1-12. 気を取り直した俺はマウスを手に取ると、五分もしないうちにアルミの情報が書かれたページを探し出した。
気を取り直した俺はマウスを手に取ると、五分もしないうちにアルミの情報が書かれたページを探し出した。リンクをクリックすると、すぐモニタに四つの情報が映し出される。
・“The White Rabbit is a fictional character—Queen of Hearts” 9 4 20 52 38 10 35 P 5 3
・(Finger+Finger)×Tap×Tap×Tap×Tap×Tap
・http://find-decapitated-head.ultimatemission.xyz/
・わたしたちのウサギを捕まえろ
……俺は、そっとページを閉じた。これ、どう見てもめんどくさいやつだ。
「おいイチ。それじゃ勝負になんねえよ」
ヒロムの声が聞こえて、俺は背後を振り返る。俺を囲むように座るヒロムとトシとジュンペーとユウシが、真剣な目でこっちを見ていた。四人の後ろには、いつのまに運び込んだのか小さな移動式ホワイトボードが置かれていて、五分刻みで書かれた時間の下にそれぞれの名前がある。
「ただ見ているのも暇なので、ゲーム開始までの時間を予想しているのだよ」
トシが膝の上にノートPCを乗せたまま、ホワイトボードを振り返る。予想ってまさか。
「これまでの最短記録はユウシの一五分。次が自分の二五分なのだ」
「シイナ先生に怒られるだろ?」
「なにか賭けてるわけじゃねえからな。問題にはならねえよ」
「で、でもヒロムくん。勝った人は今日の帰りにコンビニでって……」とジュンペーはヒロムをのぞき込む。
「まあ、いいじゃないか」
ユウシは笑って立ち上がると、俺にだけ見えるように自分のスマホを差し出した。完全に特定された俺のツイッターのタイムラインが見える。
「イチは、全力でアルミに取り組んでくれるよ。ねっ?」
ねっ? じゃねえよ! どう考えても俺に拒否権ないじゃないか。
「んじゃ勝負再開だ。賭けられるのは、ひとり二マスまでな」
ヒロム、自分で賭けって言ってるじゃねえかよ!
結局、俺はペンケースからシャープペンシルを取り出して、真剣に問題と向き合うことになる。あらためてアルミの情報が書かれたページを開くと、モニタに意識を集中させた。
ぱっとわかったのは、日本語で「わたしたちのウサギを捕まえろ」と書かれた四番目。もっとも、わかったのは言葉の意味だけで、具体的にどうすればいいかは、まったくわからない。
次にわかったのは「(Finger+Finger)×Tap×Tap×Tap×Tap×Tap」と書かれた二番目。英語で書かれてはいるが、たぶん「二本指で五回タップしろ」という意味だろう。普通に考えれば、スマホを使ったなにかだろうけど、それがなにかは、もちろんわからない。
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