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最近の記事

美しき君の倫理観:ピーター・スワンソン「そしてミランダを殺す」を読む

8月の終わりに読みました。 貴方には「絶対に許せない人」が、何人いますか? その人はなぜ「許せない」んでしょうか? そして一生のうち、何人くらいまで「許せない人」がカウントされると思いますか? ピーター・スワンソンの『そしてミランダを殺す』を夢中で読んだあとで、そんな疑問がふと頭に浮かびました。 私ですか?聞かない方が身のためだと思いますよ! 昨年末「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「ミステリが読みたい!」の3つで堂々2位に輝いた作品。 この本

    • 狂っているのは本か?角界か?小森健太朗「大相撲殺人事件」を読む

       お盆は積読を崩すはずが、地元の本屋さんに行ったところ、「あらすじ」で有名な『大相撲殺人事件』を発見。復刊されたとは聞いていましたが全然見かけなかったので買ってしまいました。でもamazonで買えます……。  タイトルは河鍋暁斎展のキャッチを流用しました。 関係ないけど、私が好きな力士は安美錦関です。引退してしまった。 有名になったあらすじがこちら。 ひょんなことから相撲部屋に入門したアメリカの青年マークは、将来有望な力士としてデビュー。しかし、彼を待っていたのは角界に吹

      • 「個人的な体験」 : 希望の先にあるものは

        2019年になってしまったので、今から2018年に読んだ本を思い出します。 大江健三郎の「個人的な体験」です。読んだのは9月くらい。  障害ある我が子が生まれて混乱する青年「鳥(バード)」は、子供の死をひたすらに願い、女友達の火見子との愛欲の日々に明け暮れ、酒に溺れ続ける。  私小説、と言われることが多いですが、やっぱり「小説」と定義したい。  大江健三郎の長男・大江光が知的障害を持って生まれたことはあまりに有名な話です。感情も社会もカエルの子はカエルであってほしいと願って

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