息子の誕生①

2018年、第二子として息子が誕生した。 

妊娠経過は、順調そのもの。上の娘の時に比べて少し悪阻がしんどかったものの、それでも大したことはなく。

2回目の妊娠でなんとなく勝手がわかっていたこともあり、心配のタネはお腹の赤ちゃんより、むしろ娘のケアだった。

予定日に近づいたある日の朝4時、自宅で破水。陣痛がやってきた。

破水しているので、病院についたらそのまま入院。あれよあれよという間に痛みが増して行き、夫、娘、私の母と一緒に分娩室へ。

結局、破水から4時間、分娩台に上がってからは30分ほどの超スピード出産だった。

産まれた瞬間、助産師さんが「あ、ちょっと、お耳が、、、」と言った。

息子のお耳は、小耳症(しょうじしょう)といって、耳介の一部が欠損していた。耳たぶはあるけれど、上の軟骨部分が形成不全で、潰れたような形だった。そしてどうやら、耳の穴も空いていないように見えた。しかも、両耳。

そしてほっぺたには副耳(ふくじ)がついていた。これは、ポコッと盛り上がったイボのようなもので、娘の耳にもあるため、大して驚かなかった。

そんなことより何より、お腹にいた我が子と会えた喜びの方が、圧倒的に優っていた。かわいくて、愛おしくてたまらなかった。陣痛によるものとは違う感動の涙が溢れ、気がついたら夫も娘もみんな泣いていた。

「生まれてきてくれて、ありがとう」

その時はことの重大さに気づいていなかった。単に見た目だけの問題だと思っていたので、それならば形成手術を受ければいい、と考えていた。

しかし、助産師さんに預けた赤ちゃんが、なかなか戻って来ない。抱っこしたい、授乳したいと、もどかしい思いで待っていた。

すると主治医がやってきて、

「赤ちゃんの呼吸がなかなか安定しません。お耳の奇形があることから、内臓への合併症が懸念されます。その場合、命に関わるかもしれません。すぐにNICUのある総合病院に搬送します」

と言われた。

寝耳に水すぎて、産後の疲れきったぼんやりした頭では、まったく理解できなかった。


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