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自分の部屋という城を持つこと

自分の部屋をいつから持てるか、これはその人自身の成長に大きく関わる問題だと思う。
ある意味自分の城を作り上げることができる。
自分の好きなもので埋め尽くされていく。そして自分の個性が発揮できる。

 私が自分の部屋を持ったのは小学生になってからだ。
部屋といってもドアはない。確かに元々ドアがあったのだがカーテンで仕切る形となってしまった。学習机とタンスと本棚と押し入れ。
4畳半にこれだけあったら、寝るスペースは狭い。
ベッドなんて置くことはできない。だから布団を敷いて寝ていた。

テレビもパソコンもない。ただあったのはラジオ。
ゲームをするのは居間、テレビを見るのも居間。
夜になると両方とも父親に優先権が渡ってしまう。
大のゲーム好きの父は、帰宅すると夕飯を食べながらゲームをしていた。
私はセーブデータに余裕があれば、自分の冒険を楽しむことができた。

 だからラジオだけは自由に聞くことができた。
流行りの音楽を聴きたければFMなのだが、当時の私はそれ程興味がなかった。代わりに声優のラジオを聞いていた。
ラジオから聞こえてくる優しい声やかわいい声は本当に癒しの時間だった。

 高校生になるとやっと部屋らしい場所を手に入れることができた。
元々は祖父の部屋だった場所が、私の新しい城の建設現場になった。
布団からベッド生活の仲間入りをした。
ゲーム雑誌を毎週購入して、新作のチェックと懸賞にハマっていった。
それでもこの部屋にテレビとパソコンはなかった。
ラジオは以前よりも高性能なコンポやカード型ラジオを手に入れていた。
聴くだけリスナーだった私は毎日深夜までラジオを聴き続けた。
今思えば、下手でもいいからラジオにハガキやメールを送っていれば良かったかもしれない。ただし、採用されるかは運次第。

 大学生から部屋は、寝るだけのモノとなっていた。
普段は居間に置かれたパソコンを使い、ネットゲームの世界に飲み込まれてしまった。ここから私は15年ほどその世界を漂流する。
それはまた別の機会に語ろう。寝るだけの部屋は本当に汚かった。
生ゴミ類はなかったが、学校の教科書やプリント、レボート用紙が散乱していた。ゲーム雑誌も買い続け溜まっていた。
大体1000冊以上は保存していた。

 大学卒業後は紆余曲折で複雑怪奇な生き方をしている。
実際今の部屋が一番綺麗だと思う。
そしてK-POPアイドルのCDの特典を飾ったり、畳ベッドもある。
さらに自分専用のパソコンと回線も引くことに成功した。
まさに最高の城が完成している。

 皆さんの部屋はどんな城ですか?
好みの城やまだまだ未完成の城もあると思います。
それぞれの希望に沿ったお城の完成を心から願っています。

 私の城も将来はもっと変わっているだろう。
全く想像できないからこそ人生は冒険であり楽しいと思う。

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