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母の精神が崩壊⑤ 入院

入院当日、いつもと変わらない朝を迎えた。

1ヶ月ぐらい、母の様子をノートに綴っていた。
自分の感情を何かに吐き出さなければ、今にも心が折れそうだった。でも、このノートが後に役に立った。

精神病院へ入院することは、難しい。
精神を扱う病院なだけに、人間の尊厳が尊重され、法律にのっとった入院となり、普通の病院とは、色々と違う。

私の住んでいる町には、入院することができる大きな精神病院が3軒あるが、昔からある一番大きな病院に行くことにした。以前行ったクリニックから紹介状をもらい、大きな病院へと、急いで車を走らせた。

前もって、病院へは電話をしていたので、担当のワーカーさんが、受付まですぐに駆けつけてくれた。
すごく感じの良い人。

『大変でしたね…』
『はい…』
その一言に、目頭が熱くなった。

私が母の様子を書いたノートをワーカーさんに渡し、コピーしたものを、先生に見てもらい、入院が必要か判断してもらうとのことだった。

すぐに電話がかかってきて、母は、入院することが決まった。私のノートに綴った母の様子を読み、女性の先生がいいだろうと、ワーカーさんが判断し、女性の先生に相談してくれていた。有難い心遣いに感謝しかなかった。


母に入院することは伝えず、とりあえず病院へ行くことだけを伝えて、車を走らせた。

『どこ行くん?』

何も言わず車を走らす私に、母はただならぬ様子を感じ取ったのだろう。途中で何もいわなくなった。

病院の駐車場へ到着すると、病院名を見て母の眉間が険しくなった。

『とりあえず、一度、診てもらお』
半ば強引に母を引きずるように、病院内へ入った。
かなり悪い精神状態。

ワーカーさんが、母に『こんにちは!』と明るく挨拶をしてくれても、目をあわすことなく、私の後ろに隠れ、『知らん、もう、知らん。全部聞かれよるのに』と言っていた。

ワーカーさんは一瞬で状況を察知してくださり
『待合で待てませんね…個室用意しますね』
と言ってくださった。

母は診察すらできず、変わりに私が診察室へ行き、
先生と話しすることになった。

30分ほど話しをしたあと、とうとう先生が母に入院を説得する時間がやってきた。




















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