歌集『乱反射』(小島なお氏)を読む。-きらめく一冊-
小島なお氏の歌集『乱反射』を読んだ。
本としての紹介
『現代短歌クラシックス』
のシリーズの歌集で、
角川書店刊行の同名の歌集の新装版。
表紙のポップな色使いが、
収録されている短歌への期待感を高める。
そんなわくわくする歌集から
五首選で紹介。
五首選
鋼鉄と生物の対比や、文明と原生生物の対比など、対比が良い。
「原生生物夜行虫」という漢字の並んだ字面もこの歌の雰囲気を作っている。
結句の「ゆらりひまわり」の言い回しと、ひらがな表記に惹かれた。
実景のひまわりの短歌のような気がするが、
ゴッホの「ひまわり」の絵画も想起させる。
どうして「もどらなくていい」のかという理由が、結句の「濃い夏の影」に凝縮されていると思った。
光が強ければ影も濃くなるからかな、と読んだ。
生活の場面+ファンタジー感のある言い回しの取り合わせ。
生活しつつも、月を船だと思う詩的感性を失わない。
「毎日ハッピー」と無責任に言われるより、こちらの方がジンと来るし、実感がある。
まとめ
内容に実感があるだけではなく、勉強になった。
喩や景が綺麗かつ印象的で、漢字とひらがなの使い分けなどの工夫もある。
読みどころが多い一冊だと思う。
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