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彩瀬まる「かんむり」感想~人と人が永い時間を共にする様がじんわり沁みる一冊~

時代の変遷を感じる今日この頃。
やっとコンビニ等で電子マネーが使いこなせるようになったら、
今度は自動販売機の電子マネーに振り回されております(;'-' )

ポイントを貯めよと勧誘してくる自販機。
選ぶとこ押すところが多すぎてオロオロ。
最初からお金で買えばよかったYO( ;ᯅ; )エーン

ポイントカードもクーポンも上手く使いこなせてなく損してるんだろうな冬...。

便利なのに不便な時代になったものだと嘆くのは老いていく一部の人で、若い人には当たり前なんでしょう。

時代は流れていくと、しみじみと感じたのは、学生時代に知り合い年老いるまで長年連れ添った夫婦の物語を読んだからでしょうかね。

「私たちはどうしようもなく、別々の体を生きている」夫婦。血を分けた子を持ち、同じ墓に入る二人の他人。かつては愛と体を交わし、多くの言葉を重ねたのに、今はーー。夫が何を考え、どんな指をしているのかさえわからない。

期待以上によかったー。
直木賞候補になった「新しい星」よりも好きでした。

男社会で生きる夫と妻の価値観の違い。
男は強くあれと刷り込まれた夫。
強くあり続けなければと思えば思うほど空回りする夫。
自分の意思とは関係なく強くなっていく妻。

これ以上は口に出して言えない境界線が個々に違う。
夫の、妻の、子供の、ちがい。
淡々と静かに心情が語られ会話がリアル。

他人のことはよく見えるけど、自分のことはよく見えない。きっと誰にも肯定されない私たちの無様なエラー。(本文より)

結婚を続けてゆくこと、生きていゆくこと。
人と人が永い時間を共にする、しんどさとか、愛おしさとか、じんわり伝わる。

結婚してる方はより身に沁みて、結婚してなくても沁みてくる作品でした。やっぱり彩瀬さん好き♡


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