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昆虫教室と苦手意識

私の小学生の夏休みの思い出です。母が動物園の「一日動物教室」へ申し込みをしようとしたらすでに満席で「昆虫教室」に入ることになりました。やだー、昆虫なんて嫌いだそんな男の子みたいなところへ行きたくない、と抵抗したのですが無理矢理参加させられました。するとさすが先生はプロ、芋虫やらカブトムシに触れて、「いや案外面白い」と私の中でイメージが変わり、帰りには母も嫌がる(笑)昆虫少女になっていました。

人は誰でも自分のことは自分が一番わかっていると思いがちです。無意識のうちに頭に刻まれた過去の記憶や、一般的な統計データで判断を下し、知らず知らずのうちに人やモノを偏ってみてしまいがちです。今はやりの言葉で言うとそれが「バイアス」です。バイアスで一番危険なのは自分自身へのバイアスではないでしょうか。

テレビの情報番組で「エアコンを入れて寝ると体調が悪くなるから入れない」と言って熱中症になる人が多いという話題がありました。体調が悪くなるのはエアコンの使用方法の問題だし、日本の気候は少し前とは違っているので、そこを従来の自分の経験に頼って判断していたら、命にかかわります。自分は冷え性だから、と頑なに思い込んでいる女性が多いそうです。

仕事では、自分は細かい仕事が苦手だから(過去の経験から)、大した学校を出ていないから(一般的なデータ)、経験がないから(経験ゼロという自分のデータ)とためらったり決めつけたりして、新しいチャレンジをしなかったり、自分を過小評価してチャンスを失っているかもしれません。

いやいや、私自身のことは一番私が分かっていて、何度もそういうことがあったからそうなんだ。と言いたくなりますよね。しかし、案外、自分で蓄積したデータは思い込みであることも多いようです。

そしてその傾向は女性に多いようです。(これもバイアスもあるかも知れませんが?)というのは、社会では女性が「ためらい」を見せることは、あまり恥ずかしくない行動としてとらえられますが、男性にとっては「男らしくない」行動に繋がります。また男性は自分自身へネガティブなバイアスよりポジティブなバイアスを抱く傾向があるそうです。

今、コロナ渦でこれまでの常識が覆っています。握手をしたり名刺交換が挨拶の常識であったのが、距離を取ることがエチケットに変わっているように、当然だったことを疑うことが求められて戸惑います。だから、今がバイアスを外すチャンスではないでしょうか。

では、どうしたらこのバイアスを外すことができるかというと、いったん自分が蓄積したデータを疑ってみるとよいようです。自分を疑い、再度データを集め行動を起こしてみる、そして再構築してみましょう。

  解凍        →    変容   →      再凍結     (昆虫教室へ行く)→(触ってみたら面白い) → (昆虫が好きだ)

昆虫教室は男の子の行くところであり、私は昆虫が嫌い、それは幼い私が持つ自分へのバイアスでした。しかし、バイアスに反した行動を取ったところ、世界観が変わったのです。子供の視野が広がったのです。残念ながら、大人になればなるほど、経験が邪魔して視野は狭まる一方で、バイアスも大きくなっていきます。

この昆虫をモノや人に変えて、いつもの行動を変えて見てください。人であれば付き合ってみる、モノやコトならやってみて、認識を変えましょう。

今でも、昆虫教室は私にとって苦手意識を克服する魔法の教室です。

参考図書 WORK DESIGN イリス・ボネット著 NTT出版


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