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38歳写真家がインスタグラムを1年やってみて

ぼくはフリーランスのフォトグラファーで、写真家です。現在38歳。
2017年末、インスタグラム、スタート!

保守的といえば聞こえはいいですが、要は新しいなにかに飛びこむのが苦手で、インスタグラムを始めたのは2017年末でした。「インスタ映え」の言葉に世の中が飽きてきたかもという頃で、ぼくにとってはSNS自体が初めての経験でした。

2019年初頭にこの記事を書いている時点で、アカウント開設から1年と少し経過しました。やってみて感じたことを書いていきます。

1)きっかけはYoutuber

まずはインスタグラムを始めるまでの背景のようなことを書きますと、サービスがリリースされた2010年にはまだその名前すら知らず、数年経ってから知りました。写真を発表する場としての可能性は少しも考えず、単純におしゃれ系アプリのひとつなのかなといった感覚で、写真をスマホで見せるなんてありえないだろうと思っていました。

2017年末になって、いざ始めよう!と思ったのは、媒体こそ違いますが、Youtubeの影響でした。当時、ヒカル、ラファエルらYoutuberと呼ばれるクリエイターがヤフートピックに載るような大炎上騒動になり、それがきっかけで彼らやほかのYoutuberの存在を知って、いろいろな動画を見ていくと、面白い!なんとも引き込まれていきました。

人から嫌われることを恐れずに表現していく彼らの様子に、ストレートに興奮し、嫉妬し、そして勇気づけられました。彼らYoutuberをきっかけに、ネットで展開していくクリエイターをみていくと、嫌われても別にいい、恥をかいても構わない、失敗することも気にしない、そういった価値観というかスタンスを、言葉の表面的な意味ではなく、初めて、肌身で感じました。

同時に、何かを恐れて行動しないことの恐ろしさに気づいてしまいました。

ぼくも以前は個展を開いたりコンペに出品したりと積極的に発信していたのに、制作が思うようにうまくいかなかったり発表する場がなかなか見つからなくて、じょじょに遠ざかっていたのでした。

いまさらリスタートなんて、やっぱり恥ずかしい。そんなときにふとインスタグラムをあらためて見て、あ、自分はこれだ!とピンと来たのでした。

そういうわけで、いそいそとインスタグラムをダウンロードして、投稿することを決めました。

ちなみに、ぼくの周りの年齢の近い同業のカメラマンは今でも、インスタグラムに消極的な人が多いです。多くの写真家・フォトグラファーが活用しているアプリですが、活用していない写真家はたぶんもっと多いでしょう。ぼくが作品を投稿しようとしても、やめておけばという心配は今でも聞きます。

仕事や作品である写真を普通の人と同じ土俵に出すことへの違和感、写真の内容以外の部分も含めて「フォロワー」「いいね」として数値化されることの危惧があります。また、作品はだいたい展示や書籍掲載などのサイズ出力を念頭に考えるので、スマホの小さな画面には最適化されていない=良さがわかりづらいという制作上の理由もあります。

ぼくの場合は、それでもとにかく出力しようと。2010年に個展を開いて以来、作家活動(※)をしていないので、自分の作品を発表する力が相当落ちています。かなりちゃんとした筋トレメニューを組まないといけないようです。

(※)作家活動は「撮ること」ではなく「撮ったものを見せること」と思います。

そうなると、なんとなく撮ったものをアップしていくよりも、俄然、作品として撮っていくような写真にしないと、出力の筋トレとしてはあまり意味がないのではと考えました。

それで、開設以来毎日、作品や作品のかけらを投稿しています。そんなに出しちゃって大丈夫なの?と今でも言われますし、自分でも写真が気軽に消耗・消費されるんじゃないだろうか、と心配してします。結局どうなのか結論は出ていませんが、ぼくは無名な作家なので、ぼくの作品や存在を知ってもらうメリットのほうが大きいと今は判断しています。

2)インスタグラムで驚いたこと

率直に、みんな写真うまいなあ、と驚きました。趣味で撮っている人の発表の場として、コミュニティの場として、自分の宣伝の場として、そうとう良いな!と。

とくに驚いたのは、カメラで撮っているいわゆる写真愛好家よりも、スマホで撮ったであろう人たちの投稿で、画面の切り取りかたや見せる工夫のうまいことうまいこと。。試しにぼくもスマホで撮ったりしてみましたが、全然だめで、とてもじゃないけど載せられないです。たまにストーリー(24時間で消える)などに投稿しますが、下手っっと自分で笑いながら載せています。

スマホではうまく撮れないというのは、ちょっとインスタグラムとは別の話ですが、危機感を感じていたりもしています。あとは、単純に「これいいな」「綺麗だな」「あー空が」といった小さな感動をパッと載せている風景写真なんかに強く惹かれます。

ぼくは東京タワーを撮っているから、よく「#東京タワー」「#tokyotower」を検索しますが、東京タワーが見えたから撮った、職場や家から撮ってみた、散歩中に撮った、久々にタワー見た、そんな風な写真にすごい良いと感じることが多くて、あらためて写真の奥深さを知ったのでした。

3)インスタグラムに作品を投稿すること

写真作品を見てもらう場所として一番良いのは、展示や写真集です。これはやはりそうだと思います。どちらも作品を見るテンションが整っているからです。個展会場は個展を見る場所ですし、写真集は写真を見る本です。でもインスタグラムを見るスマホは、ほかにもいろんな機能やアプリが同時に動いています。インスタグラムはスマホの一部の機能、という前提がある中で閲覧されます。

そうなので、インスタ受けしやすいのは、分かりやすく見栄えのする撮りかたやシーンということになります。分かりやすいほうが見られやすいので、この人はこういう人だと認知を取るのも大事でしょう。

ではぼくの場合は・・・、どうやらどちらも満たしてそうにないです。投稿している写真のうち、一番多いパターンが、郊外や展望台など、東京タワーを遠くから見たシーンです。望遠レンズで拡大するのではなく、遠くから見えた小さな東京タワーをそのまま、小さいまま撮ることが多いので、スマホの画面だと東京タワーがあまりに小さくて、ほとんど見えない写真もあります。また、東京タワーを撮る人だと認知を取りにいけばいいものの、やはり、皇居など東京のほかの風景、あるいは家族の写真など、作品に繋がりそうな写真はテーマに関わらず載せています。

「いいね」がたくさんもらえるのは東京タワーが画面に大きく写っている写真が多いので、もっと分かりやすくインスタ向けの撮りかたをしたり、東京タワーシリーズで統一を図ったりすればよいのでは、と考えたり指摘を受けたりもします。

分かっているのになぜそうしないのかは、わりと明確で、そういった分かりにくさも含めてぼくの写真が、誰かには刺さってくれるのでは、という、甘えといってもいいかもれませんが、祈りのような思いがあるからです。

それでも、ぼくを知ってもらうきっかけとしてのインスタグラムなら、もう少しキャッチーにしてもいいのではという考えもあり、正直いまも揺れている感じです。そういう意味ではまだまだ運用=コントロールできていません。

投稿していて興味深いのは、自分の中の作品評価とインスタグラムでの反応の相関がそれほど取れないことですね。例えば2018年のいいね数ベスト3を年末に再度掲載したのですが、集計する前に予想していたのがランクインしたのは1点だけでした。反対に、この写真良くない?と思って載せたものは反応が薄かったり・・。そういえば、個展を開いたときも、自分的にはこれかなーと思っていた作品とお客さんが見てくれる作品はけっこう違っていました。

それでも、多くの人に登録いただけていて、コメントやDMをいただけるのはとても嬉しく、心強いです。

4)フォロー0人の理由

よく聞かれるので書いておきます。誰もフォローしていない理由は2つです。ひとつは、ぼくの写真が見たい、気になるという理由で登録してくれたらうれしいという願いと覚悟を視覚化すること、これがもう理由のほとんどです。双方向的ではないので、SNS的にはあまり良くないユーザーですね。。ただ、写真を見ることは好きなので、「いいね」はポンポンっと押しています。

5)これからの展開

インスタグラムアカウントを開設して1年、毎日投稿を続けるという日々の目標は継続で、もう少し活動を広げようと思い、このnoteを始めました。

ぼくの思い込みかもしれませんが、noteは、インスタグラムよりは少しだけ時間がゆっくり流れている気がします。それでここでは、インスタグラムにも投稿したんだけど、もう少し長めのキャプション付きでの写真、そしてこういったまとまったテキストなどを書いていきます。

写真のほうは週に2-3点、テキストは月に2本を目安に考えていますが、今のところ、テキストのほうは締め切りを意識して内容を考えるよりも、書きたいことを書くというスタンスでいきたいので、更新は不定期です。

展開ではあとは、できれば実際にどこかでまた展示をしたいと考えていますが、まだ具体的な案は思いついていません。

6)つづく

実は「6)インスタグラムで写真の発表している人に伝えたいこと」があったのですが、すごく長い文章になってしまい、全体のバランスが取れなくなってしまったので、別の日に別の記事にしようと思います。

以上です。ありがとうございました。

インスタグラムのアカウントは、
https://www.instagram.com/omarukoji/
です。みていただけると嬉しいです。

(2019年2月14日・目次をつけるのと同時に内容を少しだけリライトしました)

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