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【人財育成論第11回】ISO30414の各指標が大事なわけ


最近、人的資本(Human Capital)についての動きが顕著になっています。そうした中、ISO30414が注目を浴びているのは、それが具体的な開示基準として活用できるからです。ISO30414は、11の「CORE AREAS FOR REPORTING」というものがあり、それぞれに指標が設定されています(今後解説していきます)。

①コンプライアンスと倫理、ビジネス規範
②採用・雇用・離職等労働力のコスト
③ダイバーシティ、労働力とリーダーシップ
④リーダーシップ、従業員の管理職への信頼
⑤組織文化 エンゲージメント
⑥健康安全、労務
⑦生産性、組織パフォーマンス
⑧採用・異動・離職などの人事プロセス
⑨能力
⑩後継者計画
⑪労働力

それぞれに指標が設定されていて、それぞれ数値を算出する、そして、それらが公開されることになります。

数値がなぜ大切なのか?~人的資本の開示

企業が人的資本の現状を公表するために、ISO30414は重要な役割を果たします。I

【出典】「経済産業省 産業人材政策室「事務局説明資料(経営戦略と人材戦略)」 令和2年1月

指標と数字をセットに公開することで、どういう企業なのか、人事の状況が把握できます。ISO30414でできることは内部的には、以下のようなメリットがあります。

①現状が把握できる
②比較・ベンチマークできる
③それぞれの「数字」に基づいて人事戦略が講演できる
④経営成果への貢献度を分析できる

このように人事戦略を進めるうえでの情報が可視化され、経営戦略との融合が可能になってきます。
他社、とくに取引先にとっても有用な情報です。事業やサービスの裏に、どういう人材がいるのか、が把握できます。今後の取引関係を続けていく上で
も、重要な情報です。
当然、会社や取引先、投資家のためにもなりますが、社会的にも意味があります。どういった人的資本からなる企業であるのか、どのように人的資本を扱っているのか、こうしたことを明確にすることは、まさに社会的責任の領域に近いということです。個人的にはCSRリテラシー、SDGsなどのコンサルティングや活動にも関わっていた時に、退職率などやハラスメント発生件数についての情報が必要と言ってきたこともあるので、やっとこういう時代が来たかという思いでいっぱいです。

人事情報をまとめるのが面倒?ISO?という人事のあなたに

さて、ISO30414で人事情報をまとめないといけない・・・というのを聞いて人事の担当者の中には、ISO、特に品質管理あたりのめんどくさい手続きを想像した人もいるでしょう。不安もあるでしょう。

安心してください。簡単に言いますと、財務部門が経営数字をまとめるような、対外的にこれまでやっていたことを人事部門がやるだけのことにしかすぎません。

しっかりデータを内部で持っていたらそんなに難しいことではないです。それどことろか、ある意味チャンスでもあります。
第一に、指標化して数値を測定することで、人事の課題が「可視化」されるからです。これのメリットは多大です。分析をすることで、自分たちの人的資本についての課題が発見できることでしょう。第二に、人的資本が組織の成長にどのくらい貢献しているのか、その貢献度を測定・検討できる。人的資本を定量化しやすくなりますし、経営戦略上で議論の土台になります。
こうしたメリットがあるわけですから、是非このチャンスを生かすべきだと思います。これからISO30414について解説していきます、

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