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#幻想

「夜の足音」

「夜の足音」

 ささやかな宴が終わり、騒がしい学生たちの一団が、中華料理店の熱気から冷たい夜道へと放り出された。彼らは会計を終えてもなお散らばりきらず、軒先に釣られた赤と橙の電球を背にして、蚊柱のようにわんわんと声を響かせている。
 喧騒の中、紺色の服をまとった影がひとつ、するりと群れからこぼれ出た。
「桐子ちゃん、二次会行かないの?」
 遠回しにとがめるような声がした。彼女は聞かなかった振りをして、一人、路地

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