変化と課題。大宮の軸
4連敗で泥沼ですね…。正直勝ち点的には昇格は(願いますが)厳しいという現実。その中で見えてきたこと、最後に大宮の今年の軸について考えてみようと思います。
1 攻撃時の3421のと守備時の442の可変
正直、これが今回…というか今シーズンで一番驚き、これからも見たいと思ったし、もともとやろうとしていたのかな?と思いました。
まず、批判とか度外視してですが、このサッカーをするのであれば、今年昇格することはかなり厳しいということです。ただ、これから先を見てみたいサッカーでした。なぜなら、世界でもこの可変をしているチームは多くないからです。おそらくですが、理由はシンプルで「難しいから」でしょう。
図1
基本的には攻撃に関しては、3421の中央に人数をそろえて崩す形は今まで同様です。
図2
ただ、帰陣したときのフォーメーションが442に可変していました。図2は実際の右サイドを責められていた時の可変です。右CBの西村が右サイドバック⇒逆サイドのWBがサイドバック化⇒逆シャドーがSH化⇒同サイドのシャドーがツートップの一角になるという可変を行っていました。
おそらく狙いは2つあると思います。
1つは541よりも守備する際に高い位置で守備ができるため、ボール奪取の回数が必然的に増える。
2つ目はショートカウンターに移行する際に、前線の人数がツートップ+αでショートカウンターに移行しやすい。
この2点かなと。どちらかというと、守りに行くのではなく、3421は自陣で自分の時間を作るため。442はショートカウンターの回数を増やし、サンドバックの回数を減らす+攻撃の回数を上げる意図があったのではと思います。
ただ、ここで442のセオリーの守備ができていないことが露呈して、結局ボール奪取ができませんでしたね。ではなぜそうなったのでしょうか。
詳しくは上記の記事に基本的なことが書いてあるので、参考にしてみてください。
図3
申し訳ないけれど、CFが最低限の守備の仕方と運動量を確保してくれなかったのが原因だと思います。長崎は大きく分けて2つの攻撃しかしてきていません(連動性はともかく)。
図3を見てください。これがすべてですが、とにかくCF役の2人がボランチへの縦パスを切りながら、CBへアプローチせず、CBが逆へ展開することだけ防いでいる。横へのスライドしかしてくれません。
そもそも、ブロックを敷く(ゾーン)をする場合の守備の鉄則は危険なゾーンへ縦パスを入れさせないこと。CFへのパスをバカスカ通させることはさすがにないので、実際の試合で考えるべきはボランチへの縦パスです。ここが一切ケアできていなかった。これは非常にまずい問題です。
そうなると同サイドのボランチはCFを優先的にケアするので、前へ出れず、同サイドのSHがしぼってボランチをケアせざるおえない。イッペイの守備が軽いのは…しょうがないですし、そちら側のほうがチャンスあったので、交代をできるだけしなかったのはしょうがない。ただ、ゾーンの考え方的にはイッペイの守備は正しい。黒川や翁長もです。
24分、29分、39分50秒、47分、失点シーンなど、数を上げるだけでもかなりあります。とにかくCFに問題があります。ぜひ見てください。
図4
図4も見てください。失点シーンもこれですね。当然ボランチをケアしないことはばれてしまったため、相手DHがCBにまで吸収されて、自由にパスを配給していました。ミスからの失点ですが、当然、イッペイは出れないし、西村も選択肢が多い。これでは決壊するのも時間の問題でした。とにかくCFの運動量が足りない。
図5
図5を見てください。本来の442ならこうしなければならない。DHにはしっかり、スライドしてコースを切る。そうすると選択肢が限られる。高い位置で強く出て取れるようになりますよね。442の取りどころで間違えてはいけないのは、相手SBのところです。カウンターにつなげるならなおさらです。
CBに戻されたときや逆へ展開されたときに「体力が!」とか言われる方もいますが、そうではありません。442の守備をするなら「持たせないといけない」のです。特にCFはボランチへのケアとポジション修正はかなり運動量とスプリントをかけなければ、この守備は機能しません。
おそらく、高い位置から守備にかけるときはスプリントをかけていたので、できないわけではないと思います。ただものすごく感じたのは、前線の運動量が541に慣れすぎて、ほぼ変わらないことが根本的な問題…というか弊害ですね。
あとは、可変に慣れていないので、ブロックを作るのが明らかに遅れてしまっています。これは時間がかかるので、仕方ないし、行ってもどうしようもないですね。
2 攻撃面
あまり言うことはありません。「気負っている」これにつきます。せっかく高い位置でとっても、簡単な横パスをミスする。クロスを吹かす。展開できそうなときもフィードしない。などなど、とにかくミスを恐れて、思い切りの良さがなくなってきたと思います。長崎は良くも悪くも2015年の大宮みたいに何も仕込まれておらず、コンセプトもない。ただ選手の質で柔軟に対応してくるのが強い。ただ穴も多いし、崩せるチャンスも多い。ただメンタル的なところで、自滅しているように見えて、見てて本当に苦しい…。2017年の大宮を見ているようでした。
3 最後に
大宮の軸とは何だろうか。
高木監督は守備に堅く、ショートカウンターで仕留めるのに加え、ビルドアップで自分のリズムを作ること。さらにゾーンとマンツーを使い分けることをしたいと思います。ただ軸はやっぱりショートカウンターだと思います。
そこでアーセナルとリヴァプール戦を見ても感じましたが、このレベルでも541にすれば、押し込まれるし、ポゼッションも下がる。ただ明確な違いは前線にちゃんと収まる選手がいる。決めきれる選手がいます。
正直、勉強不足で気づきませんでしたがフアンマを放出した時点で、収まる選手がいない。この時点でじり貧になるのは目に見えていましたね。もし、最初からショートカウンターにしてもピースが足りない。前線の頑張りですよね。少し前にも言いましたが、収められないFWはダメです。根本的に。
もう一つ感じたことは、イバが入れが変わるかもしれませんが。前線の運動量ですよね。序盤と違って、とにかくポジションチェンジやおとりの動き、何より、カウンターに行くときのスプリントの少なさ。これはかなりまずい。だから後ろはパスコースがなくて、たらたらパス回ししてしまう。
とにかくすべての軸を支える運動量と選手のピースが足りないようには見えました。
心配なのは、やりたいサッカーより現実路線に切り替える場当たり的「いつもの大宮」に戻ってしまうのではないかと。理由のない戦術変更、監督解任…などなど。高木監督はやりたいことを明確に持っている監督だし、修正力もあるし、意図もわかる監督です。個人的には昇格はもういいから、とにかく変えないで植え付けて欲しいという感想です。昇格して欲しいけど…。
ただ今は目先の結果でいいから勝ちたい。だからこそ、イバへの放り込みをしてもいいのではなかと思います。今はやりたいことより、自信の回復が大前提。だからこそ、J1で通用しないとかはいいから、勝ちたい。ポゼッションはそこからではないかと思います。
難しいのはわかっていますが、怖がらず、がむしゃらに追う。ミスを恐れない。シュートをする。気負いすぎないで、笑顔でサッカーをしてほしい。だからこそ、今はサポーターが批判すれば、2017年の二の舞です。支えないと。応援しないと。最近のは批判ではなくただの罵倒です。つらい時期だからこそ支えてみようと改めて思った8月でした。ではこの辺で!
悔しい!
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