言語習得への道|最小限の労力で外国語を最速マスターするための17のコツ

割引あり

あけましておめでとうございます!!

新年一発目のnoteは予告通り「言語学習」についてです。語学は毎年多くの日本人が新年の目標として掲げるものの挫折しまた来年1月1日に再会する、ってケースが多い定番目標の一つですから、「根性」などに頼る前に「どう学ぶのが効率的なのか?」を知っておくのは有用でしょう。

まあ学習法一般については過去に何度かnoteを書いたことがありますが、今回はその中でも特に「言語学習」にフォーカスして、あなたの学習効率をブーストする戦略をまとめてみます。

まあ基本的に守るべきポイントは他の勉強法と被るところも多いですけど、ご想像の通り語学は音の理解や意味の連想といった独自の要素も多いし、モチベーションの維持なんかも特に難しいですから、今回はその辺もカバーしていければと。


まあ語学の学習法という話を持ち出すと、それはその個人にあってただけで再現性ないだろう!という批判が待ち構えているわけです。実際、

  • 「毎年書店で語学の学習法に関するベストセラーになってるのは、それらの方法が本質的に意味がないからだ!」

とかいう皮肉もよく聞きますが、今回はいつも通り「エビデンスベース」で、現代で最も近道と思われる方法をチェックして、なるべく最短でゴールに到達するヒントをお伝えします。もちろん個人に合う合わないはあるでしょうから絶対ではないものの、「あなたにとってもより効率的である可能性が高い」と考えられますんで、一つの参考として一度試してみていただくとよろしいかと思います。「自分にこの方法は合わない」「自分にはこの方法が最適だ」と確信して学習に励めるというのも学習を効率的に進めるうえで重要な要素となりますからね。


私自身、現在中国に留学しており英語も中国語も勉強中の身ですが、本noteは私が「もっと早く知りたかった!」という情報を中心にまとめました。「第二言語の習得にはアウトプットばかりではなくインプットも大事!」みたいな、調べればすぐ出てくるようなことを言ってもつまらないですからね(実際、第二言語習得論の分野でインプットの重要性を認めない理論や仮説は存在しない)。結果的に、あなたには私よりも爆速で語学を習得して頂ければと願っております。さらに、これは主観的な要素も多くなりますけど、留学先で出会った他の国の人たちが考える「最適な言語学習法」や他国の教育状況についてもいくつか紹介するつもり。何でドイツ人は当たり前のように英語ペラペラなの?なんで私と同じタイミングで中国語の学習を始めたのにもうそんなに話せるの?!みたいなところですね。

あと、今回は基本的に大人(大学生以上)を対象にした研究を中心にピックアップしました。ご存じの通り、子供(10代まで)と大人(20代以降)では脳の言語学習スタイルが異なるわけですが、本noteの読者層(および私自身)に合わせて、今回は大人の学習において効果を発揮するテクニックをまとめました。子供の言語学習については、要望があれば(または私に子供が誕生する予定でもできたら?)改めてまとめてみます。

まあエビデンスベースの学習法を使えば格段に楽な道のりになる!ってわけではない(むしろきつくなる側面もあるかも)でしょうが、「今年こそは!」って気概のある方にとってはなかなか有益な情報がまとまっているかと思います。参考になれば幸いです。

それでは2024年もよろしくお願いします!!!



外国語を学ぶメリットを把握してあらかじめ萎え予防

多くの人が痛感しているように、新しい言語の学習において、モチベーションの維持はかなり重要なファクター。実際、多少非効率な学習法だったとしてもちゃんと継続できればかなり上達しますからね。ってことでまずは言語学習の過程で萎えないように、外国語を学ぶメリットを色々とチェックしてみましょう。

メリット1. 注意力アップ!

まず、「新しい言語を学ぶと注意力が増し精神的にシャープになる!」って研究結果があったりします。例えば、2010年の研究によると、バイリンガルはタスクに集中している間、注意力をうまくコントロールでき、多少の邪魔が入っても注意散漫になりにくい傾向があったんだとか。これは、普段から2つの言語を使い分けることでワーキングメモリーが鍛えられていることに基因するんじゃない?って考えられてたりします。

さらに言語学習による注意力の向上効果はバイリンガルに限定されるものではなく、モノリンガルの人が言語を学習した場合にも確認されてます。ある研究では、注意力と覚醒度の向上は、たった1週間の語学学習のあとでも確認されたとか。要するに、新しい言語を学習すると、数日以内に精神的な鋭敏さと集中力が向上し、この効果は継続的な練習によって持続するという証拠が得られているわけですな。このような認知的な効果は、語学以外の他の教科を勉強している人では確認されなかったらしく、第二言語学習者に特有のものみたい。若年層から高齢者まで、すべての年齢層で確認されているというのもうれしいポイントですね。

メリット2. マルチタスクが上手くなる

シングルタスクを意識せよ!というのは分かっていても、現代を生き抜く上でどうしても2つ以上のタスクを並行してこなさなければならないという状況は避けられないもの。そんなところで、新しい言語を学ぶとマルチタスク能力が高まるぞ!というありがたいエビデンスがあったりします。

例えば2013年の研究によると、バイリンガルの人はタスクの切り替えがうまく、マルチタスクにありがちな生産性の低下を避けられることが明らかになったそう。外国語を学ぶことで、認知機能がより柔軟になり、新しい状況にうまく適応できるようになるわけですね。これもまた、2つの言語システムを使い分けることでワーキングメモリーが鍛えられる恩恵だろうと考えられてますね。

メリット3. 考え方が変わる

研究によると、マルチリンガルになることで、アイデンティティ(感じ方、記憶、決断、考え方)までもが変わることが分かってたりします。バイリンガルはモノリンガルとは異なる方法で記憶を検索してるぞ!みたいな話で、言語は知覚だけでなく、記憶の内容そのものを形作るのだ、と。外国に行ったら価値観が変わった!という話はよく聞くけれど、言語学習だけでも同様の、またはそれ以上の恩恵を享受できる、というわけ。

また、バイリンガルは特定の文脈における意思決定が異なることも研究で明らかになっていて、例えば母国語ではなく第二言語でトロッコ問題を提示された場合、バイリンガルは功利的な選択肢を選ぶ傾向が強かったとか(「5人を救うために1人を犠牲にする」という選択をとりやすくなる)。要するに、外国語を使用することでより合理的で感情的でない選択ができるようになる可能性があったりするわけですね。目標に応じて言語を使い分けることで、判断の間違いを減らしたり、感情の起伏の幅を操作したりできるというのも言語を習得するメリットの一つと言えますね。

メリット4. 脳の健康にいい!

言語の学習・習得が長期的な脳の健康を促進することを示す研究もあります。例えば、複数の観察研究で、多言語の社会では国民のアルツハイマー発症率が低いことが明らかになってたりします。より多くの言語が話されている国では、認知症の発症年齢が高くて、具体的には複数の言語を習得している場合、認知機能の低下による疾患を平均4~6年ほど遅らせることができるみたい。この数字に対する考え方は人それぞれでしょうが、個人的には脳がシャープな状態を5年くらい長引かせられる!と思えば、言語を学習しとく理由としては十分な気もしますね。

この点について具体的なメカニズムははっきりわかっていないものの、バイリンガルは2つの言語システムを活用することで、高齢になっても複数の経路をたどって記憶や情報にうまくアクセスでき、結果的に脳のアクセスしにくい部分を補うことができるのでは?とか考えられているらしい。なんかボヤっとしてますけど、現在進行形で研究が進んでいるトピックでもあって、2024年の論文にも注目したいところですね。

また、高齢者向けの外国語学習プログラムが、認知能力の低下に対する効果的なバッファーになるぞ!っていう研究もあったりとか。ここでも、「言語習得は、加齢によって影響を受ける領域と重複する広範な脳ネットワークに関与する」ことが原因だろうと考察されてます。言語学習による脳の衰えの抑制は年を取ってから始めても期待できる、ってところですね。そういえば大学の中国語のコースを一緒に受講してる高齢の教授いるなぁ。。

メリット5. 正確な記憶を実現する

第二言語の学習には「記憶モニタリングの強化」と言われる特典も期待できます。要するに、脳の中で偽の記憶を形成しちゃう可能性が低く、「正確な記憶」をすることができる、というわけ。

具体的な実験を紹介すると、シカゴ大学で行われたある実験では、120人の中国語と英語のバイリンガルに、関連する単語のリストを英語と中国語で記憶してもらい、その後、元のリストになかった単語も含めて、単語を思い出すよう求められたらしい。すると、バイリンガルの方が、元のリストにない単語を正しく識別する能力が高かったんだとか。

さらに別のテストでは、無音の犯罪ビデオの後に、詳細を偽って説明する音声を聞かせ、後に第二言語でクイズを行ったところ、バイリンガルの方が、音声に捏造された詳細情報に惑わされることが少なかったんだとか。

心理学者たちはこのような効果を第二言語使用に特有の「記憶のモニタリング」効果と呼んでて、分析的な "システム2 "がより活性化することで、想起プロセスをより詳細に精査できるようになるんじゃないか?と考察してたりします。まあとにかく、言語を学習することで、「あれ、あの人なんて言ってたっけ?」みたいな事態が減少するのはうれしいことでしょう。

言語習得への道

外国語を学ぶメリットをいくつか抑えてモチベーションを高めたところで、続いて具体的な学習方法をチェックしてみましょう。基本的には以下で紹介する方法はいずれも言語学習一般に通用しますが(どの言語を学習している場合でも使えるものが多い。中国語限定、みたいな方法は除外した)、当然ながら上達までに必要となる時間や労力はその対象としている言語によって大きく異なることはあらかじめご了承ください。

英語の習得が何でそんなに難しいのか?

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