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科学が認める最強の勉強法「検索練習」入門#1「伝統的な勉強法の根本的な誤りとは?」

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「学んだことを頭に残しておきたい!」「学習の効率をどうにか上げたい!」って思っている人は多いはず。

しかし学校では「何を学ぶか?」は教えてくれても、「どう学ぶか?」は教えてくれないわけです。教えてくれたとしても先生自身の体験談とか、「それってあなたの感想ですよね?」みたいな方法ばかりだったりするんですよね。

そんな中で近年注目されているのが「検索練習」という学習方法。検索練習ってのは、ざっくり言えば「頭の中にある情報を引っ張り出してくる」テクニックのことで、何度かブログでも紹介したことがありました。検索練習は、現在科学的に最も効果的な学習法の一つといわれていて、これをしっかり活用できれば学習・記憶効率をグンと上げられると考えられるわけです。

とはいえ、現状のネット記事を見てみると、

・検索練習のすごさの認識が甘いんじゃない?
・具体的なメソッドがちゃんと知られていないんじゃない?

とか思ったりしました。検索練習が「最強の勉強法」といわれるゆえんがまだまだ十分に普及していないんじゃないかと。

そこで、今回からは「検索練習入門」と題しまして、最強と謳われる検索練習のテクニックをまとめていきたいと思います。

検索練習を身に着けるとナイスな効果を得られる人

これから紹介していく「検索練習入門」は、以下のうち、少なくとも1つに当てはまれば何かしら勉強の効率を上げるヒントが得られるんじゃないかと思います。

このシリーズの対象者
■入学試験や資格試験が控えている人
■読んだ本の内容を長く覚えておきたいと思っている人
■学校の成績を効率よく上げたいと思っている人
■生徒や子供に正しい勉強法を教えてあげたい先生や親
■数か月、数年単位で記憶の保持率を3倍以上に高められる(かも)な勉強法を知りたい人
■復習はどのタイミングでするのがベストなの?って悩んでいる人

これらに当てはまる人であれば、幼稚園児から高齢者、記憶に障害のある方まで、広く検索練習の恩恵を受けられることが科学的に証明されてますんで、検索練習の基本を身に着けるだけでも人生が大きく変わる可能性は十分あるんじゃないかと。

「検索練習」という単語は比較的最近のものではありますが、このメソッドの学習効果自体は実は100年以上前から研究されているんですよ。なんで、ナイスなデータも結構蓄積されておりますんで、学習法に困ってるんならまずは検索練習を試してみるべきでは?と思うわけです。

そんなわけで、「学習・記憶の効率を上げるのは、お金でも、かける時間でも、もちろん根性でもなく、科学的に正しい勉強法を実践することだ!」、"Study smarter, not harder!"の精神で一生モノの学習法を学んでいきましょうー。

人間は忘却していく生き物。検索練習の第0ステップ

まず大前提として、「人間は情報を忘れていく生き物」だということを受け入れてください。最近では少なくなってきたように思いますが、「一回の勉強だけで完璧に情報を保持し続けるにはどうするか?」みたいな戦略を講じようとする人は今でもいるようです。

もちろん工夫次第で、ある程度は一度の勉強によって記憶を長く保てるようにすることは可能です。が、すべての情報に対してその戦略で立ち向かうことは不可能。それよりも1回目の勉強の後の「復習」の戦略に注目したほうが賢明でしょう。

実際、学習後数時間、数日、数週間といった単位でヒトが情報を忘れていくという現象は多くの研究で示されております。

エビングハウスの忘却曲線は有名ですが、そのほかにも、こんな研究結果があります。一般に頭がいいとされる医学生を対象にした実験で、

・最初の学習から1年もたてば「基本的な」科学的な知識を25~35%も忘れていて、その翌年には半分以上の知識を忘れていた(R)
・さらに、大学を卒業して医師となり、最初の学習から25年たてば、80%以上の基本知識を忘れていた(R

ってな結果が得られていたりするんですよ。忘れるということは記憶を整理するということでもありまして、人類の進化の過程ではむしろ有利に働いたのでしょう。

ある論文(R)によれば、

忘却は最も苛立たしく、時には苦痛でさえある現象である。
(中略)
一般的な風邪は、常日頃派生する忘却に比べたら実際には非常にまれなものである。

といわれておりまして、確かに忘れてしまうという事実に対抗したい気持ちもわかるけど、いちいち「また忘れてしまった…」とか思ってるよりも、「忘れてしまったけど、記憶に定着するのはこれからだ!」と割り切ってまた頑張ろうぜ!というわけです。

そんなわけで、検索練習入門の第0ステップとして、

「忘れないようにする」ことを目指すのではなく、「一回勉強しても忘れてしまうのはしょうがない。本来の目的は長期間記憶を保持することなのだから」

と、割り切ってしまってください。1回の勉強ではなく、複数回学習・復習することによって記憶を長く保持しよう、忘れてからが検索練習が本領を発揮する領域だ!というわけです。

伝統的な学習法で勉強に時間をかけても「無駄無駄無駄!」になるトラップ

というわけで、「1回教科書や参考書等を読んだり講義を聞いただけで全て記憶するのはあきらめるべし!」ってのはなんとなく分かっていただけたかと思います。

となれば「やっぱ勉強は復習が大事なんや!」と多くの人が考えるでしょう。ここまでは間違いではないんですが、ここで大多数の人がハマるトラップがあります。

それは、「受け身」の方法で復習してしまうことです。つまり、1回学習した内容を定着させるために、多くの人は、

・教科書や本を再読する
・講義のビデオを見直す
・ノートを見直す

といった方法をとってしまうわけです。別に必ずしもこれらの方法が悪だ!といいたいわけではないんですが、長期的に記憶を定着させたいという目的においてはいまいちな方法なのです。

確かに受け身の勉強法は短期的にみれば効率がいい!というデータもあるんですが、そもそもすぐ忘れてしまっていい情報なら勉強する意味ある?って疑問もわくわけです。試験勉強は確かに必要ですが、個人的には、大事なのは試験に合格した先で、その知識を実務で生かすことなんじゃないの?と思ったりもします。

「合格できればなんでもいいんや!」って場合でも、範囲が広すぎたりする場合には、受け身の勉強法では対抗できなくなりますんで、必要な時に使えるようにしておくためにも、長く記憶に残せる勉強法を身に着けておくべきかと。

ある古典的な実験(R)を見てみましょう。

実験対象者の生徒には、生物学の知識を学習してもらい、その後、どのくらい学習した内容を覚えているか?ってのをチェックしました。その結果は、

・受け身の方法で、3倍多く学習した人は、1回しか学習しなかった人に比べて2日後のテストで2倍多くの知識を思い出せた
・しかし、さらに19日後のテストでは7%の差しかなかった

ってわけで、簡単にいってしまえば、

・同じ内容を3回読んだ人は、短期的にはテストの成績が上がるものの、時間がたてばすぐに忘れてしまい、覚えている知識の量は1回しか読んでいない人とほとんど変わらない

ってこと。表面的には多くの時間をかけ、努力しているように見えても、長期スパンで見ればその努力も無に帰してしまうかもしれないのだ、と。なかなかむなしい話っすよね。

じゃあどうやって学習すればいいんや!?

一般的に「勉強」といって想像するような方法でだめなら、もう復習したって意味ないんじゃない?と思ってしまった方もいるかもしれませんが、あきらめるにはまだ早い。科学はあなたの味方です。

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