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経営層の行動をどうかえるか?、人事からの問い ~【解説】人的資本可視化指針(第8回)

企業・経営者に期待されることは、人的資本の可視化になってきたということについて考えていきます。投資家が企業経営者に期待していることはまとめると以下のようなことです。

・「経営層・中核人材の多様性の確保方針」、「中核人材の多様性に関する指標」、「人材育成方針、社内環境整備方針」などを公開
・それを長期的な業績や競争力と関連付ける
・目指すべき姿(目標)やモニタリングすべき指標を検討
・取締役・経営層レベルで密な議論を行った上で、自ら明瞭かつロジカルに説明すること

こうしたことをやらなくてはいけないのか、そんな暇ないよ、と言うのが本音でしょう。面倒だなあと思うが、大事なのは、こうした外部の期待について向き合い、考えていくこと。かなりの面倒さはあるが(そこは弊社のような専門会社に任せればいい)、その際に見えることも多いのです。そして、それを人事部門はバックアップしていかなければなりません。

人事部門が経営陣に言えること

戦略人事と言うことで、人事は経営戦略の基盤となることを明確に意識し、経営戦略においても人事なりのイニシアティブを発揮していくということになります。経営に積極的に参画し、経営陣の一員としても人を送り込み、経営戦略「全体」に口を出していく方法は様々です。
大きくアプローチは3つあります。

①経営戦略アプローチ
②検証アプローチ
③翻訳アプローチ

①経営戦略アプローチとは、経営戦略面から経営層に疑問を呈して、経営面の問題意識を引き出していきます。②検証アプローチとは、ある人事的なロジックから経営戦略を検証していくということです。③翻訳アプローチとは、経営層の問題意識や思いや考えを引き出し、翻訳してあげるような手法です。

それぞれに従って、経営層の行動をどうかえるか?、人事からの問いをまとめていきましょう。

【問①】経営戦略に対して、これまでの組織や人で戦略実行は可能なのですか?

問①は、経営戦略アプローチでの問いになります。経営陣が企画した経営戦略に対して、それを実行できる人・組織体制が整っているのかを疑問を呈し、確認するということです。経営戦略は得てして、人的資本を前提としてあまり考えずに作成してしまいがちです。それなので、経営戦略を実効性のあるものにするためにも人事の問題提起は重要でしょう。

【問②】価値観を理解し実践するような人材は経営向上に貢献できるのか?

問②は、検証アプローチでの問いになります。経営理念や価値観を理解し、実践するような人材ははたまた経営に貢献できるのか?経営理念や価値観に対して、疑問を呈し、確認してもらうということです。経営理念や価値観は得てして、空想や抽象的なものです。そこと人材方針・人事戦略との間にはギャップがあるかもしれません。理念や価値感を理解し、行動できる「人材」が人事が考える理想の「人材」なのか。そこを確認し、経営理念を体現する人材がはたして収益向上に貢献するのかを改めて考えてもらうということです。経営理念や価値観との間にギャップがあるのなら、そこは人事と経営陣で埋めていくべきでしょう。

【問③】求める人物像のイメージや条件はどういったものをもってますか?

問③は、翻訳アプローチでの問いになります。求める人物像のイメージはどのようなものかを経営陣に確認します。求める人材像は何か、というのはなかなか定義づけ、条件設定は難しいの野です。経営陣は求める人物像を曖昧にしか定義できない場合、一緒に考えていってください。

この3つ、ある意味、疑問を投げかけ、経営陣の思考をより深めてもらう、ファシリテーターのような役割と言うことかもしれません。人事は経営戦略をもとに、人事制度とその運用を改善、つまり、人財育成や組織開発を企画・実行し、経営マネジメントに反映にしていくことが求められます。

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