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【人事評価の未来(第5回)】OKRは本当に使えるのか???

人事評価の重要性がますます高まっています。日本の大手企業の人事担当者から「人事評価は労力がかかる割に納得度が低い」「目標達成度評価といっても目標設定したときと状況が大きく変わってしまうことが多い」という意見から「変えたいんだけど」という相談まで受けることが多くなってきました。そうした中、人事担当者の方からよく質問されるのが「OKR」です。

OKRとは何か

OKRとは、Objectives and Key Resultsの略で、「目標と重要結果」「目標と主要結果」などと言われています。筆者は「目的と主要成果」と訳すようにしています。意味合いとしては、高い目標を達成するための目標管理方法・やり方です。具体的には、

目的:なりたい姿・状態
主要な成果:目的状態達成のための定量的な目標

から構成されます。目的となるなりたい姿・状態を達成するために、主要な成果がある、という目的-手段の関係であることが必要です。

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設定の条件としては、

□定性的ななりたい姿・状態+定量的な目標3つ程度
□目標は挑戦的なもの、自信がそこそこあるもの。達成度が6割くらいでもOKとする。
□短期間で達成できる目標

ということが言われています。定量的な目標は測定可能な、いわゆるKPI(Key Performance Indicator)と同じようなものと考えてよいです。

具体的な運用方法としては、四半期・数か月単位で目標設定、チームミーティングや1on1ミーティングで振返り、目標達成度を管理・評価していくことになります。特に、OKRはトップが決めて、経営陣が実行、下に落とし込んでいくことが肝のようです。

OKRの成果としては、組織のメンバーの頑張りや挑戦を引き出すこと、オープンな目標の連鎖・目標の共有によりエンゲージメント向上・モチベーションアップが期待できること、一体となった取り組みで組織が成長できることなどが言われています。

人事評価との関係についてですが、本来は結びつけるべきではないという意見、緩い結合が妥当という意見が支配的です。

OKRの本質

OKRってそんな新しいものではないじゃん!

と思った方、そう、その通りです。

一言で言って組織目標管理・組織マネジメントにしかすぎません。組織において、挑戦的な目標を設定・管理し、目標達成度を確認しあっている組織においては、組織マネジメントとして不断にやっているようなことなのです。特段目新しいものではありません。

何も新しいものではないのです。「グーグルがやった」「メルカリがやっている」「SAPがやっている」と導入をあおる有識者がいますが、人事評価制度の専門家からすると、人事評価に代替えするのかについては注意が必要でしょう。自分の組織のふだんのマネジメント手法として取り入れることはもちろん大事ですが。

次回はOKRを使う意味について考えていきます。

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