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ひなのや/玉井大蔵さん

田舎はいいなと思うけれど、田舎の良さを現代社会の中で表現し、お商売に繋げることは、けっこう難しい。ポン菓子屋「ひなのや」はポン菓子を通して今を生きる人たちに田舎を思い起こさせてくれる商品だ。今回、ひなのやの代表・玉井大蔵さんに会い、ポン菓子に込めた想い、誕生秘話などを聞きながら現地を案内してもらった。

ポン菓子誕生秘話

ポン菓子屋と聞くと老舗のイメージもあるが、ひなのやが始まったのはおよそ15年前。愛媛県西条市の農機具屋だった実家を継ぐため、都会でサラリーマンをしたのちに帰省。3年ほど農機具の商いを父親から学んだ。人口減少・少子高齢化が進む地域で農機具屋として生計を立てる難しさを経験する機会にもなった。地元の農家との付き合いも多い職だったため、農業の6次産業化に関心が高まり、ビジネスプランコンテストに応募。地元のお米を使ったおにぎり販売のビジネスプランが入賞し、事業をスタート。創業の際にひとまずポン菓子の機械も買っていた。おにぎり販売を始めてまもない頃「ちょっと、作ってみるか。」と手を伸ばしたのがポン菓子事業だった。

それから少しずつ販路を伸ばし、現在では卸販売を中心に製造所と店舗を構える。当初は夫婦2人で営むつもりだったが、どんどんポン菓子の製造・販売にのめり込んだ。いつの間にかスタッフ10数名の会社に成長。愛媛のおみやげコーナーだけでなく全国に取引先を持つポン菓子となった。最近では海外・中国での販路も見出している。

ちゃんとやる

玉井さんは料理人やパティシエではない。ポン菓子というお菓子作りをする上で「ちゃんとやる」ことを心がけているという。味についての専門家ではないが、自分の美味しいと思うものをつくる。ビジネスとなるとお金もついて回るが、味を中途半端にしない。使っている原料や梱包の仕方、デザインも納得のいくものになるまで積み上げる。地道な努力が人気を呼んだ。

JR壬生川駅前の店舗を覗くと、商品は主力が500円前後。ギフトボックスとしてお土産にしやすい形もあれば、100円台のお試しサイズもある。ポン菓子を使ったパフェもおよそ500円で食べられるお得感。珈琲パフェを食べたが、コーヒーゼリーが美味しい。聞くと自家製だという。お客さまとしっかりと向き合う玉井さんの人柄が出た商品だった。

取材当日に食べたコーヒーパフェ

地域ブランド

見学当日、「ポン菓子作りの前に、まずは周りを紹介します」と近くにあるお寺に連れて行ってもらった。高台に立つ寺からは瀬戸内海、平野に広がる田畑、雄大な石鎚山系がいっぺんに見える。玉井さんはこの見える範囲の景色の中で「地域ブランド」を作りたいという。

「ひなのやは地域のブランドを作りたくて始めた。地域を知ってもらい、誇りに思ってもらう。地域の個性を表現するのが、「ひなのや」なんです。」

今後、ひなのやの製造所横に喫茶スペースを開く予定。他にも地域にまつわるあらゆる仕掛けを考えている。ひょうひょうとしてそうで、実は温かい。玉井さんの地域ブランドづくりに今後も目が離せない。

寺からの風景

見学日 2023年2月27日

ひなのや|公式サイト

ひなのや | 愛媛ポン菓子専門店 |Instagram

・Cafe ひなのや|Instagram


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