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『サウンドスケープに飛び乗って』を読む。ー想像力のひかりー

ポップで明るい、
不思議なイラストの表紙
に惹かれて
購入。

『サウンドスケープに飛び乗って』
久石ソナ氏の歌集。

五首選で紹介。


誰もいない駅のホームで手をかざす朝月が剝がせそうなほど薄い

13ページ

月が剝がせそうという
・月に手が届く感。
・月を剝がしたらどうなるのか。
など面白いポイントが多い一首。

朝の月の色の薄さが際立つ。

散るものに揺れる心を預けては花火も桜も季語のひとつで

109ページ

俳句を読み短歌を詠む者としては、
こういう一首に惹かれる。

俳句だと季語を二個使うと季重なりだが、短歌なら大丈夫。

季節の移り変わりの儚さを感じさせる一首。

カモメがとまる一羽の休み場所として錆びた繋留用のボラード

124ページ

カモメも舟も休ませるボラードという
発想の面白さに惹かれた一首。


港の光景も思い浮かぶ。

ボラードが錆びているのも、
長年そこにある、経年感があって良い。

役割を担いたいよね灯台は午後五時前にひかりを宿す

126ページ

名刺にたくさん肩書きを書きたくなるのって、こういう気持ちかなあと思った。

午後五時前という早めの時間帯から
張り切って灯る灯台。
地味に時間帯がポイントだと思う。

灯台に心を寄せて詠んでいる一首。

意思があるように流れる川があり掬えないけど確かなひかり

132ページ

川面のきらきらした反射も
ひらがなでひかりの表記だと
やわらかに感じる。

川に意志を感じる着眼点の面白さ
ひかる一首。



【まとめ】

きらきらした魅力的な短歌と
現実的な仕事や相聞の短歌があり
最後まで楽しめる一冊。

サウンドスケープに飛び乗って (新鋭短歌シリーズ) https://amzn.asia/d/cjeupkO

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