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組織の「問題」を定義することからはじめよう!:組織改革論①

日本社会は変わり始めた?

政治は相変わらず混乱していますが、各企業の好決算、賃上げの拡大、失われた30年の経済もかわる兆しがみえているといえます。芸能系では、30年多大な権力を誇っていた「王様」の権威が失墜している事態を我々はリアルに目にしています。時代の波に乗って一世を風靡した大御所がダサい、カッコ悪い姿をさらして退場。その一連のストーリーを見て「それはあかんですよ」と言ってくれる人がいかに大切か、客観的な目を常に持ち、自分を厳しく律することの大事さを身にしみて感じる人も多いでしょう。

筆者撮影

こういう筆者もM1グランプリに応募したり、地方創生のイベントで吉本のタレントさんと共演したり、友達もいたりもします。吉本興業グループが権威主義な組織とは言えないですが、芸人仲間の中では、一部にそういったこともあったのかもしれません。王様に気に入られることが仕事の有無を決めてていたり、王様との関係性、そのことが絶対的な基準になってしまった面はあるのかもしれません。知らんけど。

さて、日本経済の再生に求められているのはこれまでの「日本型組織」の在り方を変えるようなものだろうと思っています。

人的資本経営が求められている背景

最近、人的資本経営の必要性が叫ばれているのですが、簡単に言うと人材育成に投資し、社員皆がやる気をもって、楽しく仕事をして、周りと相互に協力し合って、結果を出すことだと思っています。結果を出すというのは、新規事業や利益をあげる、売り上げを増やすなど経営に貢献してもらうことです。簡潔に「人的資本経営」とは、それだけのことです。なので地道に人的資本経営を進めつつも、やるべきことをするだけってことなのでしょう。

旧来の「新卒一括採用・年功序列・終身雇用」のメンバーシップ型雇用が機能しなくなり、ジョブ型雇用(職務内容を明確に定義して人を採用し、仕事の成果で評価し、勤務地やポスト、報酬があらかじめ決まっている雇用形態)も広まりはじめています。

筆者作成

日本の人的資本経営の問題は・・・エンゲージメント

ただし、日本の会社組織においてはエンゲージメントが問題といわれています。エンゲージメントとは、1人ひとりのチームに対する愛着や思い入れ、組織に対して高い愛着・所属意識を持っている状態を示したもののことをいいます。数字で見てみましょう。日本の低さは以下の通りになります。

State of the Global Workplace 2023 Report THE VOICE OF THE WORLD’S EMPLOYEES

とにかくエンゲージメントのスコアが低いのです。

Gallup’s recent State of the Global Workplace report.

なかでも、ワーク・エンゲージメント、「仕事に対してのポジティブで充実した心理状態」これが低いです。つまり、仕事にやる気を持てない、仕事をしていてつまらない状態と言ったところでしょうか(仕事の楽しさについて連載してきましたので詳細はそちらを参考にして下さい)。

なぜ重要なのかというと、エンゲージメントの数値と利益率・生産性には相関があると言われているからです。

そうしたエンゲージメントの低さの原因は複合的でしょうが、日本企業の中には、組織の「問題」としての重要性が高いことも確かなのかもしれません。

組織の問題を治癒するために必要なこと

組織風土の「問題」をそれなりに可視化してみましょう。明確化すると以下のようになります。

筆者作成

多分皆さんもこの絵を見て、「あるある」と納得された方もいることだと思います。この問題解決はかなりの難問です。それぞれの1つにおいても色々な要因が絡んでいます。みんなで協力して、話し合って、信頼関係を深め、問題の構造をとぎほぐして、こういったことが少ない組織にしていきたいものです。

まずは、こういった問題らしきものについての「どのような事実があるか」、「(その事実は)どの程度あるのか」(量)、「そうした特徴は組織のどの程度に及んでいるのか」(広さ・範囲)、「どういった要因が絡んでいるのか」(深さ)、「どういったことにつながりかねないのか」(影響)、「平常的にはどうか(一時的・一過性なものか」(特徴)などを確認することからスタートすることが必要かなと思っています。可能なら数字で裏付けられるとよいかもしれません。ストレステスト、満足度調査、エンゲージメント調査なども活用して、組織の「状態」を確認することがスタート地点ではないでしょうか。
なかには、「事実」というより、その人の「意見」「印象論」「解釈」と思われるものもあるかもしれませんが、そうしたものが出てきて、考えるきっかけになるだけ貴重なものだと思っています。

次回から組織改革について考えていきます。

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