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「やさしい日本語」とは?

「やさしい日本語」を知っているだろうか。

世界にはさまざまな言語があって、わたしたちはその中の1つである日本語を使う。日本語は難しいイメージを持たれがちだ。場面によって使い分けなければならない言葉や、年代による言葉の違い、変化も激しい。

「やさしい日本語」は、「優しい」と「易しい」の意味を持ち、日本に住む外国人やどんな年代の人たちにも理解してもらえるような日本語のことである。

そもそも、この「やさしい日本語」が考えられるきっかけになったのは、阪神淡路大震災だった。地震が起きた後に、どこに避難したら良いか、どんなことに気をつけたら良いか、テレビやラジオ、無線などで放送されているのをみたり聞いたりしたことがある人は多いだろう。災害などの専門用語は実は海外の人たちにとってとても難しい言葉なのだ。
そもそも自然災害に馴染みのない人も多く、日常会話で使われないような語句も多い。
その結果、阪神淡路大震災では、情報伝達のミスから避難することができずに、二次災害に巻き込まれてしまった外国人が増えてしまった。
この問題を解決するために考えられたのが「やさしい日本語」だったのだ。

例えば次の文章を読んでみてほしい。

けさ大きな地震がありました。
大きな地震のあとには必ず余震があります。引き続き厳重に注意してください。
皆さんおちついて行動をお願いします。
ガス臭いようなところがありましたらマッチを擦ったり、照明のスイッチをつけたり、消したり、ということはしないでください。
◯◯市は断水や停電となり、市民の生活は麻痺しています
中心部の雑居ビルが完全に崩れ落ちています。

この文章を「やさしい日本語」に書き換えてみる。

朝 大きい じしんが ありました
おおきい じしんの あとには よしん<あとから くる じしん>が あります
気をつけて ください
火を つかわないで ください
火事に きをつけて ください
◯◯しは 水と でんきが つかえません
じしんで たおれた たてものに 気をつけて ください

2つ目の文章は、漢字も少なく、文章も重要な部分だけかいつまんで説明されている。これが「やさしい日本語」に置き換える例である。今回はひらがなを中心に書き換えられているが、漢字を使う国の人は、漢字から意味を推測することもできるため、漢字にふりがなを打っている場合も多い。

「わざわざこんな言葉に置き換えなくても英語でいいじゃない」「何ヶ国語かで話せばいいんじゃないの?」という意見もあるだろう。もちろん外国語を使うことが一番正しく確実に外国人にものを伝えられる方法だろう。しかし、災害などの緊急時、何ヶ国語もすぐに翻訳できる人はいるだろうか。また、日本にいる外国人には英語が話せないという人も少なくないのだ。英語は世界共通語と言われているものの、誰でも話せるかと言われたらそうではないのである。

「やさしい日本語」は例からもわかるように、簡単な言葉に言い換えられているため、外国人はもちろん、小さな子どもからお年寄りまで理解することができる。

災害をきっかけに始まった「やさしい日本語」はもう外国人だけのものではない。わたしたちの暮らしに少しの思いやりの気持ちをプラスする「やさしい」言葉なのだ。

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