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エネルギーについて考える

 気候変動、温暖化、持続可能性 … それらと繋げて、エネルギーについて考えよう

テーマは10個

 情報科の教材として <テーマ> を10個用意しました。

1.石油   2.石炭   3.水力   4.原子力  5.地熱
6.太陽光  7.風力   8.バイオ  9.EV   10.気候変動

 この中の1つを生徒に与えますが、生徒に自由に選ばせたりはしません。
  ◇ 出席番号が 1番・11番・21番・31番の生徒はテーマ「石油」
  ◇ 出席番号が 2番・12番・22番・32番の生徒はテーマ「石炭」
           :
  ◇ 出席番号が 10番・20番・30番・40番の生徒はテーマ「気候変動」
を与えます。生徒が自力でできるように、同じテーマの人が席の近くにならないようにとの配慮によるものです。

スライド6枚

 プレゼンのために作るスライドは全部で6枚。6枚まとめて印刷すれば、A4サイズの紙1枚にぴったり収まるから。

<スライド1> テーマ氏名 を大きくはっきりと書く。
<スライド2> ネットから関連する統計 データ を探して グラフ 化する。
<スライド3> 前のスライドで引用した統計から 読み取れ ることを書く。
<スライド4> そのエネルギーの 特性、発電の 仕組み原理 など。
<スライド5> メリットデメリット をそれぞれ 3つずつ 挙げる。
<スライド6> 論点焦点 を、自分の問題意識 に沿って提案する。

 <スライド1> のテーマは与えられたテーマからもっと絞り込んだテーマが望ましい。たとえば「原子力」というだけではまだまだ広すぎる。もっと論点・焦点を 絞り込み たい。コストについてなのか、安全性についてなのか、資源量についてなのかなど。
 <スライド2> では、ネットからグラフになってるもの(画像ファイル)をコピペするのはダメ。表になってるもの(1次データ)を探して、自分で数値を入力してグラフ化するのがお約束。1次データを探しやすいのは「総務省統計局」のサイトです。英文を読む気力があるなら、OECDやIMF、国連などのサイトが使えそうです。
 <スライド4> では 図解 して示すとわかりやすいでしょう。文章でダラダラ書くのは、パワポの使い方としてうまくない。せめて箇条書きにしてね。つまり、ここでもやっぱりコピペできないってこと。 自分で 編集 するしかないわけだ。
 <スライド5> ではメリットとデメリットとを3つずつ挙げるのがお約束。そうすることで問題の 本質 が見えてくる。メリットが無いならそのエネルギー資源は要らないはずだし、デメリットが無いなら他のエネルギー資源は要らないはずだから。

授業時間は10時間

 授業時間は全部で10時間です。

◇ 個人でプレゼン資料作成(論点・焦点を絞り込む)(6時間)
◇ 同じテーマの人が集まって、発表の準備     (2時間)
◇ グループで発表(白熱教室になるかも?)    (2時間)

 授業1時間目に以上のことを説明すると、生徒からいろんな声が上がりました。
◇ 「原子力」の生徒から「核兵器でもいい?」と。 それには「メリットとデメリット、3つずつ挙げてね」と。
◇ 「地熱」の生徒から「温泉は?」と。それには「データ探して、グラフ作ってね」と。
 6枚のスライドに書くべきことがきちんと書かれていて、一貫性があればまぁ何でもいいわけです。
 出だし好調、我ながら「なかなかいい課題だなぁ」という実感です。

資料作成のツボ

 さて、上記 10 個のテーマはそれでもかなり広いんです。それをさらに絞って、自分で考えるときの焦点、他人と議論するときの論点を提出するのが <スライド6> です。
 ○環境負荷、○コスト、○資源量、○安全性、○将来性、○自作するなら、など観点はいくらでもあります。それを全部盛り込もうとすると、言いたいことがはっきりしない、焦点のボケたプレゼンテーションになってしまう。それじゃぁ発表する人も聴く人もあまり面白くないんですね。

資料作成のツボ

 6枚のスライドのうち、もっとも大事なのは <スライド6> の 「論点・焦点」 です。それを支えるのは、各自の興味・関心であり、問題意識です。本来は、それがまずあって、そこに集約するように「データ → 分析」と「仕組み・特性」と「メリット・デメリット」を選ぶべきです。そして、最後に <スライド1> の「タイトル」が決まる。これが理想形です。
 <スライド1> から順番に作っていくと、「データ → 分析」と「仕組み・特性」と「メリット・デメリット」がまるで別方向を向いて、最後の <スライド6> に行き着いたときには何も書けなくなってしまうでしょう。

サンプル

 サンプルを作ってみました。私個人の見解を色濃く出しました。

石油文明

 サンプルにしちゃちょっとインパクト強すぎでしょうか。

グループ作業

合体、いいとこどり、どれか1つを選ぶ・・・

《グループ活動 1時間目 前半》
※ 前回提出したパワポファイルに各PCからアクセスできるようにあらかじめ仕込んでおく。
◇ グループで1台のPCを起動して、グループ内でお互いにプレゼンし合う。(各自 5 分程度)
(全員分を起動すると、他人のプレゼンを聞かずに、自分の資料作成に専念する生徒が現れるだろうから)

《グループ活動 1時間目 後半》
◇ 発表に向けて相談。 (何を発表するか? 誰が何を担当するか?)
◇ 自分のプレゼン資料をプリントアウトして、紙の上でプレゼン資料を修正。(自分でやってみれば、また他人のを聞いてみれば、気づくことは色々ある)

《グループ活動 2時間目》
◇ グループで発表する内容と役割分担を確定する。
◇ グループで1台のPCを起動して、発表のための資料作成。
(時間のことを考えると、誰かの資料をベースにして、それに手を加えるのが現実的だろう)

発表

 これまで6時間かけて各人でプレゼン資料を作成し、2時間かけてグループで発表の準備をしてきました。これから2時間かけて10班が発表します。すなわち授業1回分の50分間で5班ですから、各班の発表の時間を5分間として、そのあと聞き手からの質疑を受けることにしました。
 時間の関係で各班につき1つか2つの質疑しか受けられないのですが、なかなか手ごわい質疑が連発でした。

◇ 「石油の○○と△△」というタイトルで発表した1班に対しては、
  → で、結局、○○と△△には何が入るんですか?
◇ 「石炭の将来性」を考えた2班に対しては、
  → 「石炭を使え」なのか「使うな」なのか、どっちを言いたいんですか?
◇ 「太陽光パネルの普及」のグラフを提示した6班に対しては、
  → グラフの縦軸の単位はなんですか?

 プレゼンテーターはたじたじ。発表する側も聞く側も良い経験が出来たと思います。

◇      ◇      ◇

〜 思考力・判断力・表現力を育む
▷ 従来の学力と何が違う?        
▷ エネルギーについて考える       
▽ プチ論文               
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  └( ▷ 童話「どんぐりと山猫」)   

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