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偶然は必然

「あそこに見えるカフェみたいなところに、行ってみませんか?」と彼女が指を差したのは、駅前の通りの少し先にある、窓の大きな家だった。窓からは明かりが見えて、お店の中のあたたかみのある空気が遠くからでも感じられた。

好奇心とアンテナは私も人並み以上に強いほうだけど、彼女の嗅覚はいつも本当にすごい。私は1年とちょっとこの街で働いていて、ランチスポット開拓にもせっせと励んでいたのに、こんな素敵なお店、まったくのノーマークだった。

お店はカフェではなく、和食のお店だった。中に入った瞬間、ここに来て正解だったね!とお互い顔を見合わせた。なんというか、Vibesがいい。照明の感じや、木の色合い、隣のテーブルとの間隔など、すべてのことが気持ちのいい状態に整っている。

旅行先でもそうだけど、私はこういう偶然の出会いが大好きだ。素敵な人がやっているおいしいお店は、外側から見ただけでもいい気を発しているのがわかる(気がする)。

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私はこのところちょっとしたトラブルを抱えて、ストレスフルな日々を送っていたのだけれど、丁寧に作られたごはんを、超前向きで、気の許せる相手と食べているうちに、そんな悩みはどうでもいいやっていう気になった。本当に。

自分は何をやりたいか、それをどうやって実現していこうか(このnoteを書くのもそのとき話したことの一つ、笑)、みたいなことをあーでもないこーでもないとお酒も飲まずに真面目に話し合っていると、お店の方が時折自然なタイミングでお料理を持ってきてくれて、お店やお料理のこだわりをさりげなく話してくれる。

そして極めつけは、このお味噌汁!

具沢山でも一つ一つの具が美しいままで、炙ったきのこの香ばしい風味は、今思い返しても幸せな気持ちにしてくれる。

ブランディングや発信について考えていた私たちにとって、このお店こそブランディングの体現だと感じ、このときこのお店に行ったのは、偶然のようで必然かもしれないなと思った出来事でした。

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