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小田雅久仁「残月記」感想~予想を遥かに上回る独創的な物語~

・忘れていたことを教えてくれるのも情報

劇場版新作映画公開前、シリーズものなど宣伝のために前作をテレビ放映することがありますよね。

名探偵コナンとか...コナンとか...。

テレビ放送の予告を見て、あっ!コナンの新作がはじまるんだと認識する私は、大人の事情?アレコレに誘導させられているわけですよ(;'-' )たぶん。


アレコレは置いといて、情報の良さも感じることができるのも確かなのかな。

気になっていたけど忘れていたものを教えてくれのも情報。

SNSで知る、小田雅久仁さんの新刊『禍』発売の情報。

プルーフを読んだ方々から、面白いの声、声。
そんなに面白いのー。
読みたい!と思っていたのに...。

そういえば、第43回吉川英治文学新人賞受賞&第43回日本SF大賞受賞し、2022年本屋大賞7位で話題だった「残月記」を読んでないわ。

図書館で借りることができずに後回しになって読むのをあきらめていたけど、新刊発売の情報で、やっぱ読みたいぞー!となり手に取ってみた。

何これーーー!
話題になったのがわかる。
予想を遥かに上回る独創的な物語で、前のめりになりながら読む。

・簡単あらすじ

近未来の日本、悪名高き独裁政治下。
世を震撼させている感染症「月昂」に冒された男の宿命と、その傍らでひっそりと生きる女との一途な愛を描ききった表題作ほか、二作収録。
「月」をモチーフに、著者の底知れぬ想像力が構築した異世界。
足を踏み入れたら最後、イメージの渦に吞み込まれ、もう現実には戻れない――。


日常を生きていた人たちが、月が裏返ったことにより、月の風景が表面に浮かぶ石を譲り受けたことにより、感染症に罹ったことにより月の満ち欠けに翻弄される。

・「そして月がふりかえる」

満月が裏返ったことにより自分の居場所を失う男の話。

愛する家族から認めてもらえない男がとった行動が、意表を突く展開で驚いたが、けっして手に入らぬものを失った悲しみの深さが沁み、苦い後を引く余韻が嫌いじゃない。

表題作の、

・「残月記」

近未来の日本、人々を震撼させている感染症・月昂に冒された者たち。

コロナ禍の真っ只中に読んだ方は思うところが多かったのではないだろうか。
発症者は強制隔離され、社会から爪弾きにされる。
病気のことを理解されぬ様が、コロナ初期だったりハンセン病が頭に浮かぶ。

そして、カリスマ的な独裁者が支配する日本。
月昂に冒された平凡な男が隔離されどうなるのだろうと読み進める。

えっ!!そんな展開にーー!ナンヤテーε٩( ˙◊˙ )۶з

単純は私は脱走でも企てるのかと思っていたよ。
なんと、月昂者同士がコロシアムで戦わされ見世物にされる。
戦う描写は、まるで「グラディエーター」
勝利した男の褒美は女。
勝利し続けると女と暮らすことがでると甘い言葉に釣られ、その日を夢みて。

その後も、何度も私を裏切る展開へと物語を進み…。
そして、最後は切ない純愛物語に胸が熱くなった。

怖くて、不思議で、切なさで胸が熱くなり、ホラーも、ミステリーも、恋愛も楽しめる一冊だった。


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