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週刊 表の雑記帳 第八頁_制裁と武漢ウイルスで飢える北朝鮮、我々は備えねばならない

 今週の目についた報道はtwitter参照。

北朝鮮が苦しむ制裁とウイルスのダブルパンチ

 以前のnoteで取り上げた、金正恩委員長の重体説が流れてから早一ヶ月。その後は二〇日振りに公に姿を現した(こちら)とか、肉声はないが映像付きで姿を報道(こちら)とか、ちょくちょく健在アピールされているが、その度に影武者が似ていない等と一部から指摘されている。

 影武者が複数人いる説の真偽は私には到底分からないが、以前のnoteでも書いたように金正恩委員長の健康状態に重大な懸念があることは最早火を見るより明らか。我々はもしもの時に備えねばならない。

 そんな中、北朝鮮はここ数年の経済制裁と昨今の武漢ウイルスのダブルパンチで経済が厳しい状況だと38 Northの記事にある(こちら)。制裁に関しては、実はチャイナが裏で制裁破りしているからそこまでの効果を上げていないという指摘もあるが、しかし38 Northの記事が指摘するように今回の武漢ウイルス禍によりまさにそのチャイナとの国境封鎖で貿易額が落ちており、北朝鮮が苦しい状況になっていること自体は恐らく事実だろう。

 Financial Timesにおいても、北朝鮮の経済苦境が報じられている(こちら)。これによると、金正恩委員長は債券を発行してドンジュ(金主)と呼ばれる国内の新興経済富裕層からお金を徴収しようとしているとのこと。更に、国家への忠誠心を示すための「自発的な」金銭的貢献の要求(要求している時点で自発的ではないが)が増しているとも言う。まあつまりは強請なわけだが、それ程経済状態が逼迫しているということの証左でもありそうだ。

経済苦は食糧事情にも悪影響を

 この経済苦は北朝鮮国民の食糧事情にも暗い影を落としている。38 Northの別の記事(こちら)によると、今年の北朝鮮の食糧事情は破滅的とは言わないまでも、例年よりも厳しくなることは間違いないだろうと言われている。例年が既に不十分なのであるから、それよりも厳しくなるとかなりの痛手だろうと推測される。金正恩委員長の体制下においては、収穫のうち60~70%を国が取り上げ、残りが市場に流通される。国が取り上げた分は国営工場や官僚機構といった職場を通じて分配されるとのことだが、分配量と分配先の選別が行われるのは間違いないだろう。一般国民と体制側の体形の違いを見れば一目瞭然だ。従って、市場価格を見ることが庶民の食糧事情を推し量る一つの有力な指標になるが、ここ数箇月の市場価格は通常よりも高く推移しているようだ。

リスクは増すばかり

 米国との関係も進展がないまま、経済までボロボロ、日頃から飢えている民が更に飢えている。そんな状況でもし金正恩委員長に何かあったら、金一族独裁体制が極めて不安定になるのは自然だろう。もし体制が変わるなんてことが起こったら…我が国も当然無関係ではいられないどころか、積極的に動かねばならない事態となる。押し寄せるであろう難民への対応。朝鮮半島の安定への貢献。核兵器の適切な管理。偶発的な軍事衝突への対応。そして何よりも、拉致被害者の奪還。

 来るであろう難民もただの難民ではない。我々と同じような状態の人たちがたくさん来るならまだしも、遥かに健康状態や栄養状態が悪く、言語も通じず、恐らく日本のことをよく思っていない人たちが押し寄せたとき、この社会はどこまでそれを受容できるのだろうか。毎年増え続ける外国人旅行者への対応にも四苦八苦し、安価な労働力として期待される移民政策にも賛否両論、とてもでないが難しい状況の難民をすんなり受け入れることが出来るとは思えない。

 そのような不測の事態においては、平時からの国の在り方も問われるだろう。普段から周辺国との諍いにおいて毅然とした態度を示さず、なあなあと済ましてしまっているような現状では、いざというときに割を食うのは目に見えている。北朝鮮に何かあったとき、チャイナは遠慮なく国境を封鎖し軍も出すだろう。そのときは我が国はどうするのか(勿論そのような事態において何かしら人道的に貢献することを否定するものではない)。防衛一つとっても、前述のFinancial Timesの記事によると北朝鮮は昨年核開発に約650億円をつぎ込んだと推測されている(こちら)。翻って我が国の防衛予算を見ると、令和二年度の概算要求額はおよそ5兆3000億円。北朝鮮は我が国の防衛予算の1%超を核開発に使っている。我々の備えは果たして十分なのだろうか。防衛予算を削る議論ばかりしているのは明らかに情勢に合わない。我々が備えねばならない国は当然ながら北朝鮮だけではない。比較にならないくらい強大な国がそのまたすぐ近くにあるのだ。手をこまねている間にも、チャイナの船は本日(五月三一日)時点で48日間連続で尖閣周辺に現れている(こちら)。

備えなくては対応できない

 しかし国会でそのような議論が十分になされているようには見受けられない。課題は山積している。事が起きたとき、ちょっと待っては通用しない。今国民に心の準備ができているとは到底思えない。明確な対応策を現時点で確定できなくても、そのような事態を想定して国民が少しでも心算できるように、国会で議論してそれを発信していくことが肝要だろう。テレビ等のマスメディアにその発信を期待できないところが痛いが、そこは様々な手段があるこの時代、色々なチャネルでの発信を切に望む。そして情報の受け手側としても、テレビや新聞以外に様々な情報媒体が存在し、何よりもインターネットという驚異的なツールがある中で、自ら情報収集しないことは最早怠慢の誹りを免れない。国民一丸となってその時に備えたい。

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