『苺の心臓』を読む。
上澄眠氏の歌集『苺の心臓』。
たくさん好きな短歌があったが
紹介しすぎるとネタバレなので
一部だけ紹介。
春風の体温のような生ぬるさを絶妙な比喩で表現した一首。
春の度に思い出しそう。
景のきれいさと、ひかりに濡れるという表現も良い。
おさなごの守られている感が、ひらがな表記と合っている。
色々な思いを抱えつつ日々を過ごす青春、そんなイメージの一首。
その上手く言葉に出来ないやりきれなさなどの心の動きを、かゆさという日常的な体感に置き換えた点が面白い。
マスク生活をしていると、耳がフックになる。
そんな発見が一首になった。
本当に「つぎつぎと」食べているんだなあと思う。
大漁の漁船で、口いっぱいのお寿司が想像されて多幸感が伝わってくる。
漁船なので、機械的にどんどん食べているニュアンスもあるか。
読者がお寿司をどれくらい好きかで、「多幸感派」か「機械的派」か読みが分かれる気がした。
今やダウンロードで音楽が買える時代だが、CDも握手券や予約特典、おまけのシールなど色々工夫している。
買いに出かけるということも買い物の楽しみの一部。
「乗り越える」ために「電車に乗る」という、「乗」の使い分けが面白い。
作者が短歌を楽しみながら作っているのではないかと思う、楽しい比喩が多かった。
勉強になると共に、読者として楽しかった。
カバーイラストと書名の銀箔押しもおしゃれだ。
表紙カバーを外してもイラストが銀色で印刷されている。
紙の本としての装丁も素敵な一冊だった。
最後までお読みいただきありがとうございました。 もっと面白い記事を書けるように日々頑張ります。 次回もお楽しみに!