新年早々、膝の将来を心配をされる娘。
「おもち屋さんでもはじめたらいいのに」って思うほど、冗談抜きでうちの母親のつくお餅がおいしすぎる。
つくとは言えぺったんではなく、餅つき機だけど。
何年か前まで、お餅はすすんで食べるものでもなかったのに、あの美味しさを知ってからはお正月には毎朝1個必ず食べている。
リュウジおにいさんの余ったお餅レシピに辿り着けないほど、焼き餅におしょうゆ、時には海苔を巻いて…というシンプルな味付けでしか食べていない。
今年のお正月は少しだけ、実家でもちのある生活を過ごしていた。
宴会まではしなくとも、人と沢山あっていると心が消耗してきてそろそろひとりになりたい時間に入る。
ただいま、絶賛「心身共に梅流しをしたい体調」なのである。
デトックスって大事。
でもお餅は食べたい。
いつものように、お餅をびよんと伸ばしながら幸せを噛み締めていると、「そうそうこれクリスマスプレゼント」なんて言って渡されたのはなんとダイエットスープの本。
なんだよ、今ダイエットの話かよ、お餅ハッピーな気持ちが萎えるわ。
クリスマスプレゼントの交換なんて普段していないから何事かと思えば
「自分の娘だから仕方ないけど、どんどん太っているから、どうしてもそのひざんぼが心配で」と母。
ところで、ひざんぼとは方言なのかな。
ひざんぼとは、膝のことで。
上半身に肉がつきやすいのは遺伝で、母と娘はシルエットがうりふたつ。後ろ姿はドラえもんなのに四次元ポケットは2人とも持っていない。
同型の親が言うには、でかい上半身を支えるのに膝がものすごくがんばってしまったため、
年をとってから定期的にヒアルロンの注射を打たないといけない。
それくらい、気づかないうちに酷使してしまっていたんだとか。
膝に注射なんてそんな痛そうな事、絶対に嫌だわと思っていたけどそうなりそうな未来を心配されている。
今までも、大体親の言うことは合っていた。その時は鬱陶しいなと思っても、予言者のように当ててくる。
ひざんぼ…急に心配になる。我のひざんぼの将来、大丈夫だろうか。
見た目がどうこうは、我が娘だから太っても痩せてもかわいいけど、かわいいからこそ、どうしてもひざんぼが心配で、余計なお世話かと思ったけど、本まで買ってしまったと言う。
それからこっちも、着られるならあげると渡されたのはなんと、軽く矯正される下着。
さっきあれほど、見た目を気にしていないとか言ってたのにこの下着でだるんとした上半身を引き締めろということね、うんうん了解した。
いい大人なのに、離れて暮らすぽっちゃりを軽々と超えてきた、もとい!肥えてきて未だに心配をかけているわたし。
ごめんよ母。
昔は体が弱くて沢山心配をかけた。だけどずいぶん健康になって、わたしは今お餅が最高においしい。
青のりが入ったこれ、最高過ぎて。
でもやっぱり、ここまで来るとさすがに申し訳ない気持ちになってしまったのでちゃんとしようと思う。
健康のため、膝にも健康で長生きしてもらうため
何度も言ったこの言葉を、また言おうと思う。
「今年こそは痩せる」
スープの本をペラペラめくっているととてもおいしそうなレシピが沢山出てきた。これを食べて痩せられるなら本望。
でも、お餅はまだあるからあと少しだけ待っていて欲しい。お餅食べ切る宣言。
おいしそうに焼けてぷぅっと膨らんだら、あとはぷしゅっとしぼむだけのお餅のようにしなやかに痩せてやるんだから。
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