2024年2月に読んだ本
図書館で予約していた本が、どしどし順番がまわってきた2月。嬉しい悲鳴。どしどし読む。
さて。
本の内容をまとめることだったり、感想の解像度だったり、あれもこれもおりゃおりゃな気持ちで書き留めていたら、えらいボリュームになってしもうて。
最近、植物園のパジャマを買いました。朝、起き抜けにこの植物園のパジャマのまま、窓辺で光合成をしながら読書をするのが今の小さな夢です。
①店長がバカすぎて/早見和真
~本の内容~
決して大きくはない書店〈武蔵野書店〉吉祥寺本店で派遣社員として働く主人公・谷原京子を中心に、書店の店長や一緒に働く仲間たちなど個性豊かなキャラクターと共に、働くことでの憤りや悩みも交えた楽しい小説。
早見さん、とても読みやすい作家さんだなあ。かつまとめるのが上手。大衆向け小説。
付箋回収からの予想外展開、そして、店長の愛…
店長にはイライラされっぱなしだったが、最後にやられた。
主人公がゲラや小説を読む描写が好きで、私も読みたい時に行く喫茶店欲しい…。
誰かの言葉に救われることって本当に多くて、私は小説にいつも助けてもらっているし、そして作家という存在が本を通してそばにいてくれる安心感であり人生の心強い先輩達である。生き延びることができたとは過言ではない。そして、その本達と出会わせてくれている書店員さんに改めて感謝を思った。
②school girl/九段理江
女生徒/太宰治
schoolgirl読んで理解が浅かったので、女生徒を借りて読み、schoolgirlへ戻る。こういう読み方、というより、過去の名作を読ませたくさせる文章力すごいよなあ。
そして、主人公が既に女生徒を読んでいた上で進行していく展開が今の時代だからこそできる表現。女生徒に重ねつつ現代も映しつつなオマージュに拍手。人の変わらない部分(若さからの「美しく生きたい」「理想とのギャップにあせる」気持ちとか)に何か解決するわけじゃないけど、生きているなと思わされ、私は好きな読後感だったな。この生きてるなと思わされるの結構好みなのだよな。
③悪い音楽/九段理江
人の心がわからない音楽教師の物語。全体を通して薄気味悪い感じが面白くて、ぐいぐい読ませる。
印象的だったのは、結局のところ表情はただの顔面運動だって話。なんだったっけな。何かで読んでその時も、はっとしたのだけれどな。
この主人公みたいなタイプの人との関わりが苦手で克服したいと思う。いやもう私が勝手に相手を解釈してびびっているだけだろう、つまり根からそんな人でなくても、何気ない一言でびびってしまう自分をどうしようかなあという気持ちで・・・だから、勇気を出して相手に立ち向かい、なーんだ大丈夫じゃん!と自分に言い聞かせる戦法でここのところはそんな実験結果を得て自分を奮い立たせている。
④Blue/川野芽生
芥川賞候補作。すばる2023年8月号
トランスジェンダーの本。最初どの人がどちらの性別なのかがこんがらがって、半分まで読んでから読み直してメモ帳に記しながら読んでいたけれど、結局のところどっちでもいいというか、男女というフィルターを通さず、その人その人を理解してほしいのかなと思った。自分自身が、男か女かで想像して読んでいたことが浮き彫りになって、まだまだだなぁとぞっとしたよね。
~紀伊国屋書店HPより、本の内容~
『人魚姫』を翻案したオリジナル脚本『姫と人魚姫』を高校の文化祭で上演することになり、人魚姫を演じることになった真砂は、個性豊かな演劇部のメンバーと議論を交わし劇をつくりあげていく。しかし数年後、大学生になった当時の部員たちに再演の話が舞い込むも、真砂は「主演は他をあたって」と固辞してしまい……。いやはや、綺麗にまとまっておる…
トランスジェンダーという言葉を聞くようになった社会ではあるけれど、実際に手術をしたりすることはとてもお金がかかることであったり、自分だけでなくて、誰かと、この社会で一緒に生きたいとなった時にぶつかるものはまだまだ多い。
⑤黄色い家/川上未映子
ようやく読めた!
これはすごい本に出会えた時の読後感…未知である世界を知れたことはもちろん、圧倒的心理描写とビリビリと臨場感が伝わるセリフの数々。心揺さぶられた…
⑥最愛の/上田岳弘
黄色い家に続き長編小説。これもずっと気になっていて、そして、やはり好きなやつでした…
~本の内容~
『主人公・久島には、忘れられない相手・望未がいて、彼女とは学生時代に手紙を送り合っている。彼女が送る手紙の初めには、「最愛の」と書かれる。人が人を想った時に、その本当の対象は何なのかということが小説を通して語られていると思う。』
最愛のものが自分から解放され、ただ想うことができれば…という考え方に今の私では、いたらなくて。自己愛の拡張なのかもしれない。誰かを本当に想うことって難しい。でも、その想いが自己愛から始まったものだとしても、その相手と一緒にいてはいけないわけでもない。とラストを読んで思った。
なんとなくニムロッドの時も思ったような気がするのだが、上田さんが書く女性、なんだか良いよねえ。
⑦書く習慣/いしかわゆき
~本の内容~
『ばちばちのハウツー本というよりは、書くことへの壁を取り払うところから、習慣化・書く時のアドバイス、書くことで得られるものがライトに読みやすく綴られている。』
個人的な反省は、この本の読み途中にがっつり長編小説を2冊挟んでしまったが故、内容が朧げになっていて、noteに書き出すのがメンドクサイナアなんて思ってしまったところ。こういうのは、ガッといって、ザッと書く。
自分の書いた文章が人生の軌跡となるというのが印象的で、久しぶりに過去の日記を読み返して、今までだったら、過去の日記を読んで、自分の中で帰られてない部分や成長していないことに、ぐるぐるしているだけやないかい!と、しょぼくれることが多かったけど、今回の感想は、しょぼくれる内容だとしても、確かにここまで歩いてきているわけで、ちょーーーびっとは、たまに成長が見られたり、過去のチャレンジが今は自分のちょいちょい(生活に馴染む)になっていたり。だから、この先だって、あーだこーだ言いながらも、歩いて行けるんじゃないかな、とは思えたり。
⑧ツレがうつになりまして。シリーズ3冊/細川貂々
人からお勧めされて。なんとなく読む前から感じてはいたが、1冊目を読むのが本当に辛かった、泣きながら読んでいた。ほんとに。
過去を思い出したり、(水槽でメダカを育ててたなあ)自分はてんさんみたいに明るく振る舞えなかったなとか、どんどん溢れてきた。
2冊目3冊目も仕事前に読んで大丈夫かな?とか心配だったが、だんだんと、てんさん達のユーモラスさに、「うつ」から感じるえぐられるような感じが少しずつ変わってきていると感じた。全部読み終わったあと、1冊目に戻っても1回目のような辛さはなかった。ほっ。
一度うつ病を経験したら再発率は高いと言われていて、ずっとずっと頭のすみに残しておかなければならないということは、私自身ずっと心の中にあって、けれど、見つめるとどうしたって辛くて、将来の不安もどんどん出てきて、だから、ずっと見ないようにしていた。この本を読んで、辛かったけど、でも私が何に怯えているのかが少し分かってきて、確かにこの本を読む前と後では、違う感覚であるなと思う。忘れたくないから、定期的にツレさんとの生活での、てんさんの怒った顔や楽しそうな顔を見たいなと思う。いつまでも私が引きずっているわけにはいかないよね。
来月でようやく芥川賞の候補作が全部読み終わりそう。どれだけ時間かかるのだよ・・・
そういえば、そうそう、kindleがフリーズした日があって、電源長押ししても再起動しなくて、出勤前の電車で「ウソダロウ・・・」と魂抜けかけたのだが、家に帰って充電器つないだら直りましたああ。ああよかった。
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