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戦術とフォーメーション

こんにちは
今回は色々な方から希望があってので、戦術とフォーメーションに関して、どちらを先に考えるのか…というよりも、フォーメーションが変わってもやり方は基本的には変わらないということについて、少し書いてみたいと思います。ただこれに関しては、色んな考えがあると思うので、あくまで「こう考えてますよ?」という考えの一つです。

きっかけは、依頼もありましたが、実はずっと気になっていたことです。大宮サポの間でたびたび目にする、「このフォーメーションは今の選手に合わない」「伝統の442にするべき」「リトリート型の442にがいい」などなど。ちなみに筆者は442が大好きです。それを度外視すると、少し考えさせられるコメントだったので今回書かせていただきます。

1 守備のセオリー

詳しい守備に関しての内容は、上記の記事を参考にしてください。今回はゾーンディフェンスとハイプレッシャーの説明は省きます。ただ守備をする上で、どちらをするにしても大切なのは、縦パス(CFやSTやCHへのパス)を簡単に出させないことが絶対条件で、その中でゾーンディフェンスはより中を締め、外に追い出し網にかける守備、ハイプレッシャーの場合は、プレスによる制限とボールの出しどころの予測が大切になってきます。これはどんなフォーメーションでも変わりません。

今回は3421と442を例に考えていきたいと思います。

〇例1 3421の場合

サンドバックと揶揄されやすいゾーンディフェンスを中心に考えていきたいと思います。

図1

541守備セオリー

一般的にこういう形になるか、シャドーの選手が高い位置を取る、523の形が多いですが、大筋は変わりません。守備の基本は縦パスを入れさせないこと。そこからプレスの場合は、制限と予測。ゾーンの場合は網にかける守備でしたよね。

それをもとに図1を見てください。3バックの場合、中央に選手が多い配置のため、簡単に縦パスを入れさせることがかなり難しいことがわかると思います。密集してますから。ただ、サイドに関しては人数が足りなくなる傾向になります。なら守備のセオリーからすると、サイドはある程度やらせることを許容する必要があります。ただ絶対にサイドから中に入れさせてはいけない。理想はクロスを上げさせることですね。中央に人数が多いため、よほどのことがない限りやられません。

ただゾーンディフェンスとしては堅いですが、サイドに選手がおらず、構造上後ろに人数が多いため、前から制限をかけても、後ろから出ていくことが難しい。そのため、ボール奪取も低い位置になるため、カウンターが個に…特にCFとシャドーの選手に依存しがちになるので、カウンターには不向きです(あくまで一般論)

またWBが最初から高い位置を取ることは、基本的に裏をさらすことになるのでありえません。だからWBがでるなら、かなりのスプリントをかける必要があります。これは古いとか頭堅いとかではなく、普通ですし、危険なエリア(裏のスペース)を使わせないため当然です。

〇例2 442の場合

では一般的にバランスがいいといわれる442だとどうでしょうか。

図2

442の守備セオリー

図2を見てください。わかりますか?基本的な守備のやり方は変わりません。ただ配置によって少し変わるだけなんです

縦パスの場合、当然中に人数を割いて入れさせないようにします。ただ、フォーメーションの関係で中央が少ないので、しっかりCFがCHやCBの逆サイド展開を制限する必要があります。つまりCFが守備の肝です。実は、守備としては縦パスを通しやすいんです。
ただバランスよく人が配置されているため、サイドにも人数がいるので、しっかり相手SBにもプレスをかけることができます。そして前線にも人数を割けるため、カウンターのしやすいフォーメーションでもあります(例:栃木、福岡など)。そのため、高い位置から前にも出れるため、完全にゾーンをするチームはそこまで多くなく、プレス併用型が多い傾向です(例外は千葉など)。

ちなみに栃木の場合、SHが相手のSBにもほぼマンツーマンのため、高い位置で奪取しやすく、その場合カウンターへの人数も多い。ただ、その密集する高い守備を逆サイドへ展開されると一気に崩されます。実は大宮とは相性が非常に良いのです。

2 攻撃のセオリー

では攻撃に関してはどうでしょうか。オーソドックスなビルドアップから見ようと思います。ポイントは三角形と菱形の形成と幅と厚み(深さ)です。

◯例1 343のビルドアップ

図3

343攻撃セオリー

実は4231にも言えることですが、中央に人数が多い分、三角形や菱形をほとんど流動しなくても形成できるため、ビルドアップで非常にはがしやすい

また4バック相手の場合、必ず数的優位(上記ではボランチ)が生まれるので、サイドチェンジがしやすく幅を取りやすく、同サイドでは厚み(深み)を取りやすい

ちなみに大宮が対処されやすい理由はそのサイドチェンジや裏へのパスが必ず小島選手であり、三門選手側は個人技に頼る傾向…というか戦術的ではなく選手の特性でやり方を分けているから、対処が簡単なんです。

〇例2 442のビルドアップ

図4

442攻撃セオリー

図4は一般的な三角形(菱形)の作り方です。SB⇒SH,SHが中央へ行くことで作ります。当然、バランスよく配置しているので、ポジションチェンジを繰り返さなければパスで崩すことは難しい。そのためには攻撃にかなりの運動量を割く必要があります。また同数になることが多いので、サイドチェンジをするときも、ドリブルで剥がす、スライドを超えるパスワークなどがないと中々できないため、かなり難易度が高くなります。カウンターには適していますが、最終ラインから作って崩し切るには少し工夫必要ですね。運動量でカバーする、4231に可変する…などなど

ちなみにこれで崩し切っているのは北九州ですね。低い位置からCF二人の推進力を生かして、相手陣に侵入。ポジションチェンジを繰り返して、崩し切る。取られても切り替えてボール奪取で押し込む。栃木とは真逆のスタイルですが、根本は同じ。カウンターの鋭さはどちらもですが、栃木より北九州のほうが崩し切るイメージがあるのは、その崩しのビルドアップに運動量を割いているからだと思います。栃木は再奪取後もスプリントをかけ、早いカウンターに運動量を使ってます。

3 戦術とフォーメーション

ここまでは、一例として二つのフォーメーションを見てきましたが、何が言いたいかというと、細部は違っても大筋のやり方は攻守ともに大きく変わることはないということで、フォーメーションに有利不利はないということです。だからこそ、適正ポジションはあるし、ポジションによって一人ひとりの役割は変わります。ただセオリーが変わらないなら、フォーメーションが変わっても選手が考えることはある程度同じようになるはずです。それを理解して、体現できる選手がユーティリティのある選手、サッカー偏差値が高い選手だと思います(大宮だと菊地選手や石川選手など)。

ならば選手を見ながら、監督がどういうサッカーがしたいのか(ビルドアップ、カウンターなど)があって、それに合わせてフォーメーションを考えていくことが普通だと思います。あくまで私見ですが、逆はないとおもいます。伝統がどうとか、攻撃的442だとか、リトリートだとかそれだけではなく、本来はセットで考えるべきものだと思います。

大宮だけを考えるなら、個に依存するサッカーを脱却するためにどうするか。ビルドアップなのかカウンターなのか。結局そこがどっちが本命でどっちが手段かがわからなくなっている現状なので、はっきりさせる必要があると思います(筆者は基本、カウンターを中心にするべきと思います)。

蛇足ですが、現状の大宮で442をした場合、リトリートする場合、菊地選手や富山選手、黒川選手のCF。ベルデニックのようなカウンターをするならハスキッチとイバの起用だと思います。また、今年の掲げる主導権を握るサッカーをする。これを踏襲して4バックにするなら4231かなとも思っています。

4 最後に

戦術について。特に守備についてを語る人や、組織的に守るチームって少なくないですか?選手たちもわかっていないような動きをすることも良くありますよね?

自分も選手の時、マークについたりはありましたが、全体としてどう守備していたかあいまいでしたし、攻撃も崩せても、個に依存していることも多かったと思います。つまりよくわかってなかった。

色々わかるようになったのも、指導者として監督の側で指導を学ぶうちに理解するようになってきました。守備に関しては「危険なゾーン」「誘導」「取りどころ」。攻撃は「三角形(菱形)」「幅と厚み(深さ)」。実は先日、幅と深さのについてを監督が指導しているのを見ていたのですが、SBが幅を取ると、選手は勝手に内に入り三角形ができていました。

私の記事は結構、監督の影響が強いのですが、常々感じます。攻守(特に守備)を理解し、それを言語化できる監督は多くないということ。選手も考えないといけないですが、指導者側も考えないといけないとここ数年思います。所詮アマチュアなので偉そうなことは言えませんが…。

とにかく選手が数人かけたくらいでやり方が変わるのはいい監督とは言えないと思います。監督には得意戦術があり、それをフォーメーションにあてはめ、それを選手たちに指導し伝える。当然、長い時間がかかりますよね。

今回は自分自身も色々考えさせらる記事でした。

では今回はこの辺で!




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