頂き女子マニュアルを読んで

遅ればせながら頂き女子りりちゃんの【みんなを稼がせるマニュアル】というものを読んでみた。ネットにあがっているやつ。2万文字以上ある。

頂き女子という言葉を目にしたのは去年ぐらいだったと思う。その頃はネットニュースで記事のタイトルをチラッと見ただけで、特に興味が無かったので中身までは見ていない。

当時は何かの頂(テッペン)を目指す女子のことなのかと思っていたが、今年になって違うということがわかった。

このマニュアルを読むまでは、大金をだまし取ったぐらいの情報しかもっていなかったのでこれを機にざっと経緯を調べた。

ある意味、頂(目標)を目指すものではあった。

読んでみて、自分のブランディングの手法(キャラクターの設定)、目標、ターゲット、関係の進め方、対処法などが具体的に書かれていて中々わかりやすい印象だった。

良心とか罪悪感とかを無視すれば、相手がいる場合すぐに実行できるイメージだ。頂き女子も実行する中でブラッシュアップしていったことが伺える。

努力の方向性が間違っているが、実体験を踏まえてわかりやすくまとめた資料を作成できるのは社会で役立つ場面があると感じた。

多分、目立って表に出ていないだけで特に風営法が絡むような業界では、頂き女子マニュアルのようなものがそれぞれあるような気がしている。

金銭をだまし取られる方が悪いというのはわかるが、ここでターゲットにされているのいわゆる弱者男性(語弊があるかもしれないが、ここでは頂き女子のターゲットにされやすいのは弱者男性とする)のことだろう。

そもそもターゲットにされなければ、トラブルに巻き込まれることがぐっと減る。巻き込まれないのが一番いい。

弱者男性がターゲットにされやすい社会構造が問題点の一つだろうが、性別間の不平等さやそれぞれの半ば決めつけられたような立ち位置がある限り、頂き女子のような事例は無くならないだろうなと感じている。

自分の立ち位置(需要)を理解した上で、手っ取り早く金儲けしようと考えると行き着く先は皆似たようなものになるのは自然なことかもしれない。

マニュアルの中にターゲットとなるおぢの見極め方が出てくる。3種類ある。

①テイカーおぢ(人に何も与えず、人から搾取することだけ考えている)

②マッチャーおぢ(こちらが与えた分(信頼関係構築コミット)だけ与え返してくれる(お金))

③ギバーおぢ(人に与えることを優先して考える)とのことだ。

頂き女子からすれば①は論外で②③がターゲットになり得るらしい。
その中でも③が一番ねらい目とされていて神だそうだ。

③のギバーおぢを「無害ガチ恋思考」

・この子のためならなんでもできる
・俺にはこの子しかいない
・この子といると安心する
・この子しか本当の俺をわかってくれる人はいない
・この子が喜んでくれることが俺の幸せ
・この子の嫌がることはしない
・この子に嫌われたくない

に仕立て上げて金銭だけだましとる方向にもっていくのが頂き女子が力を入れているところだ。無害ガチ恋なんているのかと思ったが、いるから被害者が出ているんだろうな。

頂き女子マニュアルの中でいう「テイカー」「マッチャー」「ギバー」と同じかは不明なものの世間にはテイカーが16%、マッチャーが59%、ギバーが25%いるようだ。頂き女子的にはテイカー以外がターゲットなので結構いる。

今回の件で実刑判決を受けたのが、頂き女子りりちゃんというだけであって
氷山の一角だなとしか思わなかった。詐欺マニュアルを販売したり、だました金額が高額だったりと目立ち過ぎたので犯罪者としてターゲットにされたのだろう。

よく言われている、映画「千と千尋の神隠し」のカオナシのように金銭面でしか関係をつなぎとめるものがないのは悲しいことだが、それが成立してしまうというところも金銭の強さを示している。

仮に金銭やある種のモノがさしたる価値を持たない世界では、人間はどのように他人の気を惹くことができるだろうか。

そう考えると、現代で汎用性のある金銭は、手にする機会や量の差はあれ平等といえるのかもしれない。

それが原因で、使い道のないお金を持っている(と頂き女子は思っているとマニュアルに書いていた)おぢがターゲットにされている部分もある。

頂き女子も、ある意味では家庭環境の悪さから生まれた弱者である被害者なのかもしれないが(ホストに貢いで自分の存在意義を実感するなど)、結局のところ金銭を弱者男性からだまし取っているのでただの犯罪者に成り下がっている。ミイラがミイラ取りになったということだ。

本当に社会で必要とされている人間がどれだけいるかはわからないが、少なくとも、たとえ表面上だろうが自分の役割が持てる環境がないとギバーおぢのように搾取される側になってしまうのだろう。

頂き女子マニュアルを読んでいて思った。



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