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アラマタの地

    これだけ人がいるんだもん、そらぁ、物語もたくさん生まれるわな。

 べつに酔っ払ってるわけじゃないのだけど、妙にしんみり感慨深い朝を迎えた。日曜日を経ての、月曜日。10時を過ぎた上野駅は、学生やビジネスマンよりもやや(外国人)観光客が多い印象を受ける。そんななか、右へ左へ、出たり入ったりを眺められるカフェに入って一息ついている。

 行き交う人、その種類のバリエーション、そして、会話してる・するかもしれない人たちの関係性、そのもろもろを考えると、冒頭の「こんだけ人がいるんだもん物語」である。

 そういえば、昨日宿泊したのは、台東区上野7丁目(地図でいえば上野駅入谷口を出て、鶯谷駅側に向かう間の場所)だった。つまり、台東区下谷1丁目は目と鼻の先である。そこは、作家であり博物学研究家でもある、荒俣弘がかつて暮らしてた場所である。『妖怪少年の日々、アラマタ自伝』にはそのときの暮らしが細やかに記されている。町とは意識を眠らせて歩けば、ただの建物ばかりの風景でしかないのだけど、一つ意識を起こしてあげるだけで五感がしゃかりき働くのか、突然、情緒レベルがグッと上まる。結果、アガる。 

    できる作業を終わらせて、次には吉祥寺へ向かう。一本だけ映画を観て、大学来の先輩と会って、その後は、渋谷方面へ。去年半年ほど受講していた講座でグループ課題を進めたものの、パソコンとスマホの画面越しにしかその存在を感じられなかったメンバーと初の対面である。といっても、そのうちの一人が風邪で参加できないという。じつは昨日合う予定だった友人も、風邪で中止になった。流行ってるっぽい。が、そう言って、実は会いたくなかっただけんじゃないか、といち早く邪推してしまう脳みそで、いかんいかん相手に失礼だぞ、と何度も否定を繰り返している。

 兎にも角にも、この数日の滞在中、もうこれ以上、風邪の人が増えませんように。

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