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『大いなる遺産』のミートパイ

新井潤美先生の本を読んだら、複雑で芸の細かい「格差ネタ」がイギリスの伝統としてあることがわかり、とても面白かったです。

本の中に出てきたチャールズ・ディケンズ原作、デヴィッド・リーン監督のイギリス映画『大いなる遺産』を見ました。

この映画でなんといっても印象的な食べ物は、少年ピップが脱獄囚のマグウィッチに脅されて、家の戸棚から持ち出すポークパイです。

戸棚のポークパイ

これがゴロッとしていて高さがあって、なんとも美味しそうなんです。そのゴロッとしたポークパイにマグウィッチがかぶりつく姿を見て、さらにヨダレが……。

戸棚に入っていたのは、ピップの姉が翌日の夕食の最後の楽しみとして客にふるまうためで、大人たちが子供のようにはしゃいで

「a savoury pork pie」より美味しい料理はない

というのもおかしかったです。

「肉のパイ」と聞くと、できたて熱々で食べたほうが美味しいんじゃないの? と思ったりしますが、私が見つけたレシピもちゃんと書いてありました。

ひと晩置いて冷まして食べろ

ポークパイのレシピ

イギリスのポークパイはどうやって作るんだろう? と調べた結果、参考にしたのは「How To Make Melton Mowbray Pork Pie」という動画です。

肉とラードたっぷり、最後にゼラチン入りのチキンスープを注入して冷まして食べる感覚がどうも理解しがたいのですが、実際に作って食べるとなんとなく…、なんとなくの気持ちはわかりました。

でも一緒に食べてくれる人がいっぱいいる日でないと作れない料理です。現地で本物を食べてみたいものです。

新『大いなる遺産』

ちなみに舞台を現代のアメリカに移して翻案した、イーサン・ホーク主演の『大いなる遺産』(1997年・アメリカ映画)でピップはマグウィッチに何を渡したのかが気になって見てみると……。しわしわの不味そうなサンドイッチでした。

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