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見てよかったドラマまとめ【2021年4月期版】

 見たい動画が溢れる昨今、実際にテレビドラマを作っていた筆者が、みなさんにぜひ見てもらいたい、プロ目線で心からオススメする2014年4月期のドラマをご紹介します!エントリーしている作品はすべて視聴済みなので、大きく外すことはない(はず)です。いまは各動画配信サイトでいつでも見られますので、いまからでも是非ご覧いただければと思います。次クールからはNETFLIX等の配信サイトの作品やアニメもできる限りオススメしていきたいと思います!「全裸監督2」、楽しみですねー!お待たせされすぎちゃいました!みなさんもオススメの面白い作品があれば教えてくださいね!

エントリー作品一覧

・ノースライト(NHK)
・半径5メートル(NHK)
・今ここにある危機とぼくの好感度について(NHK)
・きれいのくに(NHK)
・コントが始まる(日テレ)
・恋はDeepに(日テレ)
・ネメシス(日テレ)
・桜の塔(テレ朝)
・コタローは1人暮らし(テレ朝)
・リコカツ(TBS)
・ドラゴン桜(TBS)
・イチケイのカラス(フジ)
・大豆田とわ子と三人の元夫(フジ、関テレ)
・生きるとか死ぬとか父親とか(テレ東)
・珈琲いかがでしょう(テレ東)

総評

 昨今の風潮でもありますが、あえて今まで通りのテレビドラマっぽい、とにかく視聴率を稼ぐことを目的とした作品と、それ以外の作品(動画配信での再生数、繰り返し視聴に耐えうる作品作りや、新しいクリエイターや映画監督を起用して新しいスタイルを模索する作品)がはっきり分かれたクールになりました。テレビ業界も進化をしなければいけないという危機感をひしひしと感じたクールでしたね。医療ドラマが1本も無いというのも、テレビの変化、ドラマの未来を感じる、とても好感が持てるクールだったように思います。

オススメ第3位! 「大豆田とわ子と三人の元夫」 

 世の女性からの評価が鬼のように高いこの作品、正直入れようかどうかちょっと迷いました・・・。だって、とわ子さん、イケてる会社の社長だし大好きな建築の仕事してるし、子供との関係も良好だし、男性からは鬼のようにモテるし(劇中だけでも元夫3人、オダギリさん、斎藤工さんも入るのか?笑)、世のアラフォー女性的に見たら十分過ぎるほど幸せゾーンに入る人なんじゃない?と思ってしまいました。(そう言う意味では、賛否両論あるかごめちゃんの突然の死も、どうしても必要な要素だったのかもしれません)。坂元裕二さんの脚本と言うだけで構成、あるある話、台詞回しと見所盛り沢山なんですが、個人的には角田晃広さん(東京03)のお芝居には驚きました。この方、こんなにお芝居上手なんですね。伊藤沙莉さんのナレーションと、劇中のとわ子が突然タイトルコールするあたりは、ドキュメンタリー風の演出なんでしょうか。モダンファミリーのモキュメンタリーを日本でやるとこんな感じなのか?と思ってしまいました。話題になったエンドロールも見事で、2話のエンドロールで岡田将生さんが歌い出した時は、正直度肝を抜かれました。(恐らく皆さんが想像する以上にこの作業は手間がかかっていて、普通というか今後含めてまず制作者はやらないです笑)。ただ、4話目くらいからは、「あ〜今日はこの人なんだ〜」くらいになりました。慣れって怖いですね。エンドロールで言えば、「生きるとか死ぬとか父親とか」のエンドロールもとても良くて、こちらはワンセット、ワンシチュエーションで吉田羊さんと國村隼さんがシンメトリーで座って主題歌に合わせて口パク?する、というだけの数時間で撮り切れる非常にお金のかかっていない作りなんですが、こちらもとても良かったです。
最終回の作りがちょっと?で、かごめの死→オダギリさんの流れが完璧だっただけに、最終回はいったい何がしたかったのかがよくわかりませんでした。西園寺くんのエピソードいりますかね?お母さんが昔、風吹ジュンさんのことが好きで家族を捨てて家を出ようと思っていたエピソードを見て、かごめちゃんはとわ子のこと好きだったのかな〜、暗示として入れたのかな〜ともやもやが残ってちょっと消化不良でした。ただまあ、さんざん語られていますが、第1話で松たか子さんが浴室で「ロマンティックあげるよ」をほぼフルコーラスした所で、もうケリはついていた(名作であることは担保されていた)んですけどね。


オススメ第2位! 「珈琲いかがでしょう」 

 中村智也さん主演、カリスマ主人公がコーヒーで誰かの悩みを解決していく、女子向けのスイーツなドラマかと思うじゃ無いですか?
まったく違いました笑。それぞれの回のゲストの悩みが結構暗くて重たい、また庶民的(劇中の用語で言うならド底辺)で派手さの無い悩みがほとんどです。人間の陰湿な部分を丁寧に描いています。さらに、途中からはホームレスとかヤクザが出てきたり、血とかも普通に飛び散ります笑
スイーツ系のドラマかと思ったら内容的にはかなりビターで、このギャップに悲鳴を上げる女子も多く見られたこの作品ですがここさえ楽しめる方であれば個人的にはオススメできる作品です。私のように、パッケージを見て食わず嫌いしている男性でも十分に楽しめます。             主人公の珈琲店を開くまでの背景がとても良く描けていて、元ヤクザとして取り立て?で暴力に明け暮れ、精神的にも疲弊している主人公は古い自動販売機の泥のようなカップ珈琲をよく飲んでいたが、とあるきっかけでホームレスの淹れてくれた珈琲を飲み、それまでの世界が一変します。1杯の珈琲でも、誰かの人生を変えることができる(今はド底辺な生活でも、そんな奇跡が誰にでも起きるかもしれない)といったテーマと合わさり、妙な説得力があります。また、出てくる人物の珈琲を入れる所作は、監修もしっかりついているようで(案外珈琲を入れるシーンで適当に撮っている作品は多い)実に本格的で、コーヒーと真剣に向き合う主人公をしっかり表現できていたように思います。最終話の市毛良枝さんのエピソードは痺れます。必見です。磯村悠斗さん演じるバカチンピラキャラが、たまに小難しいセリフを話す所が、書き分けが甘いなあと思いましたが、「小粋でポップな」見るべき価値のあるドラマでした。


オススメ第1位! 「きれいのくに」

 誰しもが抱える容姿へのコンプレックスにまつわるジュブナイルSF!(公式HPより)とありますが、第3話の中盤まで少年少女が一切出てこないことで業界が騒然となった作品です笑。視聴率を気にしなくて良いNHKだからできるんだ!ずるい!というご意見もありますが、そんなの関係ないじゃない、だって面白いんだから。

 1話、2話は平原テツさん演じる主人公?の奥さんである吉田羊さんが蓮佛美沙子さん→小野花梨さんと、どんどん若返っていく、サスペンスタッチの物語です。若返っている本人は自分の容姿が変わっている自覚はなく、平原さんは奥さんが若返ってちょっと嬉しいけど、途中から流石に気持ち悪くなって・・・。とか、平原さんが不倫をしているとみせかける描写をいれつつ、実は回想(奥さんとの馴れ初めを紹介)だったり、見ているこちらは、宣伝と違うぞ?ジュブナイルどこ行った?と思いつつも、いいサスペンスがかかっていて、なんとか見てしまいます。NETFLIXでバズっている、「もう終わりにしよう」くらい混乱します。すごく良くできています。ですが、実はこれ、未来の日本の高校生が授業で見ている道徳の時間なんかで見る、啓発ビデオなんです笑。
 そして、啓発ビデオが明けると(既に第3話笑)未来の日本は美容整形、遺伝子操作を行って大人の男性は全員稲垣吾郎さん、女性は全員加藤ローサさんになっている世界でした。あまりにも整形、遺伝子操作をする人が増え、犯罪者の識別が難しくなってしまい、法律で禁止されるようになります。で、本当の主人公たち高校生は整形をせず、全員違う顔をしています。(でも、中には遺伝子操作を受けた子供もいます)。そこからようやく、自分たちの容姿に悩む高校生たちのジュブナイルストーリーが始まります。とても伝えづらいのですが、こんなお話です笑。私は存じ上げなかったのですが、作は加藤拓也さん、この人、ちょっと要チェックですね。発想も今までの日本にないものがありますし、話の転がしかた、台詞回しもすごく質が高いです。俳優陣もとても魅力的で、特にジュブナイルパートに出ている高校生たちは全員、現実にも存在する、リアルな高校生のようでした。好感度大です。1話30分、全6話ですので比較的さらっと見られます。


そのほか記憶に残ったオススメの面白い作品まとめ

「コントが始まる」(日テレ)

 金子茂樹さん、大好きなんですよね。特に1話は最高でした。今期の連ドラで1話の大賞を選べと言われたら私はこの作品を選びます。ただやはり、せめてドラマの中では夢を見させてほしい!と思う私としてはだいぶ物足りなかったです。売れないコント集団が本当に解散するまで、というシリアスな内容をコメディタッチに描き切った筆力は素晴らしいですが、途中からは辛すぎて見ていられなかったです。楽しそうに作っているのは伝わってきたのですが、見ていて楽しみきれませんでした。


「生きるとか死ぬとか父親とか」(テレ東)

 ジェーン・スーさん版、東京タワーみたいな話。佐久間宣行Pがプロデュースで入っています。主人公の人気 DJトッキーさん(吉田羊)とダメ親父の関係性だけで連ドラ1本作ってます。秀作です。が、父親役の國村隼さんをダメ親父に作り込めていない所が問題かなと思いました。主人公にとって最大の敵は父親で、敵は強ければ強いほど主人公が輝くとすると、敵が弱すぎて主人公があまり活躍しなくても勝利してしまう、そんな感じでした。


「ドラゴン桜」(TBS)

 ちょっとこの人、マニアックな作品だけ選んで通ぶってるんじゃないのか?と思われたくないので入れました(嘘です)。全話見ましたが、子供たちが何かに向かって懸命に励む姿は、どうやっても応援できるし、面白い。必ず泣けますよね。ただ、やはり、みんなが東大に向かって走り出すまでのブロック、と学園売却のブロックは終始うまく行ってなかった気がします。最終話は豪華ゲストとオープニングから編集の繋ぎがカットありワイプありフェードあり、大胆なテロップ使いあり、絶対に数字を取る意思、みたいなものを感じました。終わり方も大胆でしたね。


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