身で、大学から上京しました。自身が地方出身であるということもあって将来は地方に貢献できる事業を作りたいと考えており、勉強会などによく参加していました。

そんな折にどんなツールを使って地方を活性化できるのかを考える機会があり、当時話題だったドローンがピンと来たんです。

2015年頃だったかと思いますが、『首相官邸にドローンが落ちた』というニュースをテレビで見て、ドローンて何だろうと思い調べてみると、地方創生に使えるなと気づき。

というのも、ドローンって都会のような人が集まる密集地で飛ばすのはなかなか難しいじゃないですか。

つまり、ドローンビジネスを始めようとすると、必然的に人が少ない地方で事業を始めることになる。この構造こそが地方での雇用創生に活用できると気づいたことが、事業を始めたきっかけです。」

さらに、地方の中でもドローンビジネスを始める場所に鳥取県を選んだのは、地域起こし協力隊の募集があったからだと宇佐美さんは語ります。

宇佐美:「ドローン事業を始めるために色々とリサーチする中で、偶然鳥取県が地域おこし協力隊隊員を募集しているのを見つけました。具体的には、都会の若者を鳥取県に連れて来てフィールドワークやスタディーツアーを企画・運営するといった募集です。

そこで、『県内にドローンスクールを作って県外の若者を連れてきます。』という提案を鳥取県に行い、地域おこし協力隊の職員として関わることになったんです。

半年間ほどは平日は地域おこし協力隊として働き、週末は自分が設立したドローンスクールを運営するということを行っていました。」

地域で働く中で芽生えた新しいビジネスのアイデア

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地域おこし協力隊として鳥取県内の若者や事業者と関わりはじめた宇佐美さん。その中で、将来県内で働きたいという若者が少ないことに危機感を感じたと語ります。

宇佐美:「地方全般で言われていることですが、若い人は大学卒業後に地元に残ることを考えていないし、地元企業も『どうせ県内の若い人は地元に戻ってこない』とあまり正面から向き合っていない雰囲気を痛感しました。
      
都会の人を移住・定住で新たに呼び込むことはもちろん重要です。しかし、まずは鳥取県で生まれ育った若い人、例えば県内の中学生や高校生が『将来、鳥取県で働きたい』と思える環境づくりが地方創生には不可欠なのではと思いました。

ビジネス的な観点でも、県外から移住・定住に呼び込むより、県内に住む若い世代にプロモーションした方が費用対効果もいいですよね。

今ちょうど鳥取県でも”とりふる”(※)という取り組みをやっていますが、まさにあの活動の発端となった課題意識を現場で感じたという形です。」

※とりふる:鳥取の旬な話題や暮らしに役立つ情報、就活情報等を配信し「あなた」と「鳥取」をつなぐ情報発信アプリです。

そこで、そうした環境作りには「地域の若者と事業者が交わる場所」が必要だと考え、宇佐美さんはプロバスケットボールチームを作ることを決心します。

宇佐美:「県内の若者に対するプロモーションが足りないという課題を、どうやって解決しようと考えていたとき、若者と地元の企業が交わる場所がないんじゃないかと気づいたんです。

そこでもともと自分が大学の時にスポーツビジネスを学んでいたことと、バスケットボールをやっていた経験から、スポーツビジネスを通して若者と企業が交わる場を作れないか、と思い至りました。

さらに、当時は『3人制バスケットボールがオリンピックの競技になる』と世間でも騒がれていたこともあり、県内で山陰初の3人制プロバスケットチームを立ち上げたんです。」

宇佐美さんはこの事業の特徴として大きなポイントは、運営担当として県内の高校生をインターンとして採用していることだと続けます。

宇佐美:「高校生が自ら責任を持ってチーム運営に関わることで、スポンサーとなってくださる地元の企業や、試合会場で出会う人々や場所など、地域の魅力を再発見できるんです。

そうした活動を積み重ねると、自分のふるさとに愛着をもつことに自然とつながります。活動を通して、若い世代と地元企業が繋がる場所を作ることこそが、この事業の肝だと実感しています。」

3人制プロスポーツで描く地域振興の未来

鳥取ブルーバーズ


さらに宇佐美さんは、3人制プロバスケットボールは鳥取県と親和性が高いビジネスだと言います。

宇佐美:「3人制バスケットボールは、3人のメンバーさえ集まれば鳥取県のどんな場所でもできるというのが大きな魅力の一つです。

例えば中山間地域の高校では、バスケはしたいけど部員が集まらないというケースもあります。でも、3人制チームでバスケができれば、そのような若い芽が日の目を浴びるきっかけになりますし、なりよりバスケをしたい人ができる環境を作れる。

またプロチームが地元にあれば若い選手にとっての目標になり、鳥取に関わり続けるきっかけにもなるので、人口が少ない地方にこそフィットしたスポーツだと思っています。

今後鳥取県から3人制のバスケットボールチームのオリンピック選手が出たりすれば、さらに地方も盛り上がるんじゃないでしょうか。」

将来的にはプロバスケットボールチームを通して、スポーツに熱狂できる文化を鳥取県に作りたいと語ります。

宇佐美:「将来は3人制バスケットボールを通して、鳥取県民みんなが熱狂できるプロスポーツチームを作りたいと考えています。

鳥取県にはサッカーチームはあるものの、そもそも『スポーツにお金をかける』という文化があまりないんじゃないかなと感じていたんです。

私自身もスポーツで育った人間なので、選手もファンもみんなが熱狂・熱中できるスポーツだからこそ、地域の一体感を創出できると信じてます。

中国地方だと、まさに広島東洋カープなどがその具体例だと思いますが、鳥取県でもそうしたスポーツを通じた熱狂の文化を作り、一体感を生み出したいですね。

特に3人制バスケットボールは、スタジアムに行かずとも駅前や大型スーパー、観光地周辺でも十分成り立つもの。通りがかりの方でもすぐに立ち寄れるので、ファンを生みやすいと思います。

特に県外の方々が多い場所でも、試合を行うことができるので、地元だけではなく県外の方々のファンも増やしていきたいです。」

地域に密着できることが、地方創生の観点から見たスポーツの魅力だと話す宇佐美さん。今後はビジネスを継続していくためにも、異業種とのコラボなども積極的に行いたいと語ります。

宇佐美:「プロスポーツである以上、事業を一つ永続的に運営する上で”収益”は必要不可欠なポイントです。

現在は、地元の企業さんからスポンサーを募って応援してもらうことや、バスケットボール教室の謝金や興行収益などから事業を運営しています。

ビジネスなので売り上げはもちろん重要ですが、それより大切なことはどの活動も全て地方創生に繋がっているという自覚を強く持ち、事業を運営し続けることだと考えています。

3人制バスケットボールチームの運営を通して、若者と地元の企業をマッチングすることもできますし、チームのファンを増やせば鳥取県全体に一体感も生み出せます。

自分の好きなスポーツを通して、地域や地元の方々に少しでも貢献できるような、県民に愛されるスポーツチームを目指したいですね。そしていつかは、鳥取県内のすべての市町村に地域密着型のプロチームを作りたいです。」

地方に関わりたい方必見!3日間で取り憑かれる鳥取の魅力

最後に自身も移住者として県内で活躍される宇佐美さんに、移住者から見た鳥取県の魅力について伺いました。

宇佐美:「鳥取県はいればいるほど愛着が湧いてくる地域だと思います。普通、観光地って一回見れば飽きるものじゃないですか。

でも、例えば鳥取砂丘は有名な観光地ですが、全然飽きないんです。ドローンの空撮の案件で毎日のように訪れていた時期もありますが、むしろ何回も行くことで味が出てくるというか。『砂丘って偉大だな』と実感するような、何か引きつけられるものがあるんです。

また西部には大山(だいせん)という山がありますが、あちらも鳥取砂丘と同じで通えば通うほど味が出てきます。雲がかかっていない日は芝生に寝転んでみたり、夜は一面の星空を見たりと、天候や時間帯によって毎日表情が違うのが魅力だと思います。

鳥取って砂丘があって、山もあって海もあって...本当に地方の中でも恵まれているなと。全然悪いところが出てこないですね。

交通の便が悪いとも言われていますが、車で通勤することに慣れれば何とも思わないですし、渋滞がなくむしろ楽だと感じます。」

また移住者の先輩として、これから鳥取県に関わりたいと考える方に向けメッセージもいただきました。

宇佐美:「もし迷っている方がいらっしゃったら、まずは3日間ぜひ滞在してみて下さい。

実際、私の学生時代の友人も東京から来て3日間滞在していましたが、その後もリピートしてちょくちょく遊びに来るくらいです。

1日目は鳥取市、2日目は中部、3日目は西部などをまわってみてほしいです。私自身、鳥取県のおいしい空気や自然の中でぼんやりと考えごとをするのが好きで、仕事で疲れて一息つきたい都会の人にもうってつけの場所だと思います。

鳥取県自身も”ストレスフリー”を県の魅力として発信していますが、本当にストレスフリーにのびのびと生活や仕事もできるので。

もし、これから地方で何かしてみたいという方がいらっしゃったらおすすめしたい場所ですね。」

 
ドローンやスポーツビジネスなど、一見地方から縁遠く感じられる領域や最先端テクノロジーの中には、意外と地方と親和性の高いビジネスがあるもの。さまざまなニュースにアンテナを張り、自身の経験をも掛け合わせて独自のチャレンジを行う宇佐美さんの姿は、同じくミレニアル世代の私たちにとって非常に刺激的なものでした。

新たなビジネスをはじめる場所として、可能性の余白が大きい鳥取に目を向けてみることも一つの選択肢になるのではないでしょうか。
あなたも鳥取県の関係人口として、地方でビジネスを始めてみませんか。

株式会社Skyer 代表取締役 宇佐美 孝太                                                      株式会社Skyer、及び株式会社Skyer-west代表取締役社長。鳥取県のスポーツ審議委員。鳥取県の地域おこし協力隊員として鳥取県に着任後、2016年にドローン事業をメインとした会社を鳥取に設立。現在は、鳥取県初のプロバスケットボールチーム「鳥取ブルーバーズ」オーナー。「3x3」(スリー エックス スリー)という2020年の東京オリンピック種目にも正式追加された注目の「3人制バスケ競技」のプロチームの運営を通して、鳥取の地方創生を目指している。

鳥取ブルーバーズ https://www.facebook.com/tottoribluebirds                    株式会社skyer https://skyer.info/

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